70歳世帯収入は28.5万円「やりくりとパートで貯蓄を崩さずにいきたいけど、今のままで大丈夫?」FPが家計簿を診断!
70歳世帯収入は28.5万円「やりくりとパートで貯蓄を崩さずにいきたいけど、今のままで大丈夫?」FPが家計簿を診断!
高齢期の家計管理に詳しい畠中雅子さんが、読者の家計の悩みに答える好評の連載! 今月は一見問題のなさそうな家計に潜む将来の問題に、畠中さんが鋭くメスを入れます。高齢期の家計が陥りやすい失敗を防ぐ方法とは?
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「高齢期のお金を考える会」主宰
ファイナンシャルプランナー
畠中雅子さん
はたなか・まさこ●雑誌、新聞、ウェブなどに多数の連載をもち、全国で講演を行う。「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」を主宰。
高齢者施設への住み替え資金プラン、働けない子どもへの親亡きあとのアドバイスなどに定評がある。著書多数。
やりくりとパートで、できるだけ貯蓄を崩さずいきたいけれど……今のままで大丈夫?
(以下引用)
幸子さん(仮名・70歳)
● 愛知県在住
● 夫(77歳)と二人暮らし
● 持ち家
● パート
(以上引用)
家計簿をつけて食材はムダなく使い切り、週2~3日は「お金を使わない日」をつくって出費をカット。できる限り貯蓄を崩さず、「入ってくる収入で暮らすこと」を心がけている。
【アドバイス】 せっかくのやりくりを将来に生かすため特別支出を管理して貯蓄アップを目指しましょう
幸子さん宅の収入は、夫婦の年金と妻のパート代、計28万5000円。貯金分を含めると約11万円の黒字家計。「キャベツの芯は刻んでみそ汁の具にするなど食材はムダなく使い切り、生ごみは週1回出す程度。ムダをなくし、夫婦旅行や友人とのランチを楽しむメリハリ家計を心がけています」と話します。
気になるのは、年間100万円以上黒字なのに、貯蓄が1000万円から増えていないこと。旅行や車の買い替えなどで使ってしまい、貯蓄につながっていないのが要因です。
「夫婦とも元気な今は問題ありませんが、今後高齢になるほど医療費がかさみ、要介護状態になって施設に入居するなど、お金が必要になる時期がやってきます。今の1000万円は、決して安心とはいえない額。年間の特別支出を書き出して管理し、働いているうちに少しでも貯蓄を増やしておきましょう」と畠中さん。毎年、年間収支を出して、赤字が大きい場合は特別支出を見直して、ムダを削っておくと安心です。
生涯安心して生活できる家計のコツを伝授!
今後考えられる医療費関連の特別支出に備えて
高齢になるほど医療費はかさみがち。たとえば目の中の水晶体が濁る白内障は、80代のほぼ全員がかかるといわれる。
遠方だけにピントを合わせる単焦点レンズは保険適用で1万5000円程度 だが、遠方にも近いほうなどにも合わせられる多焦点レンズは自由診療で30万~60万円、高額なものは100万円にも。満足できる治療を受けるためにも、今から備えを。
(※1割負担、75歳以上の場合。)
保険適用外となる治療費などの目安
歯のインプラント治療……1本30万~40万円
白内障手術(自由診療での多焦点レンズ使用の場合)……片目30万~60万円
補聴器購入……片耳5万~60万円
(以下引用)
【ポイント】
高齢になるほど増える医療費に今からしっかりと備えましょう
(以上引用)
年に一度、特別支出管理表を作って支出をチェック
普段の生活費は黒字なのに、なぜか貯蓄が増えない、減ってしまう、という家計に多い原因が特別支出の膨張。
「幸子さんも、車2台の維持費、夫婦旅行や友人との旅行代などが、想像以上に膨らんでいる可能性があります。1年間の特別支出を書き出して、一つずつ見直してみましょう。せっかくの黒字がなしくずしに減らないように、ムダな支出は削って」
(以下引用)
【ポイント】
特別支出を一つずつ書き出して、できるだけムダな支出をカット!
(以上引用)
資産残高の推移をチェックして5年で200万円の貯蓄を
家計簿で特別支出も含めた年間の収支を出し、実際に貯蓄などの資産残高が減っているのか、増えているのか確認を。
「70代の場合、減るのは当然ですが、年100万円減など額が多すぎるのは大問題。将来困らないように、働いている間の収支はとんとん、できればパート代分も貯蓄するのが理想。幸子さんの場合、あと5年で貯蓄を200万円は増やしたいところです」
(以下引用)
【ポイント】
働いている間は、パート代分も貯蓄。将来の医療・介護費に備えて
(以上引用)
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イラスト/タナカユリ
※この記事は「ゆうゆう」2025年9月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。