8月から振込額が変わるかも?「年金から天引きされるお金」にはどんなものがある?

必ず知っておきたい年金の「特別徴収」

8月支給分の年金から振込額が変わる人も【特別徴収の介護保険料】, 年金から天引きされる控除項目, 自治体の行政サービスを確認しよう, 約6割の高齢者は生活にゆとりを感じられていない

8月から振込額が変わるかも?「年金から天引きされるお金」にはどんなものがある?

介護保険料の徴収方法の影響で、毎年8月支給分の年金から、手取り額が変わる可能性があります。

多くの高齢者世帯は生活が苦しいと感じていますが、自治体独自の行政サービスを活用することで、生活費の負担を軽減できる場合もあります。

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8月支給分の年金から振込額が変わる人も【特別徴収の介護保険料】

お住まいの自治体によっては、毎年8月支給分の年金から手取り額が変わる可能性があります。以下のように、介護保険料の金額が変わる可能性があるためです。

【千葉市の例】

・4月、6月の徴収額:保険料は前年の所得が確定する6月以降でないと決まらないため、仮に決めた保険料額として前年度2月分と同額の保険料を納める

・8月の徴収額:当該年度の年額保険料から、4月と6月分の保険料を差し引いた額を4等分し、その金額を納める。

・10月、12月、2月の徴収額:当該年度の年額保険料から、4月、6月、8月の保険料を差し引いた額を3等分し、その金額を納める

なお、介護保険料が決まるタイミングは自治体によって異なります。8月支給分ではなく、10月支給分から年金振込額が変わる自治体もあります。

年金から天引きされる控除項目

介護保険料以外にも、年金の年間受給額が18万円以上の方は、公的年金から以下のようにさまざまな社会保険料や税金が天引きされます。

・国民健康保険料(65歳以上75歳未満の方)

・後期高齢者医療保険料(75歳以上の方)

・住民税

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年金から天引きされる控除項目

普段の生活で実際に使える金額は、税金や社会保険料が天引きされたあとの手取り額です。老後の生活を考える際には、支給額ではなく、手取り額ベースで考えなければなりません。

自治体の行政サービスを確認しよう

自治体によっては、独自の行政サービスとして高齢者の生活支援を行っています。

例えば、東京都品川区では「高齢者補聴器購入費助成事業」を行っています。補聴器の購入に要する費用のうち、7万2450円を上限に助成を受けられます。

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高齢者補聴器購入費助成事業

このような行政サービスの財源となっているのは、私たちが納めている税金です。要件に該当しているにもかかわらず行政サービスを利用しないと、結果的に損をしているといえるでしょう(税金は、本来損得で論じるものではないのですが)。

今回紹介したのは品川区の例ですが、他の自治体でも独自の支援を行っています。居住地の自治体が発行している広報やホームページなどを通じて、利用できるサービスや支援事業がないか確認してみてください。

約6割の高齢者は生活にゆとりを感じられていない

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「大変苦しい」と「やや苦しい」と回答した高齢者世帯の割合が約6割(55.8%)となっています。

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出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

多くの高齢者世帯は、「生活にゆとりを感じられていない」状況が見て取れます。公的年金とあわせて、預貯金の取り崩しや資産活用で生活費をまかなうのが基本ですが、あわせて利用できる行政サービスがないかも探してみてください。

利用できるサービスがあれば、多少なりとも家計を楽にする効果が期待できるでしょう。

まとめにかえて

年金の手取り額は、介護保険料や住民税などの控除によって決まるため、8月や10月から振込額が変わる場合があります。老後の生活設計は、支給額ではなく手取り額で考えることが重要です。

また、自治体が提供する高齢者向けの行政サービスは、私たちの税金を財源としています。要件に該当する場合は、積極的に活用すべきでしょう。公的年金と預貯金に加え、利用可能な行政サービスを探すことで家計負担の軽減が期待できます。

参考資料

・日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」

・千葉市「年金受給者ですが、介護保険料の特別徴収とは何か教えてください。」

・品川区「高齢者補聴器購入費助成事業(令和6年4月より対象者を拡大しました)」

・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」