海自最新鋭・もがみ型護衛艦を報道公開 豪輸出へ米国に協力の求めも

報道公開された護衛艦「くまの」の艦橋。省人化がすすみ、7人の配置が4人になったという=2025年4月23日午後1時50分、神奈川県横須賀市、佐藤瑞季撮影

 海上自衛隊は23日、神奈川県・横須賀基地で、最新鋭「もがみ」型護衛艦(FFM)をメディアに公開した。豪州海軍の新型艦艇導入計画の受注をめぐってドイツと争う中、日本は米国に対しても豪州への売り込みの協力を求めている。(佐藤瑞季、矢島大輔)

報道陣に公開された護衛艦「くまの」のCIC(戦闘指揮所)=2025年4月23日午後2時58分、神奈川県横須賀市、佐藤瑞季撮影

 この日公開されたのはFFMの「くまの」。記者団が戦闘指揮所(CIC)やヘリの格納庫などを見学した。内部は、乗員を極力減らした「省人化」が図られ、従来の護衛艦とは様変わりした。これまで艦艇内で分かれて配置されていた射撃管制室、電信室、操縦室などをCICに集約させ、あらゆる情報を360度スクリーンで見渡せる。腕時計に似た生体センサーを乗員が身につけ、人員の位置を把握できる。GPS機能がある航海用ナビゲーションシステムを備え、手作業で海図をひく運航補佐役は不要になった。従来護衛艦では、艦橋は7人の要員が必要だが、FFMは4人で対応できるという。

 豪州の新型艦導入計画では、日本とドイツが最終候補に残る。日本は「もがみ」型を基に、豪州が求める性能を追加する想定で、共同開発への参画を目指す。豪州は老朽化したフリゲート艦を新型艦11隻に置き換える計画で、総額は111億豪ドル(約1兆円)を見込む。11隻のうち3隻を先に共同開発国で生産し、残りを豪州で建造。今年度中に共同開発国を決め、2029年の納入開始を予定する。

 採用されれば「日本初の大型の装備移転案件」(防衛省幹部)となるだけに日本は売り込みに力を入れる。複数の同省幹部によると、日本の受注を後押しするよう米国の協力を求め、米側も前向きという。3月末の日米防衛相会談でも、中谷元・防衛相がヘグセス国防長官に日本案への後押しを求めた。

 日本が米側の協力を求めるのは、日本案の方が「米国製のミサイルを搭載しやすい」(幹部)という米側のメリットもあるからだ。巡航ミサイル「トマホーク」や艦対空ミサイル「ESSM」、対艦ミサイル「ハープーン」を想定。豪州がすでにトマホークの購入を決めている背景もある。ただ、豪州海軍の現場では、すでに導入実績があり、より安価とみられるドイツ案を支持する声が多いとの見方もある。