10年前の確執を振り返る

いまから10年前、2015年シーズンのMotoGPではヴァレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスの確執が激化。さらに、アルゼンチンGPとオランダGPで2人があいついで接触したことで、両者のライバル関係は個人的なうらみへと姿を変えてしまった。

事件はマレーシアGPで起きた

2015年10月25日に開催されたマレーシアGPで、ついに大事件が巻き起こる。ターン14で、ロッシがマルケスをコース外側へと追いやった上、蹴りをお見舞いしたのだ。

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TV映像と車載カメラの映像には、マルケスが転倒する瞬間に、ロッシが後ろを振り返って足を伸ばす様子がはっきりと捉えられていた。このリプレイ映像はあっという間に拡散され、ファンの注目を集めてしまった。

これに対し、運営側はロッシにペナルティポイント3点を科し、最終戦となったバレンシアGPでは最後尾からのスタートを決定。これは2015年シーズンでもっとも重い処分だった。

ロッシはマレーシアGPまで、タイトル争いをリードしていたが、バレンシアGPにおけるペナルティのせいで脱落。2015年チャンピオンの座は5ポイント差でホルヘ・ロレンソ（写真）の手に渡った。

しかし、ロッシとマルケスの確執に対するMotoGPファンの反応はまっぷたつに分かれた。マルケスに挑発行為があったとしてロッシを擁護する声があがる一方、レース中の蹴りはスポーツマンシップに反するという批判もなされたのだ。

ロッシはその後も、自らの行ないを過ちだったとは認めなかったが、イメージが傷ついたのは確かだ。荒々しい怒りをあらわにしたせいで、かつての愛されキャラを続けることができなくなってしまったのだ。これはロッシの輝かしいキャリアにおける最大の汚点となった。

しかし、マルケスがロッシに対し、アグレッシブに戦いを挑んでいたのも事実だ。実際、マルケスは2015年シーズンだけで3回もロッシと接触している。そのため、マルケスはレースをしているというより、タイトル争いの邪魔をしているのだという批判の声も挙がった。

さらに、マルケスはロッシのライバルだったホルヘ・ロレンソを優勝に導こうとしていた、というロッシの主張により、陰謀論が盛り上がる事態に。ともあれ、このような感情的なコメントは2人の確執の根深さを物語っている。

あれから10年が経ったいまも、MotoGPファンの間ではロッシの蹴りについて議論が続いている。反則を承知の上で怒りをぶつけたのだろうか？それとも、激闘の中で意図せず起きてしまった事故なのだろうか？いずれにせよ、MotoGPの歴史にのこるスキャンダラスな場面として、長く記憶されることになるだろう。

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