新体制のレッドブルが下した英断。土壇場の新フロア投入で苦しむ角田裕毅サポート「全員の努力が報われた」
レッドブルは、F1ベルギーGPのスプリントレースを終えた後、角田裕毅のマシンに最新仕様のフロアを搭載することを決断。それが功を奏し、角田は予選7番手を獲得した。
4月の日本GPでリアム・ローソンに代わってレッドブルに加わって以来、角田は扱いの難しいマシンであるレッドブルRB21に苦しんできた。ポイント獲得は10戦でわずか7ポイント。同期間でチームメイトのマックス・フェルスタッペンは173ポイントを稼いでいる。
角田にとって痛かったのは、エミリア・ロマーニャGP予選でのクラッシュだ。これによって新しいフロアや他の重要な部品を破損してしまい、レッドブルは適切な量の予備パーツを生産する上で綱渡りを余儀なくされ、フェルスタッペンをさらに優先せざるを得なくなった。そのため、角田はフェルスタッペンに比べて仕様が古いマシンで戦っていたのだ。
角田のマシンは、F1ベルギーGPの段階でも複数のパーツが最新仕様ではないが、レッドブルは角田が12番グリッドから11位でスプリントレースを終えた後、予備の最新フロアを角田のマシンに搭載することを決めた。
この決断は、実にリスクを伴うモノだったと言っていいだろう。もし予選で何らかのトラブルが起きてフロアが破損した場合、予備のパーツがないためレースに出るためにはパルクフェルメ違反を避けられず、ピットレーンからのスタートとなってしまう。来週のハンガリーGPにも影響が及んだだろう。
しかし、最新フロアを手にした角田は、レッドブルでのベストグリッドとなる予選7番手を獲得。フェルスタッペンからは0.3秒遅れだった。かつてF1を支配したチームとしては手放しで喜べる結果ではないが、角田がF1通算100戦目を迎えるベルギーGPで、レッドブルが明確な支援を示した成果なのは間違いない。
角田もチームの決断と迅速な作業に感謝を示し、「今のF1は最後の調整までかなり詰めて行なうので、メカニックは本当に頑張ってくれて、本来予選には間に合わないモノを間に合わせてくれました。それだけで十分かなと思います」と語った。
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また、この新フロアがQ3に進出できるだけの差を生んだと述べ、予選を楽しめたという。
「これまでのレースと比べて、ずっと楽しいセッションでした。チームに感謝しています」
角田はそうスカイスポーツF1に語った。
「アップグレードは間違いなく大きなステップでした。そのことは既に分かっていましたが、他のレースとは少し異なるポジションに立つのに十分なものでした」
「理論上、少なくとも僕たちは正しい方向に進んでいると分かっていました。ギャップは次第に縮まっていました。それを証明できたことは嬉しく思います。最も重要なのは、良いポジションでフィニッシュしポイントを獲得することです」
レッドブルによる角田への支援は、ベルギーGPを前にチーム代表がクリスチャン・ホーナーからローレン・メキーズに変わったことと無関係ではないだろう。メキーズはレーシングブルズでチーム代表を務めており、”良い時の角田”をよく把握しているからだ。
角田はメキーズ代表について、次のように振り返った。
「僕がレーシングブルズにいた時、Q2からQ3に進出するたびに、彼はピットウォールから僕を見て笑いかけて、満足していると示してくれていました。そして今日、同じことが起こったんです。彼は僕に微笑み、良い仕事をしたと示してくれた。それは間違いなく、昔の思い出を蘇らせる良い瞬間でした」
角田のパフォーマンスについて、メキーズ代表もF1 TVに次のようにコメントしている。
「ユウキにとって、週末を通してとても素晴らしい前進だった。彼がQ3に進出したのを見られて良かったよ。そこで予選を終えたことは、彼に自信の面でブーストをもたらすだろう」
「我々は予選の直前に彼のクルマをアップデートした。これは我々がパーツの数量において常に限界を追求しているからだ。しかしリスクを冒して彼のクルマをアップグレードする決断をした」
「予選で出走するのが少し遅れたように見えたかもしれないが、全員の努力は報われた。そして、間違いなく彼のパフォーマンスを非常に高いレベルに引き上げるのに役立った」
新体制のレッドブルが下した英断と懸命なサポートで7番グリッドを手にした角田。決勝レースで結果を残し、それに報いチームの信頼をさらに積み上げていきたいところだ。
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