全てはフェルスタッペンのために……レッドブルのメキーズ新代表、チームの目標は「マックスに最高の体制とマシンを提供すること」と明言

 クリスチャン・ホーナーの後任として今週末のベルギーGPからレッドブル・レーシングの指揮を取ることになったローレン・メキーズ新代表は、チームにはマックス・フェルスタッペンの”サーキットでの魔法”が必要だと考えており、彼の移籍を阻止するためにも、勝てるマシンを提供することに注力していると説明した。

 フェルスタッペンは2028年までレッドブルと契約を結んでいるものの、今季限りでチームを離脱し、来季から他チームに移籍するのではないかという噂が絶えない。

 メキーズ新代表はこのフェルスタッペンを引き止めるためにも、安定して勝てるマシンを提供しなければならないと主張。現在の苦境からの脱却、しかもフェルスタッペンの成績に集中しなければいけないと語った。

「レッドブルは、マックスに非常にコミットしている」

 メキーズ代表はF1.comのインタビューにそう語った。

「マックスに深くコミットするには、彼に可能な限り最高のマシンを提供しなければいけない。そして彼に最高のマシンを提供することは、チームの誰もが、何よりも望んでいることなんだ」

「だからこそ、努力は全てそこに注がれる。あとは結果次第だ」

「もちろんマックスは、このプロジェクトの中核を担っている。彼のサーキットでの魔法のような力が必要なのだ。彼は長年チームに所属し、我々のドライビングで非常に大きな貢献をしてくれている。我々が構築しなければいけないのは、その競争力なんだ」

 フェルスタッペンは、今季のレッドブルの獲得ポイント172のうち165ポイントを獲得。一方でチームメイトの角田裕毅は、扱いにくいと言われるRB21を手懐けるのに苦労している。アップデート版のフロアなども、投入が遅れている状況だ。

「マックスがオーストラリアのような大不調のレースを改めて経験してしまえば、マクラーレンほど優れていないマシンで挽回するのは大変だ。現状では2強の争い(マクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリス)と言える。でもマックスはここ数年、自分の思い通りにマシンを操ってきた。彼がこのマシンで見せてきたパフォーマンスは、まさに驚異的だ」

「これほど多くのドライバーが彼と同じマシンに乗ってきたのに、彼のパフォーマンスには到底及ばない。それは彼の才能の証だ。しかも扱いにくいマシンでも、ここまでの能力を発揮できることを証明している」

 フェルスタッペンはベルギーGPを迎えた段階で、ランキング首位のピアストリに69ポイントと非常に大きな差をつけられている。彼らに対峙する上でももちろん、現状の3番手を維持する上でも、RB21が抱える欠点は大問題である。

 さらに来季からは、レッドブルは自社製のパワーユニットを投入する。現在そのパワーユニットは鋭意開発中だが、いくらフォードの協力を得られるとはいえ、現在のF1での経験が豊富なメルセデスやフェラーリ、そしてホンダに太刀打ちできるのかという疑問はつきまとう。そして前述の通り、フェルスタッペンは他チーム、特にメルセデスへの移籍を真剣に検討しているとされる。

 メキーズ代表は、代表に就任して以来、この問題に積極的に取り組まざるを得ない。

「ご存知の通り、マックスは速いマシンに乗ることを望んでいるはずだ。もし彼に速いマシンを提供することができるのなら、全ての懸念事項は帳消しとなるだろう」

「だから我々の目標は、できるだけ早くチームを理解し、どのようにサポートし、どのように次世代のマシンを構築していくかを見極め、マックスにとって決断しやすいチームづくりをすることなんだ」

 実際、ベルギーGPでもフェルスタッペンは”魔法”のような速さをまざまざと見せつけた。スプリント予選で角田が12番手となった一方、フェルスタッペンは2番手を獲得。マクラーレン2台の間に割って入ってみせた。

関連ニュース:レッドブルF1角田裕毅、スプリント予選トップ10届かず「まだ0.06秒差を追いかけている」旧パッケージの“限界値”も近い?日本・富士でのF1テスト実施。その背景にあるハース小松礼雄代表の想い「少し興味を持った人でも見に来やすいようにしたかった」ローソン、ホーナーのレッドブルF1退任を事前に知らされず「僕が取り組むことが大きく変わることはない」

友だち追加

Follow @MotorsportJP