伊藤真一が選ぶ、ホンダの激推しバイクBEST3〈2025年上半期ver.〉走らせて楽しい、それが何よりも一番大事です!
月刊『オートバイ』の人気連載「ロングラン研究所」で活躍する伊藤真一さんは、【激推しバイクBEST3】に新生ホーネットシリーズの3機種をセレクト! それぞれのモデルの気に入ったポイントを伊藤さんならではの鋭い分析力で語っていただく。
文:伊藤真一/写真:南 孝幸、関野 温

第3位
とても完成度の高いストリートファイター
ホンダ「CB1000ホーネット」

Honda CB1000 HORNET 総排気量:999cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:809mm 車両重量:211kg税込価格:134万2000円
評価の視点を変えると、順位は逆転するかも?
CB1000ホーネットは、ストリートファイター系に区分されるホンダ車としては、歴代で最もストリートファイターらしい仕上がりになっています。4気筒エンジンはスーパースポーツのCBR1000RRがベースですが、元々192PSだったエンジンを上手くホーネット用に転用しています。
従来のホンダ製リッターネイキッドは、パーシャルでのクルージングからスロットルを開けたとき、一瞬遅れて出ていくような大人しいセッティングでしたが、CB1000ホーネットは非常にレスポンス良くついてきます。ドンつきのような唐突さではなく、非常にリニアにスロットル操作に反応する感じです。

CB1000 HORNET SP(左)とCB1000 HORNET (右)。
そしてかなりの高回転域まで、パッとスロットル操作に応じて車体が前に出ていく感覚があります。CBRから約40PSも削っているので当然CBRほど強烈ではないですが、その力感はストリートファイターにふさわしいキャラクターです。スーパースポーツのエンジンを使っていることのメリットを、強く感じられる好ましいセッティングでした。
ミッションはかなりクロスしていて、ファイナルもショートになっています。ツーリングメインならば6速をもっとクルージング向けにして、ファイナルをロングにしても良いかと思いましたが、ストリートファイターならではの走りを楽しむなら、この設定で正解だとも思います。

あまりペースが高めではない一般的な日本の峠では、スタンダードの前後サスペンションの方がマッチングが良いです。速度域上がる高速ワインディングであれば、その評価は変わると思います。

ハンドル切れ角が結構あるので、低速でのUターンは非常に楽。当然かもしれないが、スーパースポーツに比べればはるかにタンデム走行に向いているのも大きな魅力。

スイングアームは高剛性のアルミ製で構成。スタンダードのリアショックは、ショーワ製分離加圧式シングルチューブタイプを採用している。
第2位
お得感ある上級装備! それがSPの魅力
ホンダ「CB1000ホーネットSP」

Honda CB1000 HORNET SP 総排気量:999cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:809mm 車両重量:212kg税込価格:158万4000円
日本の道路事情に適した足まわりが魅力!
スタンダードモデルに続いての紹介になりますが、SPはリアショック、フロントブレーキ、可変バルブ付きマフラー、クイックシフターと装備が上級仕様になっており、それらが約24万円の価格差で手に入るのが魅力的だと思います。
ただスタンダードモデルの状態でもストリートファイターとしての完成度は非常に高く、この内容でSPに比べ約24万円安く購入できるのが魅力、と逆説的にいうこともできるでしょう。
企画の趣旨で2位と3位というふうに順番をあえてつけましたが、スタンダードとSPはどちらを選んでも正解といえる、非常に良くできたモデルです。

CBR1000RR(SC77)の999cc4気筒エンジンを転用。SPは可変排気バルブをマフラー内部に備え、低回転域のトルク特性と高回転域の出力を向上させている。

「SPはリアショックの違いからか、スタンダードよりもフロントがターンインしようとするとスコッと入る印象があります。ただ慣れれば気にならなくなる程度の感覚でした」と伊藤さん。

SPのリアショックは、オーリンズTTX36が奢られている。伸びと圧、それぞれのオイル通路が独立している。高い作動性と、細かな減衰力調整ができるのが特徴だ。

スタンダード(左)はニッシン製、SP(右)はブレンボ製のラジアルマウントブレーキキャリパーをそれぞれ採用。初期のタッチはニッシンの方がダイレクト感があり、ブレンボの方がソフトと伊藤さんは評価していた。
第1位
160サイズのリアタイヤが軽快な走りを演出
ホンダ「CB750ホーネット」

Honda CB750 HORNET 総排気量:754cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:795mm 車両重量:192kg税込価格:103万9500円
ホーネット750はお買い得な1台です!
ホーネットの750は、乗ってみてその良さが非常にわかるタイプのモデルですね。エンジンフィーリングと、操安のバランスがとても良いです。まずエンジンですが、エンジン単体として素晴らしく魅力があります。
実際の排気量よりも、パワフルに感じられるフィーリングですね。力強さを感じるセッティングで、中速域からトルクがあることを体感できて、それでいて高回転域まで気持ち良く吹け上がります。

画像1: 第1位
ホーネット750はアドベンチャーモデルのトランザルプと同一プラットフォームを採用するオンロードスポーツです。燃料がレギュラー仕様のエンジンのなかには、フリクション感を覚えるモデルもありますが、ホーネット750のエンジンはそういうようなフリクション感がまったくなく、とても良い感触でした。
91PSという最高出力は、公道用2気筒750ccエンジンとしてはなかなかチューニング度が高いと思います。ただ、気難しさなどはは一切なくて、非常に扱いやすいエンジンキャラクターに仕上がっています。このエンジンだけでも、ホーネット750は「買い」のモデルだと思いました。

画像2: 第1位
車体は鉄フレームとプロリンク式スイングアームの組み合わせですが、その操安は違和感のない自然な感触です。コーナリングでは重心の低さを強く感じない、ちょうど良い切り返し感を味わえます。この辺りの感覚は、ライディングポジション設定が大きく影響しているのだと思いました。
実用車くらいリラックスできるライディングポジションに感じますが、この設定がホーネット750の乗りやすさに結びついているのでしょう。リアタイヤのサイズが160と細めなことも、軽快な走りの感触を生み出すことに貢献していますね。

画像3: 第1位
価格設定もホーネット750の大きな魅力だと思いました。250ccのCBR250RRは90万円以上しますが、ホーネット750は100万円ちょっとですからね。とてもお買い得なモデルといえます。
注文をつけるとしたら、国内仕様のカラーリングが黒と銀で、どちらも地味なところです。明るいカラーリングも用意して欲しいなと、個人的に思いました。

270度クランク、ユニカムバルブトレインを採用。吸気系の渦(ボルテックスエアフロー)ダクトによって、常用回転域の扱いやすさと、高回転域の吹け上がりの良さを向上させている。

アクスルトラベル量130mmのプロリンク式リアサスペンション。スイングアームは薄肉鋼管で作られており、軽快かつ安定性のある優れた操安を生み出している。

フロントサスペンションは、倒立型のSFF-BPを採用。フロントブレーキはΦ296mm径ダブルディスクと、4ポットラジアルマウントキャリパーを組み合わせ。
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文:伊藤真一/写真:南 孝幸、関野 温
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