太田安治が選ぶ、激推しバイクBEST3〈2025年上半期ver.〉可愛いけれど手強くて、従順なのに頼もしい。そんな一台で駆け続けたい
月刊『オートバイ』をはじめ、他誌でも活躍している6人のテスターに2025年上半期に乗ったモデルの中で脳裏に強く焼きついたバイクをインタビュー。この記事では、メインテスターのひとり・太田安治を熱狂させた最新のモデルをランキング3位から順に紹介していく。
文:太田安治/写真:赤松 孝、南 孝幸、関野 温

第3位
軽量級ロードスポーツの日本代表モデル
スズキ「GSX-R125 ABS」

SUZUKI GSX-R125 ABS 総排気量:124cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:785mm 車両重量:137kg税込価格:45万3200円
ファントゥーライドの傑作ロードバイク!
かってはオートバイの基本操作を覚えるなら50ccのスポーツモデルが最適とされていた。車体が小さくて軽いからオートバイが暴れても体で押さえ込め、スロットル全開でもライダーに恐怖を感じさせるような加速はしない。ライダーが優位に立つことでオートバイの性能を余すところなく引き出せ、それがまたライダーのスキルを上げる好循環があった。
各種規制強化によって絶滅した50cc車に変わる存在になったのが125cc車だが、僕が最も気に入っているのがGSX-R125。その理由は前後17インチホイールならではの高い安定性とコントロール性、ライダーとの一体感を生みやすいスリムで軽量な車体、7000回転あたりからパワーが増して1万回転以上までフリクションを感じさせずに伸びるメリハリの効いたエンジン特性の3点。
ショートサーキットを攻めたときの充実感は日本の125ccロードスポーツの中でもナンバーワンでスロットル開度、エンジン回転、クラッチワーク、シフトワークを公道でも安全に身に付けられる。オートバイを操る面白さが凝縮されている現在では貴重な一台だ。

中央上段ロー/下段ハイビームのLEDヘッドライトを採用。ポジションランプやテールランプもLEDで、夜間の視認性と先進感を高めている。

トップブリッジ下にセパレートハンドルを装着し、スーパースポーツらしい前傾ポジションを実現。

フル液晶ディスプレイは背景が黒のネガティブ液晶を採用し、ギアポジションや燃費、回転数などを表示。

124cc水冷DOHC4バルブ単気筒は高回転型で、最高出力15PS/10500rpm。新排ガス規制適合ながら48.2km/Lの燃費性能を実現。

Φ31mm正立式フロントフォークとリンク式モノショックを装備。フロントΦ290mmペタルディスク+ABSで制動力と安全性を両立し、軽快なハンドリングを実現する。
第2位
車名のSMは「Street Moto」だ!
カワサキ「KLX230SM」

Kawasaki KLX230SM 総排気量:232cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:840mm 車両重量:137kg税込価格:61万6000円
実は街乗り最速!? ジャストサイズモト
スーパーモタードとは舗装とダートを組み合わせたコースで行うレース。コースによっては大きなジャンプも設定されているので、参加車両はオフロード車をベースに作られていることが多い。KLX230SMもベースとなっているのはオフロードモデルのKLX230S。
一見すると前後ホイールを17インチに換装してオンロード向けタイヤを履かせただけのようだが、フロントサスペンションは剛性の高い倒立式を採用し、ブレーキディスクも大径化されるなど、オンロード走行向けにしっかり作り込まれている。
それだけにオフ車の乗り味を想像して走り出すと途惑う。オフ車で舗装路を走るとコーナーでの旋回性、安定性に頼りなさを感じることがあるが、このSMは生粋のロードスポーツなみの旋回力を発揮し、ブレーキも強力。
加えて前後サスペンションのストロークは同クラスのロードスポーツよりも圧倒的に長いから、衝撃吸収性が高くて乗り心地がいい。
鋭く吹け上がるエンジンと併せ、街乗りでの俊敏さはピカイチ。SMはスーパーモトではなく、ストリートモトの略が相応しいと思う。

液晶メーターはスマートフォン連携機能を搭載。視認性に優れ、走行情報や通知表示が可能で、利便性と先進性を兼ね備えたフルデジタルとなっている。

232cc空冷OHC単気筒エンジンは吸気ポートやECUを改良し、低中回転域トルクを向上。最高出力18PS/8000rpm、最大トルク1.9kgf・m/6400rpmにより、街乗りやワインディングで扱いやすいパワーを発揮する。

インナーチューブ径Φ37mmの倒立フォークのホイールトラベルは188mm。前後17インチロードタイヤ、Φ300mm大径ディスクブレーキを採用し、制動時の安定性とクイックなハンドリングを実現。

シート高は先代モデルと比べ5mmダウンの840mmとしているがウレタン厚を増加し、快適性と足つき性を両立。エルゴノミクスも刷新され長距離や街乗りでも疲れにくい設計となっている。
第1位
誰でもどこでも乗りやすい、だけでは終わらない痛快なスポーツ性能
ホンダ「CB750ホーネット」

Honda CB750 HORNET 総排気量:754cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:795mm 車両重量:192kg税込価格:103万9500円
ベテランを唸らせる底知れぬナナハンパワー
750ccを「ナナハン」と呼んで懐かしさを感じるのは50歳以上のベテランだろう。ホンダが1969年に発売したCB750フォアが大ヒットし、他の国内3メーカーも750ccモデルを続々と投入。
1970年代から1990年代までナナハンはライダーの憧れであり続けたが、1996年の免許制度の改訂以降は900cc以上の大排気量車が人気になり、ナナハンは徐々にラインアップから消えてしまった。
だが僕は現実的な日本の交通状況に最も適しているのはナナハンを含めたミドルクラスだと言い続けてきた。車重が200kg以下なら取り回しにさほど苦労せず、パワーは70PSもあれば充分。
ミドルクラスの人気が復活してきたのは、ライダーがカタログスペックよりも「どこをどう走るのか」、「自分のライディングスキルやフィジカルに適しているのか」を重視するようになったからだ。

画像: 第1位
CB750ホーネットに乗ると、ミドルクラスの楽しさと扱いやすさを改めて感じる。スロットル操作に対して自然に反応するエンジンは微妙な加減速が行え、パーシャル状態も作りやすいからギクシャク感は皆無。192kgという車重は特段に軽いわけではないが、力を入れやすいハンドル形状とスリムな車体のおかげで楽々と取り回せる。
だが、決して扱いやすいだけのオートバイではない。スロットルをワイドに開ければフロントホイールを浮かせたままダッシュするパワーを秘めているし、レッドゾーンが始まる1万回転まで実に軽やかに伸びていく。
このエンジン特性に見事に合っているのがハンドリング。公道の速度域に合わせた車体剛性とリアの160幅のタイヤがしなやかで軽快なフットワークを生み、市街地でもタイトターンが続く峠道でも意のままに向きを変える。
ホーネットは大型車ビギナーに安心してすすめられ、ダウンサイジングするベテランにも物足りなさを一切感じさせない「ナナハン新時代」の到来を感じさせる仕上がりを見せる。

5インチTFTフルカラー液晶メーターを搭載。スマホ連携や簡易ナビ表示、3種のデザイン切替が可能で、視認性と操作性に優れる先進的な装備。

754cc水冷OHCユニカム2気筒エンジンは270度クランク採用。低中速の扱いやすさと高回転域の力強さを両立し、最高出力91PS/9500rpm、最大トルク7.6kgf・m/7250rpm。

270度クランク特有のパルス感あるサウンドが特徴。低中回転は重厚で扱いやすく、高回転域ではスポーティかつ刺激的な吹け上がりサウンドを楽しめる。

リアはプロリンク式モノショックを採用し、7段階プリロード調整が可能。130mmのストロークで、快適性とスポーティな走りを両立する設計となっている。

撮影に同行したオートバイ女子部の竹川由華ちゃんもホーネットシリーズの中では一番乗りやすかったと絶賛していた。
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文:太田安治/写真:赤松 孝、南 孝幸、関野 温
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