最強シエンタVS天才フリード決戦 3列シートコンパクト頂上決戦の鍵は「後席」と「走り」
最強シエンタVS天才フリード決戦 3列シートコンパクト頂上決戦の鍵は「後席」と「走り」
ミニバンの使い勝手とコンパクトカーの取り回しやすさを両立しているコンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」。どちらも家族のためのクルマとして高い人気を誇り、直近(2025年6月)の販売台数は、シエンタが8,385台(登録車全体の5位)でフリードが7,036台(同7位)と拮抗している状況。どちらを購入するべきか、悩んでいる人は少なくないだろう。
はたして、いま選ぶべきは「最強シエンタ」か、それとも「天才フリード」か!?? 販売台数、装備、使い勝手、価格などを徹底比較し、それぞれの「強み」をあぶり出してみた。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA、HONDA
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2025年は両者ともに年間10万台超えペース
ボディサイズも近く、3列シートの多人数乗りコンパクトカーとしての基本スペックは互角である、トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」。現行モデルの登場時期も、シエンタが2022年8月、フリードが2024年6月と、の登場といずれも比較的新しく、どちらも「鮮度」では互角といえる。開発チーム同士もお互いをライバルと強く意識し、それぞれが切磋琢磨して仕上げてきているのだろう。それだけに完成度も高く、どちらを購入するか悩む人は多いと思う。
近年の販売台数を比較すると、シエンタはデビュー翌年の2022年は68,992台、2023年は132,332台、2024年は111,090台、2025年も6月までで56,882台と、いまのペースであれば10万台超えは固い。一方のフリードは、フルモデルチェンジとなった昨年(2024年)は84,082台であったが、2025年は6月までで49,094台と、こちらも年間10万台超えが視野に入っている。
販売実績は拮抗し、大まかなスペックも似ているこの2モデルだが、しっかり比較していくと、装備や使い勝手に違いがある。そのため、価格だけでなくライフスタイルに合った選択をすることが大切だ。
2024年5月に一部改良をうけたシエンタ。スマホをキーとして使用できるデジタルキーや外部給電アタッチメントをメーカーオプションで設定。10.5インチディスプレイオーディオPlusもZグレードに標準装備となった
2024年6月にデビューした3代目フリード。シンプルだが飽きのこないタイムレスデザインを採用。なおホイールベースは維持で全長が45mmほど長くなっている(写真はe:HEVクロスター)
燃費よし、荷室広し!! 「使えるミニバン」の王道であるシエンタ
ここからは、両車の最新モデルの特徴と魅力ポイントを挙げていこう。現行シエンタの魅力として、真っ先に挙げたいのは燃費性能だ。ガソリン車で18.3km/L、ハイブリッド車で28.8km/L(いずれもWLTCモード)と、いずれもフリード(ガソリン車16.5km/L、ハイブリッド25.6km/L、同)を上回っている。
シエンタはまた、3列目シートを床下に収納できる構造のため、3列目を使わないときは広大な荷室スペースを確保することが可能。跳ね上げ式のフリードよりも優れる、シエンタの大きな利点だ。
そんなシエンタだが、2025年5月に一部改良となっており、専用アプリを介してスマホをキーとして使用できるデジタルキーや、外部給電アタッチメント(窓を閉じた状態でも電源コードを車外に引き出せる)をメーカーオプションで新たに設定したほか、人気メーカーオプションの10.5インチディスプレイオーディオPlusを「Zグレード」に標準設定、またパノラミックビューモニターが「Zグレード」と「Gグレード」に標準設定されているなど、装備の充実が図られている。他にも外板色の追加(プラチナホワイトパールマイカ、ダークグレー×アーバンカーキ)や、ディーラーオプションでトヨタ初のクリーンシーリングライト(ナノイーX搭載)も新設定と、さらに魅力が増している。
価格の面でも、シエンタは、ベースグレードのガソリン車が税込199万円、ハイブリッド車でも税込239万円とリーズナブル。親しみやすいデザインもあいまって、特に女性層からの支持が厚いようだ。
シエンタは、2025年5月の一部改良で、需要の高い10.5インチディスプレイオーディオPlusを「Z」に標準設定。さらにパノラミックビューモニターを「Z」「G」に標準設定した
デジタルキーをメーカーオプション設定。専用アプリをインストールする事でスマートフォンを車両のキーとして使用することが可能になる。価格は税込33,000円だ
2列目キャプテンシートが快適!! 室内空間の上質ぶりが半端ないフリード
対するフリードの最大の魅力は2列目シートの質の高さだ。2列5人乗り、3列6人乗り、3列7人乗りと、3つのバリエーションが用意されているが、なかでも3列6人乗りの2列目キャプテンシートは、上級モデルであるステップワゴン並みの上質さを誇る。2列目キャプテンシートはシエンタには設定がないため、2列目の快適性を重視するなら、フリードのほうが魅力的だ。
フリードは、3列目シートもクッションの厚みを確保した構造となっており快適。1列目から2列目、3列目へウォークスルーできるのも便利だ。跳ね上げ式の3列目シートは、先代よりも跳ね上げ時の空間が広がっており、圧迫感が出ないよう、固定位置を下げる配慮が施されている。
シンプルで飽きのこないデザインも、フリードの魅力。ノーマルの「AIR」とアウトドア風の「クロスター」の2バリエーションを用意したのも、ユーザーにとっては嬉しいアイディアだ。インテリアにはファブリック素材がふんだんに使われており、柔らかさと上質さを兼ね備えた空間に仕上がっている。フリードは先代も上質な室内が評判だったが、現行型はさらにレベルアップしていると思う。
価格面では、ガソリン車が税込262万円~、ハイブリッド車が302万円~と、シエンタよりも若干高めの価格設定。最上級グレードのe:HEV AIR(6人乗り)は321万円、e:HEV クロスター(6人乗り)は337万円で、諸費用を含めると350万円を超えるだろう。ボディサイズの拡大や、内外装の質感向上を考えれば、納得の価格ではあるが、単純に価格を比較すれば、シエンタのほうがリーズナブルだ。
6人乗り車のセカンドキャプテンシート。7人乗り車のセカンドベンチシートと比べると、はるかに座り心地がよい。シエンタにはこのキャプテンシート仕様はない
フリードの3列目シート。シートの座面クッションの厚みが確保されており、サイドの窓も広いため、先代よりも3列目の解放感が向上している
後席重視するか、単純な「安さ」を重視するか!??
同じ予算であれば、シエンタのほうが価格が安いぶん、浮いたお金で子供が喜ぶ後席用ディスプレイや必須装備となったドライブレコーダーなど、追加でオプションを装着することができるが、価格に見合う装備内容と質感の高さをもとめるならば、フリードのほうが満足度は高いかもしれない。
また後席に小さな子供を乗ることが多いならば、ベンチシートタイプのシエンタのほうがいいかもしれないが、後席に大人2人が座ることが多いならばフリードのキャプテンシートの快適性は大きな魅力。3列目を収納した際の荷室空間の広さにも差があるため、どれだけ荷室を重視するかも選択のポイントになるだろう。
細部に違いはあれど、いずれも優れたコンパクトミニバンであり、どちらを選んでも後悔のないクルマだ。最終的にはデザインの好みで選ぶのも十分アリだと思う。参考になれば幸いだ。
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