〈これは文句なし〉人気の原二スクーター・ホンダ「PCX」(2025年)の走りはカタログスペック以上のゆとり&流麗なデザインも魅力のひとつ

125ccスクータークラスで絶大な人気を誇るPCXが進化した。新型はさらに洗練された新デザインを採用、先進機能や使い勝手の良さはそのままに、上質さを一層高めた仕様となっている。

文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、松川 忍

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ホンダ「PCX」インプレ(太田安治)

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Honda PCX 2025年モデル総排気量:124cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒 シート高:764mm 車両重量:133kg発売日:2025年2月6日 税込価格:37万9500円

クラスを超えた存在感と上質な仕上がりはさすが

国内の原付二種クラスは125ccのスクーターが販売の主流になっている。中でもダントツの人気を維持し続けているのがPCXだ。2010年に登場した初代はそれまでの125スクーターとは一線を画す高級感と乗り味により、日本はもちろん、東南アジアやヨーロッパでも大ヒット。

2018年のモデルチェンジではフレーム構造をダブルクレードルに近い形として剛性を高め、足まわりの大幅な改良と合わせて操縦安定性を大きく向上。次いで2020年のモデルチェンジで新設計のeSP+エンジンを搭載し、フレームと足まわりの剛性もさらに引き上げられた。

個人的にはこの2020年モデルで完成の域に達したと感じている。今回の新型が外装デザインの変更を主としたマイナーチェンジに留まっているのも、そうした完成度の高さゆえだと思う。実際、シートに座ってハンドルに手を掛けただけで上質さが感じられ、「小型スクーターだから……」と諦めてしまうような安っぽさや頼りなさがない。クラスを超えた存在感はPCX人気の要因だ。

走り出してすぐに感心するのが変速設定の巧みさ。ゆっくりスロットルを開ければユルユルと優しく発進し、全開加速では最大トルクを発生する6000回転台を使ってストレスなく速度を乗せていく。遠心クラッチを断続するエンジン回転域が低めなので、極低速域でクラッチが切れて滑走状態になる距離が短かいことも扱いやすさに貢献している。

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画像: ホンダ「PCX」インプレ(太田安治)

渋滞路でのスムーズな走行性能と交通の流れをリードできる速さを両立しているのは、エンジン特性と遠心クラッチを含めたオートマチックミッションの相性を徹底的に煮詰めた結果だろう。12.5PSというカタログスペック以上の余裕を感じる。

ハンドリングの穏やかさもPCXの魅力のひとつで、乗り始めは他の125スクーターよりも初期の反応が鈍く感じるが、それゆえにフラつきが少なくて扱いやすい。しかも前後タイヤの接地感が均等に伝わってくるので深いバンク角でフロントタイヤがアウト側に押し出される不安感もない。

ホイールベースが短くタイヤ径が小さい小型スクーターは、俊敏な身のこなしと引き換えに路面のギャップやわだち、横風によって直進安定性が乱れがちだが、PCXはそうした外乱にも強い。これは足まわりを含めた車体全体の剛性が高い次元でバランスしているから。

前後サスペンションのセッティング、さらに前後タイヤのエアボリュームまでも市街地走行で受ける荷重域に合わせ込んであるのだろう。開発担当者の「これでもか!」という執念すら感じる熟成度だ。

こう書いてくると長所ばかりになってしまう。アラ探しも大事、と考えているテスターとして悔しい気もするが、正直言ってユーザーに伝えるべき欠点が見当たらない。小型スクーター選びに悩んだら、PCXを有力候補に挙げておけば間違いない。

ホンダ「PCX」カラー・人気投票

ホンダ「PCX」ライディングポジション・足つき性

シート高:764mm

ライダーの身長・体重:176cm・62kg

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画像1: ホンダ「PCX」ライディングポジション・足つき性

シートに腰掛けるのではなく、ライダーが軽く車体に潜り込むようなシットインポジション。フットスペース前側に脚を伸ばし、ホールド性が高いシートバックに腰を当ててのクルージングはひとクラス上の快適さだ。

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画像2: ホンダ「PCX」ライディングポジション・足つき性

ホンダ「PCX」各部装備・ディテール解説

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エッジの効いたシャープで伸びやかなスタイルは、クラスを超えた上質な雰囲気を演出しており、独自の存在感を放っている。

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特徴的なV字シェイプを描く大型のLEDポジションランプを採用し、フロントマスクの迫力を高めている。ウインカーは両端に統合される。

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今回からハンドルにはシルバーのカバーが装備されることとなり、外観の質感向上と所有感のアップに大きく寄与している。

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反転液晶の大型デジタルメーターのデザインは従来型と同様。インジケーター類のレイアウトもバランスがよく、見やすさにも優れる。

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水冷OHC4バルブの「eSP+」エンジンは、マフラーの内部構造とキャタライザーの配置を最適化し、排気抵抗の低減と排気ガスの浄化性能を確保。

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フロントホイールは14インチ、ブレーキには大型のΦ220mmローターを採用。1チャンネルのABSが標準装備されるのも従来通りだ。

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ライダーが低く座る「シットイン」ポジションを実現。優れた足つき性とリラックスしたポジションを両立する。シート高は764mm。

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シート下のトランクは容量30Lで従来通り。大きくはね上がるシートのおかげで荷物の出し入れがしやすく、開口部も大きい。

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「X」の文字をかたどったLEDテールランプはデザインを変更。ウインカーランプを含めると「X」シェイプとなる新デザインになった。

ホンダ「PCX」主なスペック・燃費・製造国・価格

文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、松川 忍

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