新車265万円! スズキの「超人気車」が凄い! 3ドアから5ドアになり何が変わった? ついに「ジムニーノマド」増産へ こだわりはドコ?
スズキ「ジムニー ノマド」の実力 〜開発者が語る5ドア化の挑戦〜
スズキの本格クロカン「ジムニー」シリーズ初の5ドアモデル「ジムニー ノマド」。
発売前から注目を集めていたこのモデルは、従来のジムニーの魅力はそのままに、5ドア化によって実用性を大幅に向上させました。

「ジムニーノマド」 のこだわりは
「ジムニーノマド」 のこだわりは【画像】超カッコいい! これがスズキ「ジムニー“5ドア”」です!(30枚以上)
2025年1月30日の発表後、ジムニーノマドは予想を大きく上回る反響を呼びました。
2025年2月3日には、販売計画台数を大きく超える約5万台のご注文が寄せられたことから、スズキは注文の受付を一時的に停止する事態に。
スズキは「早期に受注を再開できるよう、全社を挙げて取り組んでまいりますので、今しばらくお待ちいただけますよう、よろしくお願いいたします」と述べ、既に注文を受けている車両については、1日でも早く納車できるよう努めると約束。
また、この受注停止に伴い、全国のショッピングモールで予定していた先行展示会やイベントでの展示も中止されました。
その後、2025年5月30日、スズキはマルチ・スズキ・インディア社での現地生産を2025年7月より月間約3300台に増産すると発表。これは当初の目標販売台数1200台(月間)の約2.75倍にあたり、この増産により早期の受注再開を目指すとのことです。
そんな話題のジムニーノマドですが、開発コンセプトは「本格的な悪路走破性を持つ5ドア コンパクトクロカン4×4」です。
ジムニーシリーズ最大の魅力である悪路走破性を維持しながら、リアドアの採用やホイールベースの延長などにより、後席の居住性・快適性向上を実現。
チーフエンジニアの佐々木貴光氏は、開発の背景についてこう述べています。
「初代ジムニーは1970年に誕生し、そのコンパクトでタフなデザインと優れた走破性で、多くのファンに愛されてきました。
初代から続くそのスピリットは、どんな道でも冒険を楽しむためのパートナーとしてラダーフレーム、副変速機付き本格コンパクト四駆のコンセプトを維持して進化を遂げてきました。
現在では日本を含む199の国と地域のお客様に選んでいただける商品へ成長をしました」
佐々木氏によれば、ジムニーシリーズ55年の歴史の中で初めてとなる5ドアモデルの投入は、大きな挑戦であり喜びでもあったとのこと。
そんなジムニーノマドですが、「ノマド」という車名は、フランス語で遊牧民を意味する「NOMADE」は、場所と時間にとらわれない自由性を持つクルマという意味が込められています。
また、この名前はスズキ初の本格的な4×4クロカンの5ドアモデルとして1990年に販売されていた「エスクード ノマド」の名前を継承したものでもあります。
ノマドの名前は日本仕様のみの名称となっており、グローバルモデルでは異なる名称で展開されています。
ジムニーノマドの特徴は? こだわりが多すぎる!
デザインは、ジムニーシリーズの特長である「合理的で無駄のない機能美」を継承しています。
ジムニーのシンボルである5スロットのフロントグリルにガンメタリックの塗装とメッキの縁取りを施すことで、上質感を表現しました。
デザインを担当した松島久記氏は、デザインのポイントについて次のように話しています。
「ジムニーのデザインコンセプトである、『合理的で無駄のない機能美』を継承しながら、ひと回り大きくなった車格に似合うデザインを目指しました」
また視界の良さもジムニーの大きな特徴です。
ピラーを立てた設計や角張ったボディにより、見切りが良く、オフロードでの操作性を高めています。
またジムニーノマドの大きな特徴は、ジムニーシエラに対してホイールベースを340mm延長したことです。
これにより、後席ヒップポイントを50mm後方に移動させることで膝周辺スペースを拡大し、さらに後席乗員間距離を90mm拡大することで、後席乗員の居住性を高めています。
また、後席ヒップポイントを20mm高くし、シートクッション厚を確保するなど、快適な乗り心地や座り心地を実現しました。

5ドアのジムニーノマド!
5ドアのジムニーノマド!プラットフォームを担当した荒井隆輔氏は、後席の設計にこだわった理由をこう説明します。
「ジムニー ノマドは、後席を使用する機会が増えることが想定されますので、後席に人を乗せて遠出した場合でも、快適に移動できる室内空間の実現にこだわりました。
“ジムニーらしさ”が損なわれないように、ホイールベースの延長によるメリットを最大限に発揮するレイアウトを試行錯誤した結果、後席の乗員位置を見直し、膝周辺のスペース拡大や座り心地を改善しました。
後席に座っても窮屈な姿勢とならないレイアウトにしていますので、長距離でも快適なドライブが楽しめると思います」
荷室スペースも大幅に拡大されました。4名乗車時の荷室床面長はジムニー シエラに対し350mm拡大し、590mmとなりました。
これにより、4名乗車時でも211Lの荷室容量を確保しています。リアシートを前倒しすれば、キャンプなどアウトドアアクティビティーの道具をしっかりと積載することが可能です。
またアッパーボディー設計課の高市皓太氏は、荷室設計のポイントについて次のように話しています。
「後席の乗降性と4名乗車での荷室容量確保を実現するために、リアホイールハウス部分の設計をジムニー ノマド専用に見直しました。
これにより、車体の張り出しを気にすることなく自然に乗降することが可能となりました。
また、荷室底面について、深さ方向だけでなく幅方向のスペース拡大も実現。
リアシートバックを倒して3ドアのように荷室を使いたいというお客様向けには、アクセサリーのラゲッジボックスとの組み合わせでフラット化を可能とし、お客様の使い方に柔軟に対応できる設計としました」
気になる悪路走破性は?
ジムニーノマドは5ドア化による利便性向上を図りながらも、ジムニーシリーズの最大の特徴である本格的な四輪駆動車としての性能を継承しています。
ラダーフレームをジムニー ノマド用に新作し、重量増加に対して必要な剛性を確保したほか、「FRレイアウト」、「副変速機付パートタイム4WD」、「3リンクリジッドアクスル式サスペンション」などの車体構成を継承しました。
リジッドアクスル式サスペンションは、一般的な乗用車の独立懸架式サスペンションに比べて、凹凸路で優れた接地性と大きな対地クリアランスを確保できるという特長があります。

悪路走破性も期待できそう!
悪路走破性も期待できそう!プラットフォームを担当した野添直人氏は、ラダーフレームの設計について次のように説明しています。
「ジムニーシリーズの特長であるラダーフレームをジムニー ノマド専用に新作しました。
しっかりした走行フィーリングや悪路走破性は維持しつつ、軽く・強くすることにこだわりました。
ジムニーシエラのシャシーフレームをベースに延長し、フレーム中央部にセンタークロスメンバーを追加、左右フレーム内の角部に補強部材、断面がよれてしまわないように間仕切り部材を追加。
これらにより必要な剛性を確保するとともに、ホイールベース延長の効果と相まって直進安定性の向上と穏やかな操縦安定性を実現させました」
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ジムニーノマドは、ジムニーシリーズ初の5ドアモデルとして、これまでのジムニーの魅力である本格的な四輪駆動車としての性能を継承しながら、後席の居住性や荷室の利便性を大幅に向上させました。
その結果、プロユースだけでなく日常使いにも適した車として、発売前から大きな注目を集め、予想を大幅に上回る注文が寄せられることとなりました。
スズキの増産体制が整い次第、受注が再開される予定ですが、その人気の高さから、入手までにはしばらく時間がかかりそうです。