GR GT3がサプライズ出走! トヨタのスーパースポーツが英国モータースポーツイベントに登場

2025年7月10日〜13日に英国で開催された世界最高峰のモータースポーツイベント、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(以下、FOS)」でトヨタが現在開発中の次世代スーパースポーツカーがサプライズで登場した。純粋なレース仕様車と公道走行可能なロードバージョンが2台同時に走るというハプニング(?)に、来場者からの拍手喝さいを浴びていた。(画像出典:グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード公式YouTubeほか)

事前発表なしで登場した2台のプロトタイプスポーツカー

2022年1月に開催された東京オートサロンで「GR GT3 Concept」がはじめて公開されてから、早くも3年半が経過した。同車は、その名が表すとおりレース参戦(GT3カテゴリー)が開発の主目的であるものの、そのホモロゲーション取得のためのロードカー(公道仕様)の存在も暗示されていた。

また、その直前となる2021年12月には、レクサスからはフル電動スーパースポーツのコンセプトモデル「レクサス エレクトリファイドスポーツ(Lexus Electrified Sport/以下、レクサスLFR)も公開されており、トヨタ/レクサスのレース活動と並行してその動向に注目が集まっていた。

その本格的な開発は2023年から開始されたという。2024年後半以降から、欧州のサーキットや公道でテスト走行する様子が目撃されており、開発は順調に進んでいることが伺える。今回のFOSではあくまで軽く流しただけのデモランではあったが、その正式な発表がそう遠い日のことではないことが明らかになったと言えそうだ。

GR GT3はテストベッド? 本命は100%電動の「レクサスLFR」の可能性も

本稿作成時点ではまだトヨタからの公式発表はない。とはいえ現地のLiveStreamから判断すると、どちらも搭載エンジンはV8ツインターボである可能性が高い。そして、レースカーに対してロードカーのエキゾーストノートはかなり控えめだ。ゆえに後者はハイブリッドであることは間違いなく、さらに言えば、ガソリンだけでなく水素(気体 or 液体)や合成燃料(e-Fuel)にも対応している可能性もある。

FOS名物のヒルクライムでデモランを披露した(写真はレースカー)。

パワースペックは予想ではあるものの、レースカーではGT3規定に則り600ps前後、ロードカーではモーターの出力も加わってシステム総合出力で700psを超えてくるかも知れない。

生産モデルのエクステリアデザインは、おそらくほぼこのままだろう。ただひとつ気になったのは、上述の「レクサスLFR」との関連性だ。今回公開されたプロトタイプは明らかにGR GT3の流れを汲んでおり、デザインテイストはレクサスLFRのそれとはかなり異なる。そして、内燃機関を搭載していることも、100%電動になるとアナウンスされているレクサスLFRとの最大の違いだ。

話がさらにややこしくなるは、GR GT3は2026年シーズン以降にレクサス RC Fの事実上の後継車としてレース参戦することである。となれば、レクサスはいったんGT3カテゴリーから退き、代わってGRが参戦することになるのかも知れない。

まさかのランデブー走行に生粋のクルマ好きである来場者もびっくり(向かって右がレース仕様車)。

一方で、レクサスLFRはGR GT3のモノコックを転用して、100%電動として追って発売される可能性もある。つまり、今回走ったプロトタイプは最終的にはGRとレクサスで異なるデザイン、異なるパワーユニットを搭載したスーパースポーツに発展するかもしれない。

奇想天外と思われるかも知れないが、かつてのレクサス LFAがそうであったようにレースの現場でクルマを鍛える、というのはGR、レクサス、そしてトヨタの変わらぬ哲学だ。

あくまでレースが主体のGR GT3、そこで徹底的にクルマを鍛え上げて、しかるべきタイミングで100%電動のプレミアムスーパースポーツ「レクサスLFR」を発表する。そんな青写真を夢想するのだが、果たしてその真相はいかに?