フェラーリ待望の新型「アマルフィ」、イタリアでの新作発表会に行ってきました!

フェラーリ好きの多くはその走りに惚れている。そもそもレースで勝つために生まれたブランドだけに、それに特化しているのは間違いない。事実、スタイリングにエアロダイナミクスを取り入れ、コンマ1秒でも稼げるようなデザインを採用する。

だが、それは同時にスタイリッシュでエレガントなフォルムを生み出してきた。特にミッドセンチュリーあたりのモデルは、妖艶でセクシーだと高く評価されている。フェラーリ250GTシリーズはその最たるものだろう。今もファンは多く、クラシックフェラーリの中でも高値で取引されている。要するにフェラーリは走りはもちろん、見た目もカッコいいクルマなのだ。

そしてそれは現代もそうで、高次元の走りとクールなスタイリングを彼らのデザインフィロソフィとして成立させている。エアロダイナミクスを重視しながら見る人を魅了するのがフェラーリなのだと。

先日、そんなフェラーリの最新モデルの発表に立ち会った。会場はマラネッロにあるスタイリングセンター。そこでフェラーリのマーケティングと販売部門の責任者であるエンリコ・ガリエラ氏の号令のもとアンベールがなされた。

名前はアマルフィという。ご存知の方もいらっしゃるだろうが、ナポリの南にある風光明媚な海岸線の地名だ。世界遺産にも登録されているそこは映画の舞台にも幾度となくなっている。

新型車のポジションはフェラーリローマの後継となる。ローマはフロントにエンジンを積んだGTカー色を濃くしたモデルだ。しかもデザインはまさにイタリアのミッドセンチュリーを取り入れている。当時の文化を言語化した「Dolce Vita(甘い生活)」を新解釈した「La nueva dolce vita(新甘い生活)」がそれ。まさにフェデリコフェリーニ監督の世界である。

なので、アマルフィもまたそんな雰囲気を漂わせる。完成度の高いローマのフォルムを継承し、細部を新しくした。グリルは特にそうで、ローマとは異なる世界観を表現する。よりシンプルな造形と言っていいだろう。その下にエアロダイナミクスを最大限に活用するフロントスポイラーが収まる。そういえば、フェラーリデザインの最高責任者であるフラビオ・マンゾーニ氏はこんなことを言っていた。「このクルマを可能な限り純粋でシンプルなものにしたかった」と。なので、ラインは少なく、面構成はすっきりと、ボリュームを出しすぎない方向で進んだ。確かにアマルフィにデコラティブな要素は微塵もなく、その正反対にあることを感じる。ボディと一体化したリアウィングもそうだ。このウィングは3段階の可動式でダウンフォースを生み出すのだが、一見してそんな感じには見えない。「ここが動くの?」って思うつくりをしている。

そんなアマルフィのパワーソースは3.9リッターV8ツインターボ。最高出力はローマよる20馬力アップの640馬力を発揮する。最大トルクは760Nm。最高速度は320km/hで、0-100km/h加速はわずか3.3秒となる。フェラーリのラインナップの中ではGTカー色が濃いと言っても、やはりスポーツカーであることは間違いない。その辺の出来栄えは走らせるタイミングか来たら深掘りしたいところである。

最後にインテリアにも触れておこう。デュアルコックピットレイアウトを採用したデザインは新鮮で新しい。ダッシュボードは左右シンメトリー風に仕上げられた。そしてそこに15.6インチのデジタルメータークラスター、10.25インチのセンターディスプレイ、8.8インチのパッセンジャー用ディスプレイが組み込まれる。ダッシュボードをモニターが埋め尽くす感じだ。最近のフェラーリのデジタル化は進んでいる。

それでいてステアリング上には物理的スイッチを復活させたことを強調していた。そこはマーケットからの要望が多かったのだろう。ステアリング左下部の赤いボタンを押すと、パワフルな心臓が目覚める。

 といったのが今回マラネッロで対面したアマルフィの概要。発売は2026年第一四半期ということだからもう少し待たなければならない。まぁ、マーケットを焦らすのは彼らの得意技。富裕層マーケットをリードするフェラーリの手法は実にお見事である。