フェラーリが新型車「Amalfi(アマルフィ)」を世界初公開
フェラーリが新型車「Amalfi(アマルフィ)」を世界初公開
伊フェラーリは2025年7月1日(現地時間)、新型車「Amalfi(アマルフィ)」を世界初公開した。
売れ筋の跳ね馬がさらに進化
うわさどおりの名前で登場した。アマルフィ。イタリア南部の超有名な海岸名で、ユネスコ世界遺産にも登録されている。1000人以上のアクティブカスタマーがアマルフィ海岸に招待されていたことから、「ポルトフィーノ」や「ローマ」でも同じように発表会が催され同名の新型車が登場したという実績を思い返すに、新たな車名を想像することはたやすかった、というわけだ。
フェラーリ・アマルフィはV8フロントミドシップでリア駆動の2+2クーペ&スパイダーモデルの最新作である。F169MMというモデル型式名からも容易に想像がつくようにローマの後継モデルだ。ローマもまたF169だった。
「カリフォルニア」に始まりポルトフィーノ、ローマと続いた跳ね馬の“地名モデル”は、スポーツカーであると同時にライフスタイル商品であって、ブランドのエントリー機でもある。それゆえ性能やデザインにおいてフェラーリらしさを存分に表現しつつも、これを乗りこなすという心理的障壁を(そして実際の障壁も)「いくらか下げよう」という試みがはっきりとうかがえた。そして、もくろみどおりに人気を博してきたのだ。マラネッロにとっては新規ユーザーの最も多いシリーズでもある。
アマルフィでのデビューからさかのぼること一週間。マラネッロのチェントロスティーレでいつものようにプレスプレビューが行われた。
新型車、アマルフィの見どころは3つ。まずはエンジン。2014年「カリフォルニアT」に初搭載されたF154と呼ばれる3.9リッターV8ツインターボシリーズの最新作だ。2+2のFR用V8はF154のなかでもB系と呼ばれる3855ccのフラットプレーン・ウエットサンプタイプ。今回、最高出力を20PS上げて640PSとし、最高許容回転数も+100rpmの7600rpmとした。タービンの回転数アップやカムシャフトの軽量化など細かな変更を加えて達成している。これによりパワーウェイトレシオはローマの2.37kg/PSから2.29kg/PSへと向上し、0-100km/h加速も3.3秒とコンマ1秒速くなっている。最高速は変わらず320km/hである。
次に内外装のデザインだ。外観は、写真だけではローマの正常進化というイメージが強いだろうが、実物を見ると下半身のボリュームが大幅に増し、よりワイドなスタンスに見える。「12チリンドリ」の弟分というのが感想だ。実際にはボディーサイズや前後トレッド、なんなら乾燥重量まで、ローマと全く同じなのだが……。
ある意味、インテリアの変化のほうが大きい。さらに12チリンドリ風のデュアルコックピット風となり、ステアリングホイールには赤いエンジンスタートボタンが復活するなど、デザインと機能性(ヒューマン・マシン・インターフェイス)の大幅なランクアップを図っている。アルマイト処理を施したアノダイズ・アルミのセンターコンソールがコックピットの風景を新鮮に見せていた。
最後にパフォーマンス。一連のスペック向上を挙げたうえで、開発者が強調していたのは、数字に表れる進化ではなく、乗った時に感じる“別物感”だった。エンジンフィールやサウンドはもとより、ブレーキ・バイ・ワイヤ、ABS-Evo、EPS、SSC(サイドスリップコントロール)6.1など電子制御系を軒並み最新式へとアップグレードし、さらにクライアントから要望の多かった先進運転支援システム(ADAS)の充実も図っている。
乗り出した瞬間にローマとはまるで違うクルマ、というから試乗テストが待ち遠しい。デリバリーはまず、“左ハンドル国”向けが2026年第1四半期から。イタリア国内での乗り出し価格はベースグレードで24万ユーロ(1ユーロ165円換算で3960万円。ローマは約22万ユーロ)である。
(文=西川 淳/写真=フェラーリ)
【フェラーリ・アマルフィの主なスペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4660×1974×1301mm
ホイールベース:2670mm
乾燥車重:1470kg(※軽量オプション装着車の値)
駆動方式:FR
エンジン:3.9リッターV8ツインターボ
最高出力:640PS/7500rpm
最大トルク:760N・m/3000-5750rpm
トランスミッション:8段AT
タイヤサイズ:(前)245/35R20/(後)285/35R20(ピレリPゼロまたはブリヂストン・ポテンザスポーツ)
ブレーキサイズ:(前)390×223×34mm/(後)360×233×32mm
燃料タンク容量:80リッター
最高速度:320km/h
0-100km/hの加速時間:3.3秒
0-200km/hの加速時間:9.0秒
燃料およびCO2排出量:ホモロゲーション取得申請中
