プレミア感がハンパない! 語り継がれる「特別仕様車」列伝
プレミア感ハンパない! 語り継がれる“特別仕様車”列伝
通常販売される仕様ではなく、スペシャルパーツの装備や標準にはないボディカラーを与えられたのが特別仕様車。近年では特別仕様車が少なくなっているが、かつては多くのモデルが存在していた。今回は、そんな特別仕様車を振り返る。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、CarWp.com
【画像ギャラリー】買っときゃよかった!? 心を揺さぶった特別仕様車たち列伝(21枚)
バブル景気に咲き誇った特別仕様車
●日産 スカイラインGT-R NISMO(1989年)
プレミア感ハンパない! 語り継がれる“特別仕様車”列伝
500台が生産されたR32型日産 スカイラインGT-R NISMO。レースで公認を受けるためのエボリューションモデルで、公認取得に必要な台数が500だった
日本中が好景気に沸いたバブル時代には、自動車メーカーからも多数の高級モデルやスペシャルティカーが登場した。
1989年にデビューした8代目R32型日産 スカイラインGT-Rもまた、バブル景気を象徴するような豪華なモデルだが、そんなGT-Rにも特別仕様車が用意されていた。
日産のモータースポーツを担当するNISMO(ニスモ)がチューンを施したGT-R NISMOがそのクルマだ。
R32型スカイラインGT-Rは当時のグループAレースに参戦することも視野に入れて開発されたモデルであり、その公認を得るには連続する12カ月間に5000台以上を生産する必要があった。
当然R32型GT-Rはこの基準を満たしているが、さらにレースでの戦闘力を高めるために、追加生産によって公認取得が可能なエボリューション(進化)モデル500台の製造も行った。
それがGT-R NISMOであり、標準仕様よりもさらに“レース寄り”に設定されていた。
具体的にはレースを想定した大容量ターボチャージャーを搭載し、空力デバイスもレースに向きに変更。レースでの必要度が低いエアコン、リアワイパー、オーディオが省略されたのも特徴だった。
実際に日常使用では標準のGT-Rのほうが使い勝手も良く、レース向きのターボも公道では本領を発揮できなかったが、特別仕様なのは間違いなく、限定販売モデルということもあって高い人気を獲得した。
●ホンダ プレリュードSi ステイツ(1990年)
2025年秋に24年ぶりに復活することが決まったホンダのプレリュード。
初代モデルは1978年にデビューし、1996年発売の5代目でいったんその系譜は途絶えている。
プレリュードの人気が大きく上昇したのがバブル景気時代のことで、3代目モデルが当時話題になった「デートカー」の1台として注目された。
そのプレリュード人気に着目したホンダでは、1990年に特別仕様車のプレリュードSi ステイツを販売した。
3000台限定で製造されたこのモデルは、プレリュード Si 4WSをベースに、北米仕様の2.1リッターエンジンを搭載するとともに、専用のサイドモールやグリーンウィンドウが装備されていた。
これらの装備によって全幅も広がり、ノーマルの5ナンバーから3ナンバーに変更されている。
当時の好景気下では3ナンバー化がイメージアップにつながり、プレリュード Si ステイツは好調なセールスを記録した。
日産の他の記事をもっと見る
ホンダの他の記事をもっと見る
走行性能を高めた特別仕様車
●トヨタ セリカGT-FOUR(1994年)
現在でもWRC(世界ラリー選手権)で活躍するトヨタは、1980~1990年代に自社のセリカGT-FOURでこのシリーズに参戦していた。
セリカGT-FOURはWRCの公認(ホモロゲーション)を獲得するために製造されたモデルであり、そのため生産台数が少なかった(当時のグループAラリーカーはベース車両の生産台数が2500台以上必要)。
1986年に登場した初代から、1994年の3代目までのGT-FOURが製造されているが、今回注目するのが3代目のST205型セリカGT-FOURだ。
GT-FOURシリーズでは最終モデルになるST205型は、255psを発生するDOHC2リッター直4ターボエンジンを搭載していた。
特に2100台限定で販売されたGT-FOUR WRC仕様車は、ボンネットに設けられたエアスクープと大型のリアウイングが見た目の迫力を高め、ウォータースプレーやミスファイアリングシステムを装備して、WRC譲りの圧倒的な速さを披露した。
●マツダ RX-7タイプR バサーストR(2001年)
2001年8月、マツダは自社のスポーツカー・RX-7の特別仕様車「タイプR バサーストR」をリリースした。
サブネームの「バサースト」は、オーストラリアのバサースト12時間レースでRX-7が3連勝(1992〜94年)を達成したことを記念して1994年に採用されたもの。
2001年版バサーストRは、3代目FD3S型RX-7のなかで最小のパワーウェイトレシオを持つタイプRをベースに、ユーザーの好みに応じた乗り味に調整できる専用の車高調整式ダンパーを装備し、特別限定色のサンバーストイエローも用意されていた。
エンジンには280psを誇るツインターボ付き2ローターロータリーエンジンが搭載されている。
バサーストRの好評を受けて、同年の12月にはボディカラーを変更してフォグランプも追加したタイプRバサーストも登場した。
シリーズの最後を飾る特別仕様車
●三菱自動車 ランサーエボリューション ファイナルエディション(2015年)
プレミア感ハンパない! 語り継がれる“特別仕様車”列伝
三菱自動車 ランサーエボリューション ファイナルエディション。ランエボシリーズの最終モデルとして2015年に登場。後方を走るのは初代ランエボだ
WRCのホモロゲーション車両として三菱自動車が開発したのがランサーエボリューションシリーズ。
初代モデルは1992年に登場し、三菱自動車のWRC参戦車両がランサーセディアベースのモデルに移行してからも製造販売が継続された。
その最終モデルが通算10代目にあたるランサーエボリューションXだ。
2007年にデビューしたランサーエボリューションXは、それまでの限定生産ではなくシリーズ初の通年販売モデルになり、“ランエボ”としては異例の長期販売が行われたものの、後継モデルの開発は進められず、2014年末で生産終了になった。
そして、終了することになったランエボシリーズの特別仕様車としてランサーエボリューション ファイナルエディションが2015年に発売された。
ファイナルエディションの生産台数は1000台で、ベースになっているのはランエボXだが、シリーズすべての最後を飾るという意味で名称から「X」は除かれている。
エンジンはランエボX標準の300psから313psに引き上げられ、サスペンションやタイヤも特別仕様でまとめられていた。
限定の1000台は短期間で完売し、ランエボの歴史は納車が完了した2016年で幕を閉じることになった。
投稿 プレミア感がハンパない! 語り継がれる「特別仕様車」列伝 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。