「ゴールド」か「株式」か…下落後の戻りで勢い増す米国株ファンド、投資家はどう判断する?

「ゴールド」か「株式」か…下落後の戻りで勢い増す米国株ファンド、投資家はどう判断する?

みずほ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年5月は、トップ2は2024年11月から7カ月連続で同じで、トップは「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」、第2位は「キャピタル世界株式ファンド」だった。第3位に新規設定ファンドの「JPモルガン・グランド・アセット・アロケーション」が入り、前月第3位の「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」は第4位に後退した。前月第6位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第5位に上がった。また、トップ10圏外から「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」が第9位に、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA 年2回決算(分配重視)」が第10位にランクインした。

◆分散投資のバランス型へのニーズ高まる

みずほ銀行の売れ筋の第3位にランクインした「JPモルガン・グランド・アセット・アロケーション」は、主として日本を含む世界各国の債券、株式に分散して投資し、長期的な市場見通しに基づき基本となる資産配分を決定し、その後市場環境等に応じて当該資産配分の比率を機動的に随時調整するという運用を行う。資産配分比率は、J.P.モルガン・アセット・マネジメントが独自に策定する長期的な(おおむね10年~15年)市場見通し(LTCMA)を使って行う。個々の資産クラスへの投資は、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの多様な運用戦略の中から最適な戦略をセレクトして組み入れるため、市場見通しや個々の運用戦略など、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの運用力を終結したようなファンドになっている。

このようなグローバル分散投資戦略ファンドは、第9位にランクインした「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」にもいえる。世界の米ドル建資産(株式、債券、優先証券など)に投資し、投資にあたっては、有望企業を選別のうえ、その企業が発行する証券の中で相対的に魅力度の高いものを選択するという運用手法を取るが、最終的に株式か社債かを選ぶとき株式市場や債券市場の魅力度を比較することを行っている。実質的な運用を担うヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーは、世界最大級の年金運用機関であるTIAA(米国教職員退職年金/保険組合)の資産運用部門、ヌビーンLLC傘下の運用会社で年金資産の運用を行っている。同ファンドの2025年4月末時点の実質的なポートフォリオは、「投資適格社債」29.5%、「ハイイールド債券」24.2%、「優先証券」19.4%、「転換社債」4.5%、「株式」17.4%、「現金」4.9%という割合で債券を中心のポートフォリオになっている。

2024年までの「米国株式」を中核にした運用商品の選択から、2025年5月になって明らかな変化がある。みずほ銀行では「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」というバランス型ファンドがずっとトップにあるが、トップ10には「キャピタル世界株式ファンド」、「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」などがあり、株式100%のファンドが大半を占めている。ただ、5月のランキングでトップ10の中に3本のバランス型が入ってきたことは大きな変化といえる(2025年はバランス型が1月にトップ10に2本、それ以降は1本のみ)。この変化が定着に向かうかどうかに注目したい。

◆「株式」「ゴールド」単独ファンドの変遷

みずほ銀行の売れ筋である「キャピタル世界株式ファンド」、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」、「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」など単独の資産に投資するファンドのパフォーマンスを振り返ると、好不調の波があることがわかる。

2020年3月「コロナ・ショック」で下落した後の1年半の期間では「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」のパフォーマンスが最も優れていた。この間は、今は多くの投資家が注目するようになった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は横ばいで投資家の関心の外にあったといえるだろう。

そして、2022年の後半から始まったのが「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」の好成績だ。「米国株式を買っておけば問題ない」という雰囲気が2024年末まで継続する。その米国株式に対する楽観が大きく揺らいだのが2025年に入っての株価の下落だった。この株価の下落の中でパフォーマンスの堅調さが目立ったのが「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」だった。

ところが、4月の株価急落からの出直りで6月13日までに最も良い立ち上がりになったのは「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」だった。再び米国株式優位の展開に戻るのだろうか? それともバランス型ファンドに切り替えている投資家の判断が吉と出るのだろうか? 現時点では何とも判断が難しい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。