新NISA2025「3カ月で買われた投資信託ベスト30」全世界株式が下落【通常非公開データ】

 2025年1月から3月中旬までに新NISAで「実際に」買われた投資信託は? 主要ネット証券5社の通常非公開データを入手し、本誌が独自集計。約3カ月の買い付け金額の大きい順にベスト30を公開する。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】

※主要ネット証券5社…SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJ eスマート証券

 本誌恒例の新NISAランキング、前回は2024年1月4日〜8月30日の8カ月ランキングだった。

 このときの投資信託買い付け金額トップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(以下、オルカン)。

 今回(2025年1月6日〜3月12日)の約3カ月ランキングでは、前回2位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が1位になった。

 楽天証券IR・広報部長の松﨑裕美さんに個人投資家の動向を聞いた。

 なお楽天証券は新NISA600万口座(2024年12月末現在)で日本一である。

 「前年同期の調査(2024年1月4日〜3月29日)では主要ネット証券5社合計で6337億円のオルカンが1位で、4677億円のS&P500が2位。

前年同期比でS&P500の買い付け額は1600億円以上増えていますが、オルカンは少し減りました」

■FANG+3位浮上

 ここ数年、米国株の上昇はすさまじかった。

 2024年の1年間でS&P500(指数、円建て、配当込み/以下同)は39.4%、2023年は34.9%上昇。

 オルカンは2024年が31.6%、2023年が31.2%。

 2022年はS&P500とオルカンともにマイナス6%台だった。

 S&P500の快進撃を見て、オルカン派だった個人投資家がS&P500にくら替えしたのだろうか。

 前年同期で8位の「iFreeNEXT FANG+インデックス」が3位に浮上したことも、米国株の好調を反映した現象だろうと松﨑さんは推測する。

 楽天証券でもFANG+は売れている。

「FANG+には、米国株の中でもより強い10銘柄が組み入れられています。リスクを取ってS&P500以上に高いリターンを求める投資家が増えたようです」

 4位以下の顔ぶれは前回とそれほど変わらず、「eMAXIS Slim」シリーズ以外の米国株、全世界株式のインデックス型投資信託が中心。

 5位と7位に入ったeMAXIS Slimのライバル、「楽天・プラス」シリーズの「S&P500インデックス・ファンド」と「オールカントリー株式インデックス・ファンド」も売れ続けている。

 2024年の1年間で前者は2889%、後者は2981%と4ケタも純資産総額が伸びた。どちらも新NISA開始前に、楽天証券専売でリリース。

「楽天・プラスのS&P500は2025年1月の純流入が活発化しました。前年同月の約400億円に対し、今年は約600億円」

 オールカントリー株式は2024年1月のほうが数字がよく、落ち着いた感があるという。

「新興国株関連で、インド株投資信託の順位が低下傾向ですね。市場が調整色を強めています」

■新NISA組の損失

 2025年2月下旬から4月上旬にかけての1カ月半で米国株は約20%、下落した。新NISAの運用成績にも影響しているはず。

 ウエルスアドバイザー投資顧問部長の武石謙作さんに聞いた。

「2024年1月4日に一括投資をした場合の2025年2月28日までのリターンを調べました。

S&P500が31.7%、オルカンが27.2%で、FANG+は56.7%に達しています」

 去年から投資している分は、まだプラスを保っている、と。

「2025年1月6日に年初一括で投資した場合、2月28日時点でS&P500がマイナス6.3%、オルカンがマイナス3.9%、FANG+はマイナス10.2%。

いずれも損失が発生しています」

編集部注:S&P500は2025年4月下旬から反発し、3月上旬の水準まで戻しています(2025年5月27日現在)

 1月6日時点では米国株市場も元気いっぱいだった。「勢いよく年初一括360万円!」の投資家も多かったと思われる。

 この状況で、資金流入に変化はあるのか。

「米国株が急落した2月第3〜4週にS&P500とオルカンへの純資金流入はやや鈍った感がありました。

ただ、その翌週(3月第1週)には急増しています」

 毎月上旬は投資信託クレジットカードつみたての買いが入る。1カ月のうち第1週の純流入がどの月も多い傾向がある。

 ランキング外で投資信託関連の目新しい出来事は?

「投資信託協会による自主規制改正(2024年2月)で未上場株を組み入れた投資信託が登場し、話題となりました。宇宙関連株ファンドの資金流入が増えているのも印象的です」

〈新NISAランキングにご協力いただいた主要ネット証券5社のオススメ情報=本記事の元となるAERA Money誌面の欄外に掲載〉

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取材・文/中島晶子(AERA編集部)、大西洋平

松﨑裕美(まつざき・ゆみ)楽天証券 IR・広報部長。証券他社のマーケティング職を経て現職。楽天証券のYouTubeやセミナー、ラジオにも出演中の敏腕広報

武石謙作(たけいし・けんさく)ウエルスアドバイザー 投資顧問部長。グローバルな株式市場の調査・分析を経てファンドアナリストに。投資信託の動向・分析に関するレポートが好評

編集/綾小路麗香、伊藤忍

『AERA Money 2025夏号』から抜粋