質実剛健を旨とするスバルが、脱皮を試みた革新的なモデル!【GT memories14 アルシオーネ/アルシオーネSVXダイジェスト(2)】
モーターマガジン社が2025年6月11日に発行したムック本「GTメモリーズ14 AX7/CXD アルシオーネ/アルシオーネSVX」が好評だ。ここでは、そのダイジェストをお届けしよう。アルシオーネ/アルシオーネSVX、1985年5月に登場し、革新的なスタイルにスバル自慢の4WDシステムを搭載した車として人気を博した。連載第2回目はフラット6を搭載したアルシオーネVXだ。

基本デザインはマイチェン前キープ。だが、中身はまったく別物に

VRターボからの変更点は、新型樹脂バンパーとバックランプ内蔵リアガーニッシュ&リアコンビネーションランプだ。
1987年6月、アルシオーネのマイナーチェンジで、アルシオーネVXが登場した。このとき、エンジン、トランスミッション、駆動系、ステアリング、サスペンション、ブレーキの6つの要素に電子制御を加え、電子制御と合わせて高次元で調和させ、「新世代の高速4WDスペシャリティカー」を目指したのだ。
ここはエクステリアの項だが、ざっとこれらに触れておく必要があるだろう。このマイナーチェンジの最大の注目点は、2.7L水平対向6気筒エンジンを搭載したことだ。スバルが長年培ってきた水平対向4気筒以上に、低振動であり静粛性に優れている。吹き上がりが滑らかで、回転の全域にわたりフラットなトルクを有しているのが特徴だ。

ボンネットのエアインテークはVXで廃され、大型フォグランプも設置された。
さらに電子制御アクティブトルクスプリット4WD=ACT-4の採用が注目された。これはスバルが1981年のレオーネ4WD(AT)に採用したMP-T(油圧多板クラッチ)4WD方式を電子制御化させたフルタイム4WDシステム。これも詳細はテクノロジーティップスに譲るが、トルクスプリット4WDの元祖的メカニズムになる。
エクステリアはVRターボと相似形だが、中身は電子制御で別物に
ブレーキには、4センサー対角セレクトロ式ABSも搭載している。これは車輪回転速度とスピードセンサーを4輪すべてに設け、いずれかの車輪がロック状態に近づくとブレーキ圧を電子制御により自動的に減圧、加圧してロックを未然に防ぎ、安全性を向上させるシステムだ。

ウエッジシェイプが際立つサイドビュー。ホディカラーはマイカ・パールホワイト(写真)の他、ディープレッドが選択できた。
エクステリアだが、主だった部分はデビュー時のコンセプトをそのまま受け継いでいる。その中でもVXならではの変更点を解説していくと、新しいデザインのフロント、リアバンパー、フロントエアダム&フラップ、フロントエアダム埋込式大型フォグランプ、バックランプ内蔵リアガーニッシュ&リアコンビネーションランプが挙げられる。
フロント、リアバンパーは樹脂製で、従来よりも若干大型化されデザイン的にも、エアインテーク部分が一段引っ込むようなデザインとなり、そこがブラックアウトされ精悍さを増している。ナンバーがエアインテーク上からバンパー下に来たのも機能性を考えると良策といえる。

トランクリッドの左後端に貼られた「VX 4WD」のステッカー。右端にはALCYONEのステッカーが貼られる。
リアバンパーは従来はバックランプが組み込まれていたところをそれが、上方のコンビネーションランプ内に移設し埋め込まれよりスマートな印象になった。ボディカラーは高級ボディカラーとしてマイカ塗装の「パールホワイト」と「ディープレッド」が設定されている。
アルミホイールのデザインもエアロディッシュ風の専用14インチとなり、タイヤは205/60R14 87Hのブリヂストン・ポテンザとなっている。
アルシオーネVX主要諸元
●全長×全幅×全高:4510×1690×1335mm
●ホイールベース:2465mm
●車両重量:1300kg
●エンジン:水平対向6 SOHC
●排気量:2672cc
●最高出力:150ps/5200rpm(ネット)
●最大トルク:21.5kgm/4000rpm(ネット)
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:電子制御4WD
●10モード燃費:8.0km/L
●車両価格(当時):292.9万円