約3億円の資産を築き、49歳で私はFIREを果たした。今は世界を旅し、すでに40以上の国を訪れている

私たち夫婦は早期退職を目指して貯金してきた。そして今、世界中を旅行しながら、貯蓄と投資で生計を立てている。
- クリス・エングラート氏(58歳)は、20代のときに早期退職の計画を立て始めた。
- 何年もかけて貯蓄と投資を続け、200万ドル(約3億円)のポートフォリオを構築し、49歳で早期退職した。
- 夫妻は自宅とほとんどの所有物を売却し、現在は予算内でフルタイムの旅行生活を送っている。
本エッセイは貯蓄と投資ポートフォリオを構築して早期退職を果たしたクリス・エングラート氏(58歳)との会話にもとづいている。現在、彼女は夫とともにフルタイムで旅行している。以下は長さとわかりやすさの観点から編集を加えた。
大学卒業後の最初の仕事で、私は401(k)のマッチング制度と投資についてのオリエンテーションセッションに参加した。
当時22歳だった私は、それまで考えたこともなかった金融商品にすっかり魅了された。そのときに、それらを最大限に活用し、早期退職を目指してできる限りのことをしようと決意した。
その仕事でも、その後の仕事でも、出費を収入よりもはるかに低く抑えることで、給料からできるだけ多くの金額を貯蓄に回した。貯蓄額をこまめにチェックし、投資信託に投資し、勤務先の会社を通じて従業員割引価格で株を購入した。
当初は55歳での退職を目指していたが、貯蓄と投資で200万ドル(約3億円、1ドル=150円換算:以下同)を蓄積した時点で、退職の準備が整ったと思った。予想よりも早く実現したのである。
49歳で退職し、世界旅行の計画を立て始めた。
子どもたちが大きくなってから、夫と私は家を売ってフルタイムの旅行を始めた

予算をしっかり管理すれば、夫と私は何年も世界中を旅行できると気づいた。
予想より6年早く退職したものの、すぐに本格的な旅行生活を始めたわけではなかった。
夫の退職も待ちたかった。私たちは家計を別々に管理しており、夫は自分の貯蓄と投資が一定額に達してから私に合流したいと考えていた。また、子どもたちがもう少し大きくなる、少なくとも大学生になるまで旅行開始を待ちたかった。
それまでの期間を利用して、私は5カ月間の南米一人旅を経験し、ひとつの都市に1カ月ずつ住んでみた。そして、30日間ひとつの場所に滞在してから次の場所に向かうというこのモデルが、フルタイムでも楽しめるかもしれないと気づいた。
計算したところ、夫と私がそのような生活を送ることは経済的にも実現可能だとわかった。
デンバーでは、住宅ローン、光熱費、自動車保険などの支払いで月約6000ドル(約90万円)かかっていた。家や車といった最大の出費をなくせば、毎月それより少ない金額で快適に旅行して生活できる。
そこで夫が数年後に退職し、子どもたちが大きくなったときに、所有していたものをほぼすべて売却し、残りの持ち物を機内持ち込み用スーツケースふたつとバックパックに詰め込んだ。
この状態を、私たちは「ホームフリー」と呼んでいる。ホームフリーになった私たち夫婦は、2021年5月にフルタイムの旅行を始めた。
コストを減らす戦略を実践しながら、出費を月約4000ドル(約60万円)に抑えるよう努力している

通常、各地に約1カ月滞在する。
それ以来、アフリカ、東南アジア、南米、ヨーロッパなど40カ国以上を旅行した。
予算は月約4000ドル(約60万円)で、その半分は宿泊費、残りの半分は健康保険、娯楽、食費、交通費などにあてている。
旅行計画はさまざまだが、基本的には摂氏20度以上の暖かい天候を追いかけ、各場所に30日ほど滞在するようにしている。頻繁に移動する必要がないため費用を節約でき、賃貸業者と交渉すると長期滞在割引が得られることも多い。
より高額な都市では、宿泊費を節約するためにハウスシッティングをすることもある。そうした家は滞在中に車が利用できることが多いので、とてもありがたい。
大陸から次の大陸に移動する際は、費用を削減するために飛行機移動を避け、代わりにリポジショニングクルーズを利用するようにしている。リポジショニングクルーズとは、クルーズ会社が船団をある市場から別の市場に移動させる際に提供する割引航海のことだ。
何より、この刺激的なライフスタイルが気に入っているので、今後も続けていくつもりだ

英国、ヨーロッパ、東南アジア、オーストラリア、南米を旅行してきた。
これまでのところ、たくさんの旅行をするのはすばらしい経験だった。毎日が刺激的で、新しい挑戦が見つかるので、心を活発に保つことができる。多くの点で、数々の旅行が若さを保つ秘訣となっている。
よく家を離れているが、家族とのつながりは保ったままで、頻繁に話ができている。旅行を通じて、アメリカへの帰郷がいっそうありがたく感じられるようになった。
まだいないが、もし孫ができたら、このライフスタイルの課題のひとつになるかもしれない。しかし今のところ、ペースを落とす予定はない。
月約4000ドルの予算を守ることができれば、資金的にはさらに何年も旅行が続けられるだろう。