「オオタニもジャッジも未達成」…なぜ“無名の9番打者”だけがMLB史を塗り替えたのか

引用:gettyimagesKorea

大谷翔平(31)とフレディ・フリーマン(36)——いずれもMVP経験者であり、今シーズンのナ・リーグで最も攻撃面での存在感を放つ2人が、ドジャース打線の軸として改めてその実力を証明している。

今季MVPの最有力候補と目される大谷は、59試合で打率.288、長打率.653、23本塁打、39打点、64得点、11盗塁、wRC+180という圧巻の成績を残しており、フリーマンも50試合で打率.369、出塁率.435、9本塁打、40打点、wRC+192と、負けず劣らずの驚異的なペースだ。仮にこのままシーズン終了となれば、両者ともMVP投票でトップ3入りは確実とみられている。

そんな中、この「超豪華打線」にあって異彩を放つのが、今季からドジャースに加わったキム・ヘソン(26)だ。まだ試合数は24、打席数も55と限られているが、打率.404、出塁率.436、OPS.994と、目を引く数字を残している。サンプルが少ないとはいえ、無視できない存在感だ。

特筆すべきは、大谷やフリーマンでも成し遂げていない「1試合5出塁以上」の記録を、キム・ヘソンが今季すでに2度達成していること。これは今季ドジャースでは彼だけ、MLB全体でもわずか5人しかいない快挙だ。

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通常、試合の流れによっては打席が5回回ってこないことも多く、たとえ5回あってもすべて出塁するのは至難の業。それだけに、5出塁試合を複数回記録したという事実だけでも、並外れた集中力と勝負強さが伺える。

実際、今季MLBで5出塁以上を2回以上記録しているのは、ジョナサン・アランダ(レイズ/3回)、キム・ヘソン、カーソン・ケリー(カブス)、TJ・フリードル(レッズ)、ラファエル・デバース(レッドソックス)の計5名。大谷やアーロン・ジャッジでさえ、いまだ未達成という超レア記録だ。さらに驚くべきは、キム・ヘソンが「9番打者」としてこの記録を達成した唯一の選手であるという事実。9番に打順が固定されると5打席すら回らないことが多いため、ある種の「奇跡的条件」が揃わなければ実現できない記録でもある。

5月16日のアスレチックス戦では、2塁打1本を含む3打数3安打、2四球、2打点、1盗塁を記録し、一躍注目の的に。試合前まで打率.360だったが、この活躍で打率は一気に.429に上昇。また、メジャー初の四球もこの試合で記録し、出塁率も.467へと急上昇した。

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その後はプラトーン制の影響で出場機会が限定され、目立つ数字は残せなかったが、全国的な注目を集めた6月1日のヤンキース戦で完全復活。昨年のワールドシリーズカード再現ともいえるこの試合で、4打数4安打、1四球、2打点、2塁打1本、シーズン第2号本塁打を記録し、再びファンを沸かせた。

この試合では、本塁打を含む4安打5出塁の打撃だけでなく、内野でのアンアシスティッド・ダブルプレイ(無補助併殺)、さらには外野からの補殺まで記録し、1901年以降の近代MLB史上でこの3要素を1試合で達成した「初の選手」として歴史に名を刻んだ。

当然、今後もプラトーン制が足かせになる場面はあるだろう。しかし、それをものともせず、異次元の出塁パフォーマンスでファンの心をつかみ続けることができるか。キム・ヘソンの「第3の道」が、今まさにドジャース内で静かに花開こうとしている。

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