【10年ひと昔の新車】フォーカスは、フォードが久々に日本に導入したスポーツコンパクトだった
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォード フォーカスだ。

フォード フォーカス(2012年:3代目フルモデルチェンジ)

ウエッジシェイプの強い独特のスタイリングは、初代〜2代目から踏襲。Cd値は0.287を達成している。
フォーカスはフォードのCセグメント ハッチバックだ。先代となる2代目の途中までは日本にも導入されていたが、フェードアウトされて久しい。新型の3代目はスポーツハッチ色を強めて、間もなく(編集部註:2012年現在)日本に導入される予定だ。その国際試乗会からのレポートをお届けしよう。
新型フォーカスが来年(編集部註:2013年)には日本に再上陸する。フォード・ジャパン・リミテッドが2007年に先代の日本導入を中止してから約5年。フォーカスが日本に帰ってくるのだ。その国際試乗会は、タイのビーチリゾートであるクラビで行われた。
まずは「ザ・オールニュー」と謳われる新型フォーカスのトピックを紹介しておこう。前述のように日本への導入は来年(編集部註:2013年)前半の予定。ボディタイプは5ドア ハッチバックモデルのみ。パワートレーンは2Lの直噴 直4DOHCに6速パワーシフトと呼ばれるDCTを組み合わせ、前輪を駆動する。
吸排気の可変バルブシステムを採用した2Lの直噴DOHCエンジンは従来型より20%以上の性能アップを果たし、最高出力は170ps、最大トルクは202Nmを発生する。それに組み合わされるデュアルクラッチを装備した6速パワーシフトは、いまや新世代ミッションの最先端であり、VW ゴルフなどにも採用されるDSGと基本システムは同じだ。

日本仕様も搭載エンジンは、この170psと202Nmを発生する2LのデュラテックDOHCとなる。もちろん横置きのFFだ。
このクラスのベンチマークであるゴルフを上回っている

リアコンビネーションランプの形状がユニークだ。全幅は1823mmあり、Cセグメントとしてはけっこうワイドだ。
タイでの国際試乗会というのは経験がなかったが、ワインディングロードは予想以上にトリッキーで楽しく、また高速道路は空いていて整備されている。路面状態は良いとはいえないが、ニューモデルの評価にはもってこいの適度なアンジュレーションだ。しかも今回はポリス エスコートが付いて超法規な走行も許された。峠道はエスコート車を追い回すほどガンガン攻め、高速道路では200km/h前後のクルージングもできたほど。
その印象だが、まず室内は静かで乗り心地が良くフラットライドだ。トルクベクタリング機能を備えているおかげで、FFとは思えないライントレース性能を発揮した。突起を乗り越えるハーシュが小さく、専用開発のミシュランタイヤのおかげでロードノイズも低い。
そしてシートはサポート性が高く座り心地も良い。メーカー&サプライヤーのコラボがしっかり成功している結果だろう。リアシートにも乗ってみたが、驚くほどノイズレスで突き上げも少ない。このクラスのベンチマーク的存在であるゴルフを上回っているといっても過言ではないだろう。
超高速域の安定性も素晴らしい。ニュートラル域の座りが極めて良く200km/h走行でもきっちり真っ直ぐ走る。Cd値はクラストップレベルの0.287だが、これはアクティブグリルシャッターと呼ばれる、ラジエター前に設置されたシャッターを高速域で閉じることによりドラッグ(空気抵抗)を低減するシステムの効果もある。ドラッグの小さい低速域では、しっかりと開けて冷やすのだ。新しいフォーカスは、魅力に満ちたスポーツコンパクトに成長していた。日本への導入が楽しみだ。

センターダッシュのダイヤルでオーディオなどをコントロールする。ミッションは6速のパワーシフトATと呼ばれるDCT。
●全長×全幅×全高:4370×1810×1480mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1380kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1998cc
●最高出力:125kW(170ps)/6600rpm
●最大トルク:202Nm(20.6kgm)/4450rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:215/50R17
●当時の車両価格(税込):293万円