ミニバンフル乗車で加速性能はどれだけ落ちる? クルマのあんなことこんなこと ビミョーな変化をテストで確かめる【ベストカーアーカイブス2013】

ミニバンフル乗車で加速性能はどれだけ落ちる? クルマのあんなことこんなこと ビミョーな変化をテストで確かめる【ベストカーアーカイブス2013】

 ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2013年9月の企画「クルマの微妙な違いをテストで実証」より、クルマの様々な性能テストを行った「TESTで実証・あんなことやこんなこと」をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年9月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:編集部/番外コラム「クルマが水没した場合にドアや窓は開くのか?」の写真・データ提供:JAF

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■アイドリングストップON/OFF 燃費はどれだけ差が出る?

ミライースのインパネにはアイドリングストップ時の燃料節約量が表示される。これによると10秒あたり1ccの燃料が消費される

 各メーカーの開発陣に取材をすると、アイドリングストップ機能を付加することで燃費アップの貢献率は10%程度だという。エンジンのフリクション低減など、メカニカルなことをしても数%の効果というから絶大。

 マツダの実験によると、都内などで一般道を走ると平均して走行時間の3分の1程度はアイドリングストップするという。

 では実際に走ってテスト。デミオ13SKYACTIVを2台用意して1台は「i-stop」をキャンセルして走行。朝の混雑が一段落した都内一般道を1時間程度走行したところ、アイドリングストップ作動車の燃費は16.9km/L、非作動車は14.0km/Lでその差は17%!!

 アイドリングストップしていた時間は19分2秒で、走行時間の約29%であった。ほぼマツダのいうとおりのパーセンテージだ。

 同じようにミライースでテストをしたところ、17.3km/L対15.2km/Lでこちらも10%以上の差がついた。確実に効果アリ、だ。

アイドリングストップのON/OFFで燃費にこれだけの差が!

■ハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れるとパワーは落ちる? 燃費はどうなる?

ハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れることは可能だが、トルクが落ちた結果、アクセルを踏み込むため燃費が悪化した(※写真は本企画の別の実験でトヨタ86に給油した際のもの)

 ハイオク指定車でも緊急避難的にレギュラーガソリンを入れることは可能。ただし、耐ノック性に劣るレギュラーガスを入れた場合、ノックセンサーの働きで点火時期を遅らせるなど、クルマ側が自動的に対応することでパワーやトルクが低下する。

 実証テストは2代前のレガシィツーリングワゴン2.0Rで実施。結果は左の表のとおりだが、トルクぶんアクセル開度が大きくなり燃費は悪化。ガソリン価格の差額を考慮しても「得はできない」ことが判明した。

 同様のテストをR35GT-Rでも実施したのだが、ハイオク時は485.8psだったものがレギュラーガソリンを入れてテストすると473.8psに約3%低下する結果となった。

ハイオク指定車にレギュラーガソリンを入れると!? ※ハイオク=170円/L、レギュラー160円/Lで計算

■ミニバンフル乗車で加速性能はこれだけ落ちる!

 最大7~8名が乗れるミニバン。フル乗車では荷物を含めると、1名乗車時よりも500kg以上重くなることもある。フル乗車するとどれだけ加速性能が落ちるのか?

 過去のテストを参考にすると、先代エルグランドの3.5L車(240ps/36.0kgm)で、0~400m加速テストをした結果、1名乗車時のタイムが17秒30、フル乗車が17秒66。0.36秒タイムが落ちた。

 また、2Lのストリームで行なったテストでは、1名乗車時が17秒12、7人乗車時は18秒76と、1秒64ものダウン。排気量の少ないモデルほどタイムの落ち込みが大きいといった結果が生まれている。

■エコタイヤの転がり抵抗はこんなにも差が出るのだ!

エコタイヤの転がり抵抗はこんなにも差が出る!!

 横浜ゴムの「ECOS ES31」は究極のエコタイヤというものではなく、どちらかといえばECO性能も引き上げた汎用タイヤという位置付け。とはいえタイヤグレーティングでは「A-c」を獲得している。

 それでも、旧来製品のDNA ECOSと比較するとずいぶんと転がり抵抗を引き下げ、ウエットブレーキ性能を向上させている。 

 斜度8度のスロープからNレンジでクルマを転がすテストをすると、DNA ECOSが74.9m空走したのに対しES31に交換すると86.2mへと15%程度伸び、転がり抵抗の低さが空走距離にこれだけの影響を与えることを実証。

 当然、これが燃費に影響してくるというわけだ。

転がり実験の結果

■クルマのバッテリーの持久力ってどんなもの!?

 ヘッドライトと車内灯を点灯したままで何時間バッテリーはもつのか? こんな実験を過去にベストカーでは、新品バッテリーを社用車のステージアに設置して行なっている。

 ヘッドライトと車内灯を点灯して、そのまま放置したところ……。スタートから1時間後はまだまだ問題なし。3時間後になるとややライトが暗くなってきたようだが、キーをひねれば一発でエンジンは始動する。

 しかし、それから1時間後、つまりテスト開始から4時間経過であっけなくヘッドライトの灯りは消えてしまった。ブースターケーブルでほかのクルマのバッテリーにつなげてみてもウンともスンともいわず、完全にバッテリーが死んだ状態になってしまったもよう。

 なお、車内灯の点灯だけで何時間もつのか? も過去にテストしていて、こちらは9時間を経過してもエンジン始動することができた。

【番外コラム01】乗車人数で燃費はビックリするほど変化する!

乗車人数で燃費はこんなに変わった!

 車重が増えると燃費が悪化することは直観的に理解できるのだが、さて、どの程度の重量増加でどの程度の燃費悪化の影響が出るのだろう!?

 小排気量、小パワー車のほうがより顕著に差が出るだろうと、パッソ1.3Lでテストした。一般道を30km程度走って車載燃費計の数字で確認するという手法。

 結果は左の表のとおり。体重62kgのドライバー1名時は12.8km/Lだった実燃費が助手席に55kgのスタッフを乗せると12.2km/Lに悪化。さらに後席に90kgのちょっと重ためのスタッフが乗ると11.0km/Lとなり最後は4名乗車で走ると10.2km/Lまで燃費は悪化した。運転していても明らかに重たく、アクセルを踏み込む量が増えたからなぁ~。

【番外コラム02】クルマが水没した場合にドアや窓は開くのか?

どこまで浸水すると、ドアやパワーウィンドウが開かなくなるのかをテスト。ドアノブくらいの深さになると脱出は難しくなる(写真・データ提供:JAF)

 JAFではクルマの水没時に、内側から窓やドアが開くのかを検証するテストを行なっている。果たして何cm沈んだ時点でドアや窓は開かなくなるのだろうか?

 このテストは、セダンを2mの穴の中に置いて水位を上げていき、10cmごとに開閉できるかチェックするというもの。結果、運転席ドアは水深60cmまでは問題なく動いたが、70cmからは力が必要、ドアノブあたりの80cm以上は開きにくくなった。パワーウィンドウも水深90cmで作動せず。車内に留まらずに、早めの脱出が必要だ。

 また、ミニバンをクレーンで吊り上げて水の中に沈めていくテストも行なっており、この結果は水深90cmで運転席ドアもスライドドアも開かなくなっている。

(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

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