四半世紀走れますか? アスリートの名に恥じぬトヨタ クラウン17系!

クラウンエステートのご先祖はなんと1999年登場の17系にあったのだ!

 走行に必要な主要部品が壊れにくく、いつまでも健康に走り続けられるクルマと言えば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。筆者は真っ先に11代目クラウン(17系)が思い浮かぶ。登場から既に四半世紀を超え、それでもなお現役で走っている姿を数多く目にする17系クラウン。なぜ歴代クラウンの中でも17系の息が長いのか。クルマの詳細を振り返りながら、長持ちのヒミツを探っていきたい。

文:佐々木 亘/画像:トヨタ

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アスリート復活にエステート追加!話題に事欠かなかった17系

クラウンエステートのご先祖はなんと1999年登場の17系にあったのだ!

 1999年9月に発売された11代目クラウン。当代から4ドアハードトップの設定が無くなり、サッシュ付きドアを採用する4ドアセダンの1つとなった。

 車種構成は定番のロイヤルに加えて、スポーツグレードのアスリートを設定。また、ステーションワゴンが新規開発され、クラウンエステートと改称している。最新の16代目に追加されたエステートのご先祖様がコレである。

 エクステリアは歴代のクラウンに共通した水平基調のイメージを踏襲し、Bピラーをブラックにしてハードトップ風に仕上げた。グレードはグリルの形状で見分ける事ができ、ロイヤルが格子状のグリルに異形角型のヘッドランプを採用。一方でアスリートは、グリルの格子が細かくなり、ヘッドライトは丸目4灯へと変わっていた。

 室内はベージュ系とグレー系の2色のインテリアカラーが設定され、アスリートのフロントシートはスポーツタイプ、ロイヤルの後席左側にはオプションでオットマンを付けることができる。メーターはオプティトロンで、回転計・速度計・燃料計&水温計の3連スタイル。

 電動リアサンシェードや4:6分割の可倒式リアパワーシートがグレード別装備として用意され、快適かつ豪華な仕様となっている。また、エアコンやオーディオなどを画面タッチで操作できるDVDボイスナビゲーション付きエレクトロマルチビジョンが用意され、未来感のある室内に仕上がっていた。

成熟した心臓部と足回りが長寿のヒミツ

アスリートVはなんとソアラと共通の280PSの2.5L DOHCターボの1JZ!

 17系クラウンのエンジンバリエーションは、2.5Lの直列6気筒DOHC(1JZ型)と3.0Lの直列6気筒DOHC(2JZ型)。組み合わせられたトランスミッションは、電子制御式の4速・5速ATだ。アスリートのFRモデルには、ステアリングから手を放さずにシフト操作ができる、ステアマチックを採用している。足回りは、ダブルウィッシュボーンの4輪独立懸架を継承した。

 安全装備は、EBD(電子制動力配分制御)付ABSとブレーキアシストを全車に標準装備。一部グレードにはVSCも標準装備された。

 1JZや2JZエンジンを使うのは、17系クラウンが最後であり、12代目の18系では3GRや4GRへ変更される。つまり17系はクラウン最後の1JZ・2JZエンジン。熟成を重ねてきたエンジンを積み込んだ最後のモデルと言えよう。

 さらに足回りにも余計な電子制御などは無く、安全装備も今のクルマと比べれば最低限だ。電気部品が少ない点も、長寿の秘訣と言えるだろう。

 17系クラウンで故障しやすいのは、前段で紹介したエレクトロマルチビジョン。電気系統は一般的なクルマといっしょなのだが、クルマの柱とも言える心臓部や足回りは、余計な電子部品が少なく、シンプルに成熟したものを使っているため、基本的な整備のみで長く乗ることができるのだ。

長く乗れる17系はアスリートを探せ!

四半世紀前だからって侮るな? それだけ耐えれる名車ということだ

 今もなおトヨタ販売店に入庫し続ける息の長い17系は、ほとんどがアスリートなのである。なぜロイヤルよりもアスリートの方が、大きな故障もなく安定しているのか、その確たる理由にはたどり着けていないのだが、一つ言えることはロイヤルユーザーよりもアスリートユーザーの方が、クルマをしっかりと見ているということ。

 つまりアスリートに乗っていた人の方が、定期メンテナンスをしっかりと行い、消耗部品をケチらずに変えている人が多い。鉄腕の17系とはいえ、ノーメンテで健康な状態を維持できるわけではない。しっかりとしたメンテナンスがあって、初めてクルマの底力が発揮されるのである。

 20万キロは普通、30万キロでちょっとガタが来て、40万キロ手前でターボなどに不具合が出てくる17系クラウン。今から10万キロ超20万キロ未満の中古車を検討する場合は、アスリートの整備歴がしっかりとしたクルマを選ぶと良いだろう。

 しっかりと走ったクルマは壊れにくい。これを四半世紀かけて自動車ユーザーに教えてくれているのが、17系クラウンという存在だ。あと10年くらいは、現役で走り続ける姿を見ることができるのではないだろうか。

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