初心者がハマりやすい“投資信託のワナ”とは?波乱相場の今こそ基本を復習しよう!
波乱相場が続き、投資信託の成績も乱高下。投資を始めて間もない人の中には、大きな損失を食らって慌てた人もいるかもしれない。とはいえ、投資にアップダウンは付き物。投資信託は基本的に“長期投資”を前提とする商品が多いので、今後も投資信託と付き合っていくなら、暴落時にいちいちうろたえないようにしたいところだ。そのために、押さえておきたいのが投資信託のキホン。ここでは、初心者が陥りがちな“ワナ”とその真否を徹底解説する!(ダイヤモンド・ザイ編集部)
「分散投資」や「積立投資」を少額でできる
投資信託は、初心者にも買いやすい金融商品
2024年に新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、初めて投資信託を買った人も多いだろう。このとき、もっとも人気を集めた投資信託は“オルカン”の愛称で知られる「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」だ。しかし、2025年に入ってからは、米国のトランプ大統領が関税政策などを打ち出したことで、株式市場は大荒れ。始めたばかりの新NISAで含み損を抱え、右往左往した人もいるはずだ。
ここであらためて、投資信託のキホンをおさらいしておきたい。投資信託は、1本持つだけで分散投資が可能な金融商品。しかも、ネット証券なら100円という少額から買える。そして何よりも、積立投資に適しているのが大きな特徴だ。そのため、個別株への投資よりも、初心者に向いている。
だが、今回のような波乱相場に動揺することなく、長期目線で資産形成していくには正しい知識が欠かせない。そこで、以下では初心者が陥りがちな“3つのワナ”と、その対処法を紹介しよう!
【初心者が陥りがちなワナ1】
相場が悪いときは積立をやめて様子を見るべき?
日本株を代表する株価指数の一つであるTOPIX(東証株価指数)は、3月の高値から4月7日までに19%もの下落を記録。同時期、オルカンも16%値下がりした。新NISAが始まった2024年は、オルカンや米国株、日本株のいずれも好調だったので、「こんなはずではなかった」と積立をやめてしまったり、慌てて売却したりした人もいるかもしれない。
しかし、一時的な株価の下落に動揺して、積立をやめてしまうのは、最悪のパターンだ。下の図が示すように、世界の株式市場は過去20年の中で、何度も「○○ショック」と呼ばれる大きな下落を経験してきた。しかし、その都度、数年後に回復している。

「100年に一度」といわれた2008年のリーマン・ショック時でさえ、6年半後に株価は下落前の高値を取り戻している。長期で見れば、世界の株価は右肩上がりで上昇しており、10年以上の長期スタンスで積立投資をするなら、一時の下落は恐れなくてもいいのだ。
なお、積立金額は自分が無理なく続けられる額に設定しよう。もっとも大切なのは、できるだけ早く始めて、長く続けること。少額からでいいので、まずはスタートして時間を味方につけよう。価格変動に慣れてきたり、生活費に余裕が出てきたりしたとき、徐々に積立額を増やしていくといいだろう。
【初心者が陥りがちなワナ2】
初心者はリスクが低い投資信託を選ぶべき?
投資の初心者の場合、債券を組み入れた「バランス型」の投資信託など、リスクの低い商品を選ぶのが正解だと考えやすい。しかし、実際はそうとも限らない。株式をメインで組み入れる「株式型」のような、値動きの大きい投資信託のほうが値上がりのチャンスは多いので、効率的に資産を増やしたいなら組み入れていったほうがいいだろう。
そして、長期の積立投資であれば、リスクを抑えることもできる。積立投資は、価格が高いときは買い付ける量(口数)を減らし、安いときは増やす。結果として1口あたりの平均取得価格を低く抑えられる。これが「ドルコスト平均法」と呼ばれる効果だ。

高値で一括投資をして、その後価格が下落した場合、損をなかなか取り戻せなくなる。また、価格が下落している局面では、心理的に購入をためらいがちだ。一方、積立は自動買付のため、価格変動のリスクを抑えつつ、人間の心理的な弱点を克服してくれる。
【初心者が陥りがちなワナ3】
人気のオルカンとS&P500を組み合わせれば分散はバッチリ
資産形成の基本は「長期」「積立」「分散」。一つの投資対象に資金をつぎ込むよりも、投資先を分散したほうが損失拡大のリスクを抑えられる。そもそも投資信託は、複数の株や債券などを組み入れて運用するため、1本保有するだけで分散効果がある。2本、3本と保有する本数を増やせば、分散効果をより高めることも可能だ。
しかし、組み合わせ方に注意が必要。例えば、人気の高いオルカン(全世界株型)の中身を見ると、組み入れている株の約6割が米国株だ。その一方で、新興国株は1割程度に留まる。全世界株型といっても、オルカンだけを持っている状態だと、米国株メインで投資しているのに等しいのだ。
そこに、分散効果を高めようとして米国株型の投資信託(S&P500型の投資信託など)を組み合わせると、オルカンだけに投資するよりも、米国株の比率が高まってしまう。よって、投資信託を複数持つことで、分散したつもりにならないように要注意。それぞれの投資信託の中身をきちんと確認しよう。
