投資を始める前に、誰もが知っておくべき12の原則

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

Shutterstock/Anchiy

  • 投資は誰でも始めることができるが、多くの人が怖気づき、何から始めていいかわからず、二の足を踏んでいる。
  • しかし、現金の価値は毎年平均3.87%低下していくため、それを上回るペースで資産を増やす唯一の方法は投資なのだ。
  • 投資を始める前に、誰もが知っておくべき12の原則をご紹介しよう。

一般的に、投資を始めるには専門家でなければならないと考えられているが、実はそうではない。また、投資を始めるのに裕福である必要もない。だが、多くの人が怖気づき何から始めていいかわからず、資産運用に二の足を踏んでいる。

しかし、投資は極めて重要だ。インフレで毎年お金の価値は平均3.87%低下していく。それを上回るペースで資産を増やす唯一の方法は投資なのだ。

節税効果の高い退職基金への拠出から、株式や投資信託の購入まで、さまざまな投資形態があり、どこに投資するか決めるのはあなた次第だ。では、投資を始める前に、誰もが知っておくべき12の原則をご紹介しよう。

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない

株式市場の過去の値動きを見ても将来を確実に予想できない。

誰も市場を確実に予想することはできない。プロは情報を収集して推測するが、それでも市場予想は将来の予想であり、確実に言い当てることは不可能だ。だったらわざわざ予測などしない方が良い。

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

評価すべきリスクは常にある。

2. 投資には常にリスクがつきもの

むしろ、投資はほとんど保証されていない。資産は増えることも減ることもあるため、近い将来現金がすぐに必要ならば恐らく投資をしない方が良いだろう。相場が下がっても下落を取り戻す時間が十分にないため、5年後にその資金が必要ならば投資は勧めないというマネーのプロもいる。

3. 投資の専門家になる必要はない

勤務先に企業型確定拠出年金制度(401(K))があるなら、それから始めるのが手っ取り早い。その次に個人型確定拠出年金(iDeCo)への拠出を検討し、それからその他投資プラットフォームを調査しよう。

一人で考える必要はない。ファイナンシャルプランナーやウェルスアドバイザー、ロボアドバイザーが伴走してくれる。

もっと自分でやってみたい人には情報もたくさんある。投資の基礎や戦略、ヒントを教えてくれる人気の書籍を借りたりポッドキャストを聞いたりしてみよう。

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

あなたの最大の資産は時間だ。

4. 早く始めるのは大きなメリット

特に20代なら最大の資産は時間だ。退職基金などほぼあらゆる資産では福利の効果に勝るものはない。また、相場で損をしても、その資産が必要になるまでに取り返す時間はたっぷりある。

とはいえ、タンス預金の言い訳として「投資を始めるのが遅すぎた」というのはいただけない。失った時間を取り戻すために不必要に高いリスクを取らない限り遅くてもやらないよりましだ。

パーソナルファイナンスの他のあらゆる側面と同様に、「手っ取り早くお金持ちになる」のに投資はふさわしくないだろう。

5. 何よりも目標が必要

何のために投資をしているのか? その目的は何か? 目標は?

「終わりから始めよう。投資の目的が何かを理解しよう」というのは、自動で個人に合わせたファイナンシャルプランを作成するアイクオンティファイ(iQuantifi)CEOトム・ホワイト氏だ。家や子どもの養育費、余暇または退職後の生活のための貯蓄など、目標を立てると時間軸がより明確になり、どのような投資が良いか理解しやすくなるだろう。

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

戦略を立て、それを貫く。

6. 期間によって投資方法は異なる

投資期間とは、投資している資産が必要になるまでの年数だ。投資期間は目標を立てると明白になるはずだ。投資期間を設定したら、何に投資をし、どのような戦略を立てられるか判断しやすくなるだろう。一般的には資産が必要になるまでの時間が長いほど、より多くのリスクを取ることができる。逆風が吹いても損失を取り戻す時間があるからだ。

「一般的に投資には3つの資産クラスがある。現金、債券、株式だ。これら3つの資産クラスでは、一定期間におおよそ期待できる収益率の範囲がそれぞれ異なる」とホワイト氏は言う。これら収益率の理解は投資方法の決定に役立つだろう。

投資期間にかかわらず適切な投資分散ポートフォリオを維持したい。この点については後ほど詳しくする。だが、時間軸を念頭に置くと、何に投資すべきか判断しやすくなる。

0~2年以内に資金が必要な場合

ホワイト氏が最初に挙げた資産クラス—現金—には、預金口座、譲渡性預金(CD)、マネーマーケット口座など複数のサブカテゴリーがある。現金の収益性は一般的に低いが安定している。そのため、近い将来資金が必要ならば現金が最善の選択肢だと、ホワイト氏は言う。

2~5年以内に資金が必要な場合

「一般的に、債券全般の一定期間の収益率は3%から高くて8%」とホワイト氏は言う。債券は株式よりも安定しているが現金よりも収益性は高いので、2~5年以内に達成したい目標があるならば債券が最も適切だろう。むろん価格は変動するが、総じて株式ほどではない。

5年後以降に資金が必要な場合

5年を超える目標については、ポートフォリオの株式の比重を引き上げられる。最終的に株式はインフレ率を上回り、最も高いリターンを上げる可能性があるからだ。

「価格変動は予想しておかなければならない。収益率の幅は広く、2008年のマイナス38%から2009年と2010年の30%超までありうる。だが長期的に株式は70~80年間で約8%のリターンを確実に上げてきた」(ホワイト氏)。

7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く

前述の通り、投資を分散することは重要だ。

分散とは、資産をさまざまな種類の投資に広げることだ。どの程度投資ポートフォリオの分散を図る必要があるかについて選択肢は数多くあるが、1つのかごに卵を全部入れるのは災いの元だという意見には、大半の人が同意する。

「個人のリスク許容度に見合う、完全に世界中に分散された株式と債券ポートフォリオの構築を検討しよう」と、投資アドバイザーのジョナサン・デヨー氏はBusiness Insiderで説く。「ポートフォリオの株式部分については全世界株式指数に、債券部分については世界分散債券指数に、それぞれ連動する投資マネージャーや投資信託、上場投資信託(ETF)を探すのは簡単だ」

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

ウォーレン・バフェットやジョン・C・ボーグルは、低コストのインデックスファンドを推奨している。

8. どんな投資にも手数料がかかる

投資はタダではない。投資のプロに頼むならば、ポートフォリオの一定割合か定額を手数料として支払うので、アドバイザーが「フィーベース」なのか「フィーオンリー」なのか契約前に知っておこう。

ロボアドバイザーなどオンライン投資プラットフォームでは、口座残高に応じてそれぞれ独自の手数料体系を設定しており、毎年一定割合を手数料として徴収する。

投資信託やETFも手数料を徴収しており、「経費率」(パーセントで表示され、通常0.2~2%)と「販売手数料」(取引手数料)をあらかじめ開示している。販売手数料がゼロの投資信託も多い。

ウォーレン・バフェットやバンガード・ミューチュアル・ファンド・グループのジョンC.ボーグル創業者兼前CEOは、特定の市場指数に連動する低コストのインデックスファンドへの投資を推奨する。バフェットはS&P500種株価指数に連動する投資信託を勧める。

手数料を最小限に抑えるためにリサーチをしよう。投資信託情報会社の「検索」機能を使って、投資信託の経費率や最低投資額、インデックスファンドについてその他役立つ情報を探せる。

9. 利益に税金がかかる

税金は投資に大きな影響を与えうる。

投資で得た収益をタダで手にすることはできない。投資の収益は、基本的に配当金と譲渡益の2種類あり、どちらも日本の場合、所得税15%と住民税5%、さらに復興特別所得税0.315%(2037年12月末まで)の合計20.315%の税金が課せられる。

いくつかの制度を利用すれば、これらの税金を回避することが可能だ。たとえば、NISA(少額投資非課税制度)なら、最大1800万円の投資額分まで、投資収益を非課税にすることができる。さらに、iDeCoや企業DCなど確定拠出年金を利用すると、前述の3つの税金に加え、拠出金自体の所得税も控除されるため、よりお得だ。ただし、確定拠出年金の場合、60歳まで取り崩しはできない。

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

マシンの手にあなたのお金を委ねることもできる。

10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある

前述したロボアドバイザーは、独自のアルゴリズムを活用して、投資家のために資金を運用してくれる投資運用サービスだ。投資家はただ、口座を開設し、資金を振り込めば良い。そうすればロボアドバイザーが分散ポートフォリオを組み、リバランスまでやってくれる。

ロボアドバイザーの手数料体系は、日本の場合、1%前後が一般的だ。人気のインデックスファンドなどは、0.1%を切るものが主流で、それに比べるとコスト高に感じるだろう。だが、ロボアドバイザーの場合、インデックスファンドよりも下落耐性が高く、さらに安心して預けられるというメリットがある。

ロボアドバイザーは、投資に関してプロの専門知識を活用したいが、投資アドバイザーやファイナンシャル・プランナーは雇用したくない、比較的資産状況がシンプルな人にうってつけだ。

11. 感情的になりやすい

お金のことになると、不安や強欲、イライラで選択が鈍ることが多い。こうした感情によって、その時により安全なポジションやさらに保守的に見える投資へと絶えず資産を移したくなり、結局は最も健全なポートフォリオでさえもダメにしてしまうことがある。

だから、投資については、ほったらかしが最善策の1つなのだ。

「パフォーマンスの悪い投資を衝動的に売却することを避け、分散ポートフォリオを継続しよう。そうすれば避けられない短期的な相場変動を切り抜けられる」と、シェリー・アン・エウェイカ(Shelly-Ann Eweka)CFPはBusiness Insiderに書いている。

長期投資計画に集中するために、日次または週次で株価や証券口座をチェックしたくなる衝動を抑えよう。市場は日々変動するものだし、個別銘柄もそうだ。長期投資家ならば、絶えず変わる価格に不安を感じる必要はない。

1. 株式市場の過去の値動きは、必ずしも将来を予想するものではない, 2. 投資には常にリスクがつきもの, 3. 投資の専門家になる必要はない, 4. 早く始めるのは大きなメリット, 5. 何よりも目標が必要, 6. 期間によって投資方法は異なる, 7. 資産を1カ所に全額投じると災いを招く, 8. どんな投資にも手数料がかかる, 9. 利益に税金がかかる, 10.「ロボアドバイザー」投資という選択肢もある, 11. 感情的になりやすい, 12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

子供が生まれると資金計画が変わる。

12. 永遠に投資をほったらかしにすることはできない

ある一定地点までは資産をほったらかしておくべきだ。だが人生ではさまざまなことが起こり、特に人生が大きく変化する時には資産の調整が賢明なこともある。

たとえば、早期退職を決めたなら、投資期間やポートフォリオで取るリスク量を調整し直す必要があるだろう。資産が拡大し、投資期間の終わりに近づくにつれて、当初構築したポートフォリオがニーズに合わなくなることもある。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。