【WUBS2025】日体大、昨年の悔しさを晴らせるか?
【WUBS2025】日体大、昨年の悔しさを晴らせるか?
8月9日(土)~11日(祝・月)に国立代々木競技場第二体育館で開催される大学バスケットボールの“夏の祭典”、ワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ(World University Basketball Series=以下WUBS)。このビッグイベントに、スプリングトーナメントで3連覇(通算23回目)を成し遂げた日体大が、2年連続2回目の出場を果たす。
今年の大会には、昨年の王者デ・ラサール大(フィリピン)、準優勝の高麗大(韓国)、3位の国立政治大(チャイニーズ・タイペイ、以下NCCU)、そして一昨年の8位から4位に躍進したシドニー大(オーストラリア)と上位の大学がそろって出場する。海外からはほかにも、現時点でのフィリピンの大学王者であるフィリピン大、香港の強豪として知られる香港大がやってくる。日本からは日体大のほかに日本学生選抜も2年連続で出場する。
【関連リンク】
☆WUBS公式HPをチェックサイト
☆WUBS2025 観戦チケットはこちらから
昨年の大会で日体大は、チャイニーズ・タイペイの王者でWUBSにおいてはディフェンディング・チャンピオンだったNCCUとの初戦で71-79の黒星を喫し、4強入りを逃した。その後は5-8位決定戦でペルバナス・インスティテュート(インドネシア)に94-71、5位決定戦で日本学生選抜に93-77と連勝して日本勢としては最高位となる5位に食い込んだものの、藤田将弘監督も選手たちも悔しさをかみしめさせられる結果だった。
☆これまでのWUBS全試合無料配信中
WUBSを終えて間もなく開幕したオータムリーグは、夏場の学びを生かし悔しさを晴らす25年ぶり25回目の優勝。ただ、締めくくりのインカレでは名古屋学院大との準々決勝を87-106で落とし、大学日本一のタイトルを逃している。総じて、ポテンシャルを結果にコート上で表現しきれなかったような2024年度。WUBSはある意味でその象徴のような大会でもあった。
堅守速攻! 爆発力でスプリングトーナメント3連覇
躍進を期する新チームは、最上級生フォワードの早田流星がキャプテンを務める。昨年の悔しさを知る上級生が多く残るロスターで、強度の高いディフェンスを最重視して走り勝つのがスタイル。早田は「得点を80以上に伸ばし、失点を60以下に抑えるのが毎試合の目標」と話していたが、スプリングトーナメントでは全5試合で平均得点が89.6、平均失点が68.8 と上々の数字を残した。
キャプテンを務める早田流星。随所でリーダーシップも感じさせている(©月刊バスケットボール)
個々にはエースの小澤飛悠(3年/フォワード)が最優秀選手賞を受賞したほか、優秀選手賞に身長207cmのコネ ボウゴウジィ ディット ハメード(3年/センター)と西部秀馬(4年/フォワード)が名を連ねた。スタッツランキングでも、小澤が得点王、コネがリバウンド王、そして月岡熙(4年/ポイントガード)がアシスト王。結果としての王座獲得は、経験豊富な個々のタレントが絆を深め、チーム力を発揮できていたことを物語る結果だ。
スプリングトーナメントでは、慶応義塾大と対戦した初戦を除きコネ、西部、早田、月岡、そして石川響太郎の5人がスターター。1Qを終えてビハインドを背負ったのが白鷗大との決勝のみという点を見ても、安定感のあるラインナップと評価できるだろう。
しかし、ここに小澤の名前がないところも日体大の強みだ。準々決勝以降の3試合では、ベンチスタートの小澤がチームトップとなる平均26.7得点を記録。3Pショットも平均4.7本中2.0本を決め成功率42.6%と非常に効率が良かった。91-87と接戦の末に白鷗大を下した決勝は33得点。相手をほんろうする巧みなムーブから繰り出す変幻自在のプレーメイク、ショットメイクでピンチを救い、チャンスを広げた。
同じ準々決勝以降の3試合では、司令塔の月岡も平均7.0得点、8.7リバウンドに7.0アシスト、2.3スティールと縦横無尽の躍動を見せている。決勝では15得点、5リバウンド、7アシストに4スティール。トランジションで相手の一瞬の隙を突き、タッチダウンパスで得点機を演出するなど、チームの目指すスタイルをしっかり体現した。インサイドの要であるコネも、同じ3試合で平均22.3得点に19.0リバウンドと頼もしい貢献ぶり。決勝も27得点、16リバウンド、6アシストに1スティールとモンスターゲームを披露してチームを鼓舞した。スピード感あふれるガード陣のリードの下、小澤、コネ、そして西部(同じ3試合で平均17.3得点)のスリートップの爆発力を封じるのは、相手にとって至難の業に違いない。
司令塔を務める月岡煕。スプリングトーナメントでもその活躍が光った(©月刊バスケットボール)
決勝の戦いぶりにはチーム力に対する自信が感じられた。前半はビハインドが2桁に広がる局面が何度かあったが、動じることなく自分たちのバスケットボールを遂行。後半は流れを引き寄せ、逆に2桁のリードを築く。粘る白鷗大に何度も追いすがられたが、辛抱強く戦い抜いた。2点リードで迎えた4Q残り21秒、コネからのパスを受け最後のフィールドゴールをねじ込んだのはキャプテンの早田。どこか今年度のチームのあり方を象徴するような場面だった。
☆WUBS公式HPをチェックサイト
☆WUBS2025 観戦チケットはこちらから
経験豊富な新チーム、下級生の成長もカギ
スプリングトーナメント時点では上記の主力が主力らしくチームのけん引役となっていた日体大だが、今後はロスターの厚みを加えていく必要もあるだろう。上記のスターター5人のほかに出場機会が多かったのは、初戦でスターターに名を連ねた山口瑛司(2年/ポイントガード)、身長200cmの新1年生サー シェッハら。新人戦を経てWUBS 2025を迎える頃には、彼らをはじめとした下級生の成長も大いに期待したいところ。一方で成熟度を増しているだろう上級生たちとのケミストリーも間違いなく深まっていることだろう。
加えて藤田監督は、WUBSに関して以下のようなコメントを残している。
「去年はWUBSについて、正直『お祭り』みたいな気持ちで入ってしまって、残念な結果になってしまいました。下の山で日本がずっと戦うような状況で。今年は絶対に上の山にいきますよ。お祭りじゃなくて、しっかりと国際ゲーム、日本の学生代表なんだということを口にしてやっていきたいと思います」
今年度の日体大は、シーズンの始まりからインカレまで一切の妥協なく挑み続ける決意。スローガンとして掲げた「慎始敬終——始まりから終わりまで、一切の妥協なく挑み続ける」という言葉がどんな形で実を結ぶか注目しよう。