3000万円以上か、100万円未満か? 「年収300万~500万円未満」世帯の金融資産保有額ランキング

7割強が金融資産を持っている, 年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品とは?, 単身世帯の約5人に1人は「100万円未満」, 二人以上世帯の最多は「3000万円以上」か 「100万円未満」か

3000万円以上か、100万円未満か? 「年収300万~500万円未満」世帯の金融資産保有額ランキング

7割強が金融資産を持っている

全国5000世帯を対象に金融資産や借入金、家計の状況などを聞いた調査「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構)から年収300万~500万円未満世帯の「金融資産」に関する回答をランキングで見ていこう。

※家計の金融行動に関する世論調査2024年(二人以上世帯、単身世帯、総世帯の各調査)

年収300万~500万円未満 金融資産保有率(総世帯)

7割強が金融資産を持っている, 年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品とは?, 単身世帯の約5人に1人は「100万円未満」, 二人以上世帯の最多は「3000万円以上」か 「100万円未満」か

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※総世帯、実数1963)よりFinasee編集部作成

保有している 74.5% 保有していない 25.5%

調査では、金融資産を「預貯金のうち運用資金や将来に備えたものと、投資用の有価証券(株式や投資信託など)」と定義して、金融資産の有無を質問している。結果、金融資産を「保有している」と回答した世帯は74.5%。7割を超える世帯で金融資産を保有していることが分かった。

気になるのは25.5%の世帯が金融資産を「保有していない」と回答していること。生活費は調査における金融資産の定義から外れるため、収入と生活費で収支均衡、または赤字の世帯では資産形成にまで至っていない可能性がある。

年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品とは?

世の中には多様な金融商品がある。銀行などに預貯金として預けている世帯は多いだろうが、それ以外に年収300万~500万円未満世帯が持っている金融商品にはどういった傾向があるのだろうか。

保有金融商品(年収300万~500万円未満、総世帯)

7割強が金融資産を持っている, 年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品とは?, 単身世帯の約5人に1人は「100万円未満」, 二人以上世帯の最多は「3000万円以上」か 「100万円未満」か

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※総世帯、実数1963、複数回答)よりFinasee編集部作成

【年収300万~500万円未満】保有金融商品ランキング(総世帯)

1位 預貯金(ゆうちょ銀行の貯金を含む) 97.2% 2位 株式 31.9% 3位 投資信託(MRF、MMF、REITなどを含む) 31.1% 4位 積立型保険商品(生保・損保) 29.3% 5位 個人年金保険 19.3% 6位 債券 6.7% 7位 その他金融商品(金貯蓄口座、金融派生商品など) 4.6% 8位 財形貯蓄 4.5% 9位 金銭信託(ヒットを含む) 3.5% 10位 いずれも保有していない 2.5%

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※総世帯、実数1963、複数回答)よりFinasee編集部作成

年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品ランキングの1位は「預貯金」(97.2%)。続く2位「株式」(31.9%)と3位「投資信託」(31.1%)は僅差となった。

両者とも元本割れリスクはあるが、長期的には預貯金を上回る利回りが期待できる金融商品だ。中でも投資信託については、資産形成を税制優遇で後押しする新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)といった制度を活用しても運用できるため、認知度が上がってきていると見られる。その影響もあるのだろうか。

4位は「積立型保険商品」(29.3%)、5位に「個人年金保険」(19.3%)と保険商品が続く。中でも積立型保険は、万一のことがあった場合の保障に加え、貯蓄機能もついている多機能な金融商品として一定の支持を集めているようだ。

単身世帯の約5人に1人は「100万円未満」

年収300万~500万円未満の単身世帯の金融資産保有額をランキングで見ていこう。

金融資産保有額(年収300万~500万円未満、単身世帯)

7割強が金融資産を持っている, 年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品とは?, 単身世帯の約5人に1人は「100万円未満」, 二人以上世帯の最多は「3000万円以上」か 「100万円未満」か

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※金融資産保有世帯、実数475)よりFinasee編集部作成

金融資産保有額ランキング(年収300万~500万円未満、単身世帯)

1位 100万円未満 21.5% 2位 3000万円以上 13.5% 3位 100万~200万円未満 9.9% 3位 1000万~1500万円未満 9.9% 5位 700万~1000万円未満 8.2% 6位 500万~700万円未満 7.8% 7位 200万~300万円未満 6.9% 8位 2000万~3000万円未満 6.5% 9位 300万~400万円未満 6.1% 10位 1500万~2000万円未満 3.6%

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※金融資産保有世帯、実数475)よりFinasee編集部作成

年収300万~500万円未満の単身世帯における金融資産保有額のランキングを見ると、最も多いのは「100万円未満」で21.5%を占めている。約5人に1人は金融資産が100万円に満たない状況だ。

2位には「3000万円以上」(13.5%)が入っている。同じ年収帯でありながら、かなりの金融資産を持つ層が一定数、存在していることが分かる。この背景には、以前の年収はもっと高かった層が現役を退いて現在の年収に落ち着いたなどの事情もありそうだ。

3位は「100万~200万円未満」と「1000万~1500万円未満」が同率で9.9%。このデータからは、同じ年収帯であっても金融資産の保有状況には大きな差があることが読み取れる。

ランキングからは、年収300万~500万円未満の単身世帯の金融資産保有状況について少額保有層と高額保有層に二極化している傾向が垣間見える。

なお、平均値は1495万円、中央値は500万円だった。中央値とはデータを並べた際にちょうど真ん中に位置する値のこと。平均値では外れ値(極端に大きい、あるいは小さい値)の影響を受けるため、中央値も参考にするとより正確に判断できる。

二人以上世帯の最多は「3000万円以上」か 「100万円未満」か

続いて年収300万~500万円未満の二人以上世帯の金融資産保有額をグラフで見てみよう。

金融資産保有額(年収300万~500万円未満、二人以上世帯)

7割強が金融資産を持っている, 年収300万~500万円未満世帯が保有する金融商品とは?, 単身世帯の約5人に1人は「100万円未満」, 二人以上世帯の最多は「3000万円以上」か 「100万円未満」か

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※金融資産保有世帯、実数987)よりFinasee編集部作成

金融資産保有額ランキング(年収300万~500万円未満、二人以上世帯)

1位 100万円未満 13.8% 2位 3000万円以上 13.0% 3位 1000万~1500万円未満 10.4% 4位 500万~700万円未満 9.7% 5位 100万~200万円未満 9.0% 6位 2000万~3000万円未満 8.4% 7位 300万~400万円未満 7.4% 7位 700万~1000万円未満 7.4% 9位 1500万~2000万円未満 6.6% 10位 200万~300万円未満 6.5%

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※金融資産保有世帯、実数987)よりFinasee編集部作成

年収300万~500万円未満の二人以上世帯ランキング1位は「100万円未満」(13.8%)。僅差で2位には「3000万円以上」(13.0%)がランクインした。最も金額が小さい選択肢と大きい選択肢が1位と2位にランクインするという極端な結果となっている。順位は単身世帯と同じだが、割合としては二人以上世帯では100万円未満が少ないという違いがある。

平均値は1438万円、中央値は600万円と、両者で2倍以上の開きがある。前述どおり、平均値は中央値に比べると極端な値のデータに影響を受けやすい。単身世帯でも二人以上世帯でも、「3000万円以上」のグループに多額の金融資産を保有している世帯があり、平均値を押し上げている可能性もありそうだ。

●具体的にどのような金融資産をいくら保有しているのか。後編「資産運用をしたいけれど…目安となる平均値は? 「年収300万~500万円未満」世帯は株式、投資信託をいくら持っているのか」にて詳しく解説する。

<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和6年6月21日~7月3日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。