【50歳代のおひとりさま世帯】みんなの貯蓄額はどれくらい?50歳から65歳まで「毎月5万円」積立投資したら「老後資金」いくら準備できる?
貯蓄ゼロでも遅くない!50歳代の老後資金シミュレーション
【50歳代のおひとりさま世帯】みんなの貯蓄額はどれくらい?50歳から65歳まで「毎月5万円」積立投資したら「老後資金」いくら準備できる?
50歳代のおひとりさま世帯にとって、老後資金づくりは大きな課題となるでしょう。
とくに独身の場合、配偶者の年金や扶養がないため、現役時代の貯蓄ペースが将来の生活水準を大きく左右します。
最新調査によると、50歳代の単身世帯の貯蓄額には大きなばらつきがあり、「1000万円以上」蓄えている人もいれば、「ほぼゼロ」という人も少なくありません。
では、もし50歳から65歳までの15年間、毎月5万円を積立投資したら、老後資金はいくら準備できるのでしょうか。
実際のデータとシミュレーションで確認してみます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
50歳代「おひとりさま世帯」の平均貯蓄額
まずは、50歳代単身世代の方はどのくらい貯蓄しているのかデータを見てみましょう。
50歳代おひとりさま世帯の貯蓄額を理解する上で、平均値と中央値の両方を確認することが重要です。
・平均値は、一部の多額の貯蓄を持つ世帯に引き上げられる傾向があるため、実態よりも高く見えることがあります。
・中央値は、貯蓄額を低い順に並べたときに真ん中に位置する値で、より多くの世帯の実情に近いと言えます。
J-FLEC(金融広報中央委員会)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、金融資産を保有する50歳代の貯蓄額は以下の通りです。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
50歳代単身世帯の貯蓄
貯蓄額の平均値
・1087万円
貯蓄額の中央値】
・30万円
平均値と中央値には大きな差があり、多くの世帯の貯蓄額は平均値を大きく下回っていることがわかります。
また、同調査によると、貯蓄ゼロ世帯(金融資産を保有していない世帯)の割合は、約40.2%という厳しい現状が明らかになっています。
老後資金、どのくらいを目安にすればいい?
では、どのくらいを目安に貯蓄すればよいのでしょうか。
老後資金の必要額は個人の生活スタイルや健康状態によって大きく異なりますが、一般的な目安を把握しておくことも大切です。
一般的な生活費と不足分の試算
総務省のデータによると、65歳以上の単身無職世帯の平均的な消費支出は、約15万円程度とされています。
65歳以上の単身無職世帯の家計収支(2024年)
・収入:公的年金収入が月約12万円(平均的な国民年金+厚生年金受給者)
・支出:月約15万円
・月々の不足額:15万円-12万円=月3万円
この月約3万円の不足額を、65歳から90歳までの25年間で賄うとすると、3万円 × 12ヶ月 × 25年 = 約900万円が必要となります。これは、あくまで生活費の不足分を補うための最低限の金額です。
医療費や介護費用も加味した必要額
さらに、老後には予測不能な大きな出費が発生する可能性があります。
医療費
厚生労働省のデータによれば、日本人の生涯医療費は平均約2900万円で、そのうち半分が70歳以降に集中しています。
自己負担分だけでも、まとまった資金が必要となります。
介護費用
公益財団法人 生命保険文化センターが2024年度に行った調査によると、月々の介護費用は平均9万円とされています。
介護費用
これらの費用も考慮すると、安心して老後を過ごすためには、まとまった資金を準備しておくことが望ましいと言えるでしょう。
老後資金は個人の状況によって大きく変わるため、まずはご自身の年金受給見込み額を確認し、具体的な生活プランを立てた上で、不足額を計算することが重要です。
「50歳から毎月5万円」積立投資のシミュレーション
50歳から15年間、毎月5万円を積み立てた場合のシミュレーションを見ていきましょう。
この期間の元本は、5万円 × 12ヶ月 × 15年 = 900万円となります。
積立投資をすることによって、いくらか増やせる可能性もあります。以下にシミュレーションの表を作成しました。
シミュレーション結果
預貯金(0%)
・65歳時点の資産額は約900万円
・銀行の普通預金など、利息がほとんど付かないケースを想定
安定運用(3%)
・65歳時点の資産額は約1165万円(+265万円)
・比較的安定した運用を目指した場合を想定
やや積極運用(5%)
・65歳時点の資産額は約1330万円(+430万円)
・株式の割合を多めにするなどやや積極的な運用を目指した場合を想定
※このシミュレーションはあくまで概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。運用には元本割れのリスクが伴うため、分散投資を心掛け、ご自身のリスク許容度に合った運用を行うことが重要です。
50歳代から老後資金を作る4つのポイント
50歳代は、退職後の生活が現実味を帯びてくる時期です。この時期から老後資金を準備するための重要なポイントを4つご紹介します。
固定費の見直しで投資・貯蓄に回す資金を確保
まずは、毎月必ず発生する固定費を見直すことから始めましょう。
生命保険、通信費(スマホ代)、車の維持費など、無駄な支出がないかを確認し、削減した分を投資や貯蓄に回すことで、効率的に資金を増やすことができます。
投資は長期・分散・積立を基本に
50歳代からでも、資産運用の効果は十分に期待できます。特に重要なのは、以下の3つの原則です。
・長期:10年以上の時間をかけて、複利の効果を最大限に活かします。
・分散:投資対象を特定の地域や商品に集中させず、国内外の複数の資産に分けてリスクを軽減します。
・積立:毎月一定額を積み立てることで、価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことができ、平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)があります。
年金の受給見込み額を確認して不足額を把握
老後の生活資金の中心となるのは公的年金です。
日本年金機構の「ねんきんネット」などを利用して、将来受け取れる年金額を把握しましょう。
その上で、ご自身の理想とする生活を送るためにどれくらいの資金が不足するのかを明確にし、具体的な目標額を設定することが大切です。
健康管理も立派な「資産防衛」
医療費や介護費用は、老後の家計を圧迫する大きな要因です。
日頃から健康に気を配り、病気にならないようにすることは、将来の医療費を抑え、お金を使わずに済むという立派な「資産防衛」と言えます。
適度な運動やバランスの取れた食事を心掛け、健康寿命を延ばすことも、豊かな老後を送るための重要な準備です。
まとめにかえて
老後資金づくりは決して「遅すぎる」ということはありません。
50歳からでも、計画的に行動すれば将来の不安を大きく軽減できます。
まずは、家計簿をつけて現在の収支を正確に把握することから始めてみましょう。
そして、年金制度や公的な支援策について学び、ご自身に合った具体的なプランを立てることが大切です。
大切なのは、今からできる小さな一歩を踏み出すことです。
参考資料
・生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
・生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」
・厚生労働省「令和4年度 生涯医療費」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」