65歳以上・無職世帯、“ふつう” はどのくらい貯蓄額がある? ひと月の生活費や年金月額も徹底解剖

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65歳以上・無職世帯、“ふつう” はどのくらい貯蓄額がある? ひと月の生活費や年金月額も徹底解剖

FPとして個人のお客様と将来資金についてお話しする中で、「老後は今よりも少ない生活費で問題ない」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。本当に、それで問題はないのでしょうか?

働きながら、趣味やサブスク、食事を楽しんでいた会社員の方が、退職してすぐに生活費を減らすのは難しいと筆者は考えております。

2024年に厚生労働省より公表された公的年金の財政検証結果によると、2024年度の所得代替率は61.2%、2057年には50.4%となる可能性があるとされております。

つまり、年金だけで生活するとなった場合、生活費がを半分以下に抑える必要がございます。これは、本当に可能なのでしょうか?

今回は、現役世代の皆様にセカンドライフをイメージしていただくために、現在の年金受給世代のリアルな生活費について解説します。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

65歳以上・無職世帯、みんなのひと月の生活費はどのくらい?

2025年3月11日に総務省統計局が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」において、標準的な65歳以上無職夫婦世帯では、ひと月約3万4000円の赤字が出ることが示されました。

元となるデータを見てみましょう。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

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65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

毎月の実収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円

毎月の支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

・食料:7万6352円

住居:1万6432円

・光熱・水道:2万1919円

・家具・家事用品:1万2265円

・被服及び履物:5590

・保健医療:1万8383円

・交通・通信:2万7768円

・教育:0円

・教養娯楽:2万5377円

・その他の消費支出:5万2433円

■うち非消費支出:3万356円

・直接税:1万1162円

・社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

・3万4058円の赤字

この世帯の場合、毎月の収入は25万2818円、そのうち約9割(22万5182円)が公的年金などの社会保障給付となっています。

一方で支出の合計は28万6877円。そのうち消費支出(いわゆる生活費)が25万6521円、非消費支出(税や社会保険料など)が3万356円でした。

この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の不足分を、主に貯蓄の取り崩しなどで補填していくことになります。

なお高齢者世帯は持ち家率が高い傾向にあることから、「住居費」は1万6432円と低くなっています。賃貸住宅に住む場合は、家賃との差額を上乗せして考える必要があります。また、上記の支出項目には「介護費用」が含まれていません。

そこで頼りになるのはやはり「貯蓄」です。次では65歳以上世帯の貯蓄事情についても見ていきます。

65歳以上、ふつうの人の平均貯蓄額はどのくらいか

総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」から、65歳以上の世帯主がいる二人以上世帯の貯蓄事情を見ていきます。

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世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布 (二人以上の世帯)

世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高(二人以上世帯)平均・中央値

・平均値:2509万円

・貯蓄保有世帯の中央値:1658万円

平均値は一部の富裕層により引き上げられる傾向があります。より実状に近い「貯蓄保有世帯の中央値」に目を向けると1658万円にまで下がります。

では、貯蓄額の世帯分布についても見てみましょう。

世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高の金額別世帯分布 (二人以上世帯)

先述のグラフから、貯蓄額ゾーンごとの世帯数も見ていきます。

・100万円未満:8.1%

・100万円~200万円未満:3.6%

・200万円~300万円未満:3.1%

・300万円~400万円未満:3.6%

・400万円~500万円未満:3.3%

・500万円~600万円未満:3.3%

・600万円~700万円未満:2.9%

・700万円~800万円未満:2.8%

・800万円~900万円未満:3.3%

・900万円~1000万円未満:2.5%

・1000万円~1200万円未満:4.8%

・1200万円~1400万円未満:4.6%

・1400万円~1600万円未満:5.1%

・1600万円~1800万円未満:3.3%

・1800万円~2000万円未満:3.3%

・2000万円~2500万円未満:7.4%

・2500万円~3000万円未満:5.8%

・3000万円~4000万円未満:9.4%

・4000万円~:20.0%

全体の42.6%が貯蓄額2000万円超、さらに3000万円超の世帯も29.4%存在します。その一方で、200万円未満の世帯が11.7%存在します。

65歳以上の「完全リタイア世帯」はどうでしょう。次では無職世帯に絞ったデータを見ていきます。

65歳以上・無職世帯、平均貯蓄額はどのくらいか

次は、世帯主が65歳以上の「無職世帯」に限定して、貯蓄額の推移や資産種類の内訳を見てみましょう。

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世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)

【65歳以上の無職夫婦世帯】平均貯蓄額の推移

・2019年:2218万円

・2020年:2292万円

・2021年:2342万円

・2022年:2359万円

・2023年:2504万円

・2024年:2560万円

世帯主が65歳以上の無職世帯(二人以上世帯)の貯蓄額は、2019・2020年は2200万円台でしたが、2021年に2300万円台、2023年には2500万円を超えたあと、2024年ではさらに2560万円に到達しています。

2024年の資産の内訳のうち、最も割合が高かったのは定期性預貯金859万円(33.6%)、次いで普通預金などの通貨性預貯金が801万円(31.3%)、有価証券(株式や投資信託など)は501万円(19.6%)となります。

貯蓄とともに老後の暮らしを支える柱となるのは「公的年金」ですね。次は年金額を確認します。

65歳以上の国民年金と厚生年金、平均はどのくらいか

厚生労働省年金局が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の各年齢における平均年金月額は、国民年金のみの受給権者で5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者で14万円台~16万円台です。

ただし一人ひとりが実際に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況により個人差があります。グラフを交えながら、国民年金と厚生年金の「平均月額と個人差」を見てみましょう。

【老齢年金世代】国民年金・厚生年金「平均月額と個人差」

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【老齢年金世代】国民年金・厚生年金「平均月額と個人差」

60歳~90歳以上の全受給権者の平均年金月額は下記の通りです。

国民年金(老齢基礎年金)

・〈全体〉平均年金月額:5万7584円

・〈男性〉平均年金月額:5万9965円

・〈女性〉平均年金月額:5万5777円

厚生年金(国民年金部分を含む)

・〈全体〉平均年金月額:14万6429円

・〈男性〉平均年金月額:16万6606円

・〈女性〉平均年金月額:10万7200円

平均年金月額は、国民年金のみを受け取る場合は男女ともに5万円台ですが、厚生年金を受け取る場合は男性16万円台、女性10万円台と差があります。

老後に向けた資産運用

今回は現在の年金受給世帯の生活費について解説しました。生活費の内訳をみて、「自分とは全く違う…」と感じた方が多いのではないでしょうか。

例えば住宅資金について、現在マンションを購入する方も増えており、共益・積立管理費用が必要です。

また、食費も年々値上がりしており、この金額では足りないという世帯も多いのではないでしょうか。

老後収入の柱となるのは、公的年金です。現役時代のように、努力すれば増えていくものではございません。

生活水準を下げず、ゆとりある老後生活を送るためには、最低でも今と同じ生活費を確保しておくと安心です。

資産運用を活用してl効率よく資金を蓄え、ゆとりを持った安心できる老後生活を実現していきたいですね。

参考資料

・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」

・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」

・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」