住民税非課税世帯になる「年金受給額の目安」はいくら?シニア世代の「住民税非課税世帯の割合」は?

住民税が非課税になる要件は地域により異なります

【シニア世代】「住民税非課税世帯」の割合は?, 東京23区内の二人世帯でシミュレーション|住民税非課税世帯になる年金は月額いくら?, 住民税が非課税になる要件は地域により異なる, 級地区分ごとの住民税非課税になる要件

住民税非課税世帯になる「年金受給額の目安」はいくら?シニア世代の「住民税非課税世帯の割合」は?

公的年金は、老後の生活費を支える大切なものです。

厚生年金や国民年金などの公的年金を受給する場合、一定金額以下であれば住民税が非課税になります。

では具体的に、月額いくらの年金受給額だと住民税非課税世帯に該当するのでしょうか。

本記事では、住民税非課税世帯になる年金受給額の目安や、シニア世代の住民税非課税世帯の割合などについて解説していきます。

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【シニア世代】「住民税非課税世帯」の割合は?

厚生労働省の「国民生活基礎調査/令和5年国民生活基礎調査」によると、65歳以上のシニア世帯のうち、住民税非課税世帯に該当する世帯は約54.7%と半数以上を占めています。

以下はシニア世代における、年代別の住民税非課税世帯の割合をまとめたものです。

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シニア世代の「住民税非課税世帯の割合」

60歳代の住民税非課税世帯の割合は25.8%で、約4世帯に1世帯の割合となっています。

60歳代はまだ働いている世帯が多く、住民税が課税されているケースがあるためと考えられます。

70歳代世帯になると、住民税非課税世帯の割合が45.4%と半数弱にまで増加し、80歳以上世帯では半数を超え56.5%の世帯が住民税非課税になっています。

公的年金受給者が住民税非課税になる理由のひとつとして、「公的年金等控除」があります。

公的年金等控除とは、年金収入から一定額を差し引ける制度で、その分税金の納付負担が軽減されるものです。

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公的年金等控除とは

例えば、合計所得金額が1000万円以下の65歳以上の年金受給者であれば、110万円の公的年金等控除が適用されます。

なお、公的年金等の収入が330万円を超えると、収入額に応じて控除額が増える計算式が適用されます。

そのため、年金を受給しているシニア世代は、公的年金等控除により住民税が非課税になる可能性が出てくるのです。

東京23区内の二人世帯でシミュレーション|住民税非課税世帯になる年金は月額いくら?

65歳以上の年金受給世帯において、年金が月額いくらまでであれば住民税非課税世帯になるのかシミュレーションしていきましょう。

ここでは、東京23区内の二人世帯の場合で試算します。

東京23区内の年金受給世帯で、生計を同じくする配偶者や扶養親族がいる場合は、「前年の合計所得金額が次の金額以下」であることが住民税非課税になる要件です。

35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下

このケースでは生計を同じくする妻がいるため、101万円以下と計算できます。

計算)35万円×2人+31万円=101万円

また、公的年金等控除が110万円適用されるため、合わせて211万円以下(101万円+110万円)であれば住民税非課税に該当します。

月額では約17万5000円までとなります。

ただし妻にも所得要件があり、年金受給額が155万円までであることに注意が必要です。

いわゆる155万円の壁といわれているものです。

東京23区内で生計を同じくする配偶者や扶養親族がいない場合、住民税非課税になるには所得合計金額が「45万円以下」であることが要件になっています。

また、公的年金等控除として110万円が適用されるため、合計で155万円(45万円+110万円)までと計算できます。

月額にすると、約12万9000円です。

したがって、年金受給中の二人世帯が住民税非課税世帯になるには、夫の年金受給額が月額約17万5000円まで、妻が月額約12万9000円までである必要があります。

なお、単身世帯の場合もこのケースの妻と同様に、月額12万9000円までであれば住民税非課税に該当します。

住民税が非課税になる要件は地域により異なる

前章のシミュレーションでは、東京23区内を例に試算しましたが、住民税が非課税になる要件はお住いの地域によって変わります。

具体的には、生活保護制度における「級地区分」によって異なります。

級地区分とは、生活保護費を決める際に、地域ごとの生活様式や物価などの違いを考慮し、不平等のないように地域差を設けるための区分のことです。

1級地から3級地の3つに区分され、それぞれがさらに2つに細分化されています。

1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当します。

2級地は1級地に次ぐ比較的都市部の地域が該当し、3級地は一般的に地方の市町村や農村部などが該当します。

級地区分ごとの住民税非課税になる要件

では、級地区分により住民税非課税となる要件がどのように異なるのか見ていきます。

【1級地:東京都23区内など】

・二人以上世帯:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下

・単身世帯:45万円以下

【2級地:埼玉県川越市など】

・二人以上世帯:31万5000円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+28万9000円以下

・単身世帯:41万5000円以下

【3級地:長野県飯田市など】

・二人以上世帯:28万円×(扶養親族+同一生計配偶者+1)+10万円+16万8000円以下

・単身世帯:38万円以下

夫婦二人世帯の場合、1級地では101万円以下となりますが、3級地では82万8000円と約18万円低く設定されています。

また、単身世帯では1級地は45万円以下ですが、3級地では38万円以下と7万円低くなっています。

まとめにかえて

現在の65歳以上のシニア世代では、約半数の世帯が住民税非課税世帯となっています。

住民税非課税世帯となるには、本人や配偶者の年金受給額が一定金額以下である必要があり、具体的な金額は自治体によって異なります。

お住まいの地域がどの級地区分に該当し、年金受給額がいくらまでなら住民税が非課税になるのか知りたい場合は、自治体の住民税担当窓口などで確認しましょう。

参考資料

・厚生労働省「国民生活基礎調査/令和5年国民生活基礎調査」

・国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

・東京都主税局「個人住民税|暮らしと税金」

・厚生労働省「級地区分(H30.4.1)」