60歳からの疲れない片づけ「もう無理に捨てなくていい」家事の達人が明かす、服やタッパーの【適正量】とは
年齢を重ねるにつれて「体力的に家事をするのがつらい」「子どもたちが独立して夫婦2人、少し手を抜いてもいいのでは」と、家事への向き合い方を見直すシニアが増えています。《知的家事プロデューサー》として活躍する本間朝子さんによる、「疲れない」けれど「ちゃんと」暮らせる家事とは――。著書『イラストでよくわかる60歳からの疲れない片づけと家事』より一部を抜粋して紹介します。
【イラスト】タッパーの【適正量】とは…
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手放したいのに手放せないーーそんなときは、「7つの問いかけ」が役立ちます
手放したいのに思い切れないものがあるときは、手放せない理由が明確になる次の「7つの問いかけ」をしてみるのもおすすめです。
1:なぜそれを使わないのか?
2:なぜそれを手放せないのか?
3:なぜそれを手に入れたのか?
4:それがないと何が困るのか?
5:それに代わるものはないか?
6:今売られていたらそれを買うか?
7:最後に使ったのはいつか?
ある女性は、若い頃に買ったハイブランドのバッグを長年手放せずにいました。昔はよく使っていたものの、重さやデザインが気になり、最近は持ち歩くこともなくなっていたので、「もう手放してもいいかも」と思いつつ、決心がつかないままでした。
でもクローゼットはいっぱいなので、思い切って「7つの問いかけ」を試してみました。
すると、若い頃、このバッグを持つことで自信を持ち、まるで鎧のように自分を守ってくれていたことに気づいたそうです。
しかし今は、その鎧を脱いで、もっと自由で軽やかな生き方をしたいと思っている自分に気づき、納得して手放すことができました。
このように、「なぜそれを手放せないのか?」と自分に問いかけることで、モノの価値や自分の本当の気持ちに向き合うことができ、迷っていたモノも納得して手放すことができるようになります。
もし手放さなくても、そのモノを持ち続けることに納得できる理由があれば、それも大切な選択です。
収納グッズを買う前に、まずはモノを減らしましょう
収納グッズのオススメはなんですか?とよく聞かれます。確かに便利なものはいろいろあります。
でも、家をスッキリさせたいなら、収納用品を考える前に、まずモノ自体を減らしましょう。
ある家庭では、SNSで同じ収納ケースを整然と並べている写真を見て憧れ、同じデザインの収納ケースをきれいに並べていました。
しかし、整理をきちんとせず、とりあえず適当にモノを入れていたため、見た目が同じなのも相まって、どこに何が入っているのかまったくわからなくなってしまったのです。
そこで、ケースを全部出して、入っていたモノを処分したり、適切な場所に移動したところ、入れるものがなくなり、結局その収納ケースはほとんどが不要になってしまいました。
モノが少なければ、そもそも収納グッズは必要ないのです。
『イラストでよくわかる60歳からの疲れない片づけと家事』(著:本間朝子/青春出版社)
迷うものは、無理に捨てなくても大丈夫です。ただ、奥のほうにしまいこむのはやめましょう
衣類を整理していると、何年も着ていないのに手放せない服が出てきたりします。でも、捨てられないと迷うものは、無理に捨てなくても大丈夫です。
大きな袋などに入れて、クローゼットの入り口など、ふだんの生活にちょっと邪魔になるところに置いておきましょう。
迷ってしまうのは、そのモノと向き合いきれていないから、ということが多いです。
なので、毎日目に触れたり、邪魔だなと感じたり、そのモノとかかわる機会を持つことで、どこかで「もういいか」と思えるときがやってきます。
奥のほうにしまいこむのはやめて、あえて接触する機会を重ねることで気持ちに折り合いがつけやすくなります。
実際私自身も、この方法でよく迷う衣類を手放しています。よかったら試してみてください。
着なくなった衣服を手放す(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
もう、たくさんの保存容器は必要ありません。8個あれば十分です
キッチンの吊戸棚にタッパーなどの保存容器がぎっしり……そんな光景をよく見かけます。でも、本当にすべて必要でしょうか?
保存容器はつくりおきをしていた頃はたくさん使ったかもしれませんが、60歳からは数個あれば十分です。
私自身、毎日料理をしますが、ごはんの冷凍用を除けば、フタつきのガラス保存容器を、大・中サイズ各2個、小サイズ4個の計8個で問題なく暮らしています。
この組み合わせはよくある保存容器セットと同じサイズと個数ですが、実際にかなりの用途に対応できます。
もし足りないときは、保存袋で代用すれば大丈夫です。
『イラストでよくわかる60歳からの疲れない片づけと家事』より
クローゼットのスペースから服の適正量を考えてみましょう
服は何枚持つのが適正量なのでしょうか? その答えのひとつとして、「クローゼットのポールの長さ」を基準にする方法があります。
クローゼットに掛けられる衣類の最大数は、ポールの長さをハンガーの幅で割ることで簡単にわかります。たとえば、ポールの長さが90cmでハンガーの幅が3cmだとすると、30本のハンガーが掛けられます。
『イラストでよくわかる60歳からの疲れない片づけと家事』より
ハンガーを30本だけ用意し、掛けられる量だけに服の量をセーブすることで、クローゼットの中がすっきりと片づきます。
また、クローゼットがいっぱいな方は部屋着が多い傾向があります。古くなった衣類をすべて部屋着に回してしまうと、部屋着がクローゼットを圧迫。
「部屋着は2着まで」と決めることが、クローゼットに余白を生み出します。
※本稿は『イラストでよくわかる60歳からの疲れない片づけと家事』(青春出版社)の一部を再編集したものです。