実家の片付けは「あえてやらなくてもいい」。プロに聞く、片付けよりも大切なもの
「実家の片付け問題」で悩む心をラクにする考え方をご紹介します。整理収納アドバイザーとして多くの家庭の片付けをサポートしてきたおまいさん。よく実家の片付けをした方がいいか聞かれるそうですが、「無理にしなくてもいい」と答えているそう。その理由について詳しく教えてくれました。
実家の片付けをあえてやらない理由
【写真】大量のゴミ
「親の暮らし」を決めるのは親自身
実家の片付けは「あえてやらなくてもいい」。プロに聞く、片付けよりも大切なもの
実家の片付けについて私が考えていることをお伝えします。私たちはもう大人になって家を出て、それぞれの生活があります。実家は「かつて自分が暮らしていた場所」ではあるけれど、今そこに住んでいるのは親です。
つまり、片付けるかどうかを決めるのは親。「片付けて欲しい」は、あくまで子どもの希望なのではないでしょうか。
もちろん、自分が住んでいる家がものであふれていたら、それは快適さや安全の問題になります。でも、離れて暮らしている以上、「片付けた方がいい」という価値観を押しつけるのは、親の暮らしに土足で踏み込むようなもの。家が片付いていることは、絶対的な正義ではない…と考えています。
子どもの「片付けて欲しい」は、不安からくるエゴ
じゃあ、なぜ実家のものの多さが気になるのか。多くの場合、それは「親のため」と思っているけれど、じつは「心配」という名の自分の不安なのではないでしょうか。
本音は「自分が安心したいから」動いてもらいたいだけ。つまり、自分が安心できる領域に、相手を動かそうとしている…それが「心配」の正体なのかもしれません。
無理に説得するより、親の「今」を大事にしてもらう
私が思うに、親が「片付けたい」と思ったときがベストタイミングなのではないでしょうか。そのときは全力で手伝えばいい。でもそうじゃないときは、あえてなにもしないほうがいい場合もあると私は思います。
なぜなら、人生の残りの時間は私たちよりも少ないから。やりたくないことに時間を割くより、好きなことをして、楽しく過ごして欲しい。そっちの方が親にとっては幸せなんじゃないかなと思うんです。
「子どもにできること」はなにがある?
なにもしない…と言っても、放置ではありません。「片付けの話題を出してもOKな関係」を保っておくことが大事だと思っています。親がその気になったとき、「じゃあ一緒にやろう!」と言えるようにしておく。
そして、なによりも大事なのは、まずは自分の家の片付けはちゃんとやっておく! と決めました。いざというとき、自分の家もものだらけでは、笑えませんよね。
片付けは「親のタイミング」に合わせる
実家の片付けは、親が望んだときにやればいい。それまでは「片付けよう」と迫らず、楽しい時間を一緒に過ごすことを優先していいと思います。
人生の最終盤を、段ボールの山と格闘して過ごすよりも、旅行や趣味、友達とのおしゃべりに使ってもらう方がすてきだと私は考えます。
だから実家に帰省したときは、物置部屋はそっとしめて、お茶でも飲みます。今は親と一緒に、「楽しい時間」を増やす方を、選んでいます。親が片付けを望むタイミングがいつかくると信じて…。