シェフ長塚健斗の提案! 「紅茶のような」ロゼワインに合わせたい、「タコのガリシア風」のレシピ!
ソウルバンド「WONK」のボーカルであり、料理人としても活動する長塚健斗。
東京・清澄白河にあるナチュラルワインバー「WINESTAND TEO」のオーナーでもある彼が、ワインの向こうに浮かぶ風景や、その余韻をーー料理と音楽、そして言葉で描いていく。一本のワインから立ち上る感覚をたどりながら、ひと皿と、それに寄り添う5曲のプレイリストを届けていく連載、長塚健斗の「酔いと余韻」。今月は、トスカーナのサンジョヴェーゼを使った、夏に寄り添うロゼワインから。
>>これまでの長塚健斗考案のレシピ集はこちら
トリュフバターを使ったチーズ&胡椒のパスタと、旨味の深すぎるソーヴィニヨン・ブランを合わせてみたら......!
トスカーナ南部の陽光を浴びた、紅茶のような色合いのロゼ。
「サングイネート ロザート トスカーナ 2022」750ml ¥3,740/ヴィナイオータ
グラスに注いだ瞬間、軽やかな赤かと思った。でも香りを吸い込んだら、その印象はすぐに変わった。ふくよかで、芯がある。酸がきれいに立っていて、タンニンはおだやか。
なんだか、声を荒げないタイプの情熱を感じる。この酸には、タコが合うと思った。ただのカルパッチョでもいいけど、できることなら炭火で焼き目をつけたいものだ。ぶつ切りにして、まだ温かいジャガイモと一緒に。レモンを少しだけ強く絞って、ニンニクとオイル、そしてハーブや少量のスパイスを重ねていく。
少し、アンチョビのコクも加えて。イモの甘さとねっとり感が、酸とハーブの立ち上がりを受け止めてくれる。そしてタコの弾力とオイルの香りが、そのまま余韻にスライドする。そんなイメージが湧いてきて、こんなレシピを考えた。
トスカーナでもかなり南、海抜300メートルくらいの斜面に畑が広がる。本来であれば「ヴィーノ・ノビーレ・モンテプルチャーノ」という高級な赤ワインも造れる土地柄だが、あえて「普段のテーブルに上がるような価格で真っ当なナチュラルワインを」という矜持でこのロゼワインを造っているのだという。
太陽の下でロゼと合わせたい、タコのガリシア風。
【材料】2〜3人分
• 茹でダコ(脚の部分) 100g
• ジャガイモ(メークイン中サイズ) 4個
• フェンネルシード 1.5g
• アンチョビフィレ 2枚
• ニンニク 1/2片
• イタリアンパセリ 少々
• レモン果汁 3/4個分
• レモンの皮(表面を削ったもの) 1/4個分
• 赤ワインビネガー 15ccほど。好みで調整してください。
• エクストラバージンオリーブオイル 適量
・塩・黒胡椒 各適量
【作り方】
1.下準備タコは下茹で(炭火があればぜひ焼いてみて)して、冷めたら薄切りにしておく。市販の茹でダコでもOKだが、温める程度に軽く塩茹でするのもあり。
じゃがいもは皮ごと茹でるか、ラップをして電子レンジで柔らかく火を入れる。串がすっと通ればオッケー。粗熱が取れたら皮をむき、食べやすい大きさにカットする。アンチョビは包丁で細かく刻み、ペースト状にする。
2.香りの準備
ニンニクをすりおろす。フェンネルシードはフライパンで軽く乾煎りし、香りが立ったら粗く刻む。パセリも細かく刻む。
3.全体を和えるタコとじゃがいもを温かいうちにボウルに入れ、赤ワインビネガーをふりかけてなじませる。
刻んだアンチョビ、すりおろしニンニク、刻んだフェンネル、パセリ、レモン果汁、レモンの皮を加え、全体をよく和える。
たっぷりのエクストラバージンオリーブオイルを回しかけ、さらに混ぜる。
4.仕上げ
塩と黒胡椒で味を整える。ポイントは、ビネガーとレモンの酸味をしっかり効かせること、それに負けないだけの塩気とアンチョビのコクを重ねること。
【ポイント】良質なタコを選ぶことで、仕上がりのおいしさが格段に変わります。ジャガイモはホクっとしつつも煮崩れしにくいメークインがおすすめ。
「トスカーナの海風」を感じる、爽やかで奥行きのあるおつまみに仕上げてください。山で生まれたこのロゼと海をイメージした、このおつまみでトスカーナを感じてください。
ワインが導く、季節と感情の余韻。
ペアリングって、「組み合わせ」じゃなくて「行き先」なんだな、って思う。このロゼは、キンと冷えてるときの緊張感もいいけど、少し温度が上がってからのほうが、花のような甘やかさがふわっと立ち上がる。
その一瞬が、なんとも艶っぽい。白でもない、赤でもない。ちょうどその中間にあるワインが見せる、揺らぎのようなニュアンス。それが夏の夕方の光と、タコのやさしい塩気に、すごく似合っていた。「紅茶煮なんかもいいな」とふと思った。
やさしく発酵した茶葉のような香り、軽い苦味、穏やかな渋み。真鯛の昆布締めなんかも合いそうだけど、
この日はただ、縁側みたいな場所で、のんびりタコをつまみたかった。ワインが導いてくれる食材の向こうには、季節と感情の余韻がある。
ワイナリー・サングイネート現地の写真は先日、イタリア研修に出かけたワインバー「HIBANA」のソムリエ、永島農さんにいただいたもの。こちらはサングイネートを手がけるドーラ。もうすぐ80歳だというが、シカやイノシシを撃ってジビエまで自分の家で手がけるスーパーおばあちゃんだという。現地では肉の煮込み料理とのペアリングも一般的だとか。
今回のプレイリスト:
WINESTAND TEO
ナチュラルワイン専門ショップ&バー
東京都江東区常盤1-4-9
(清澄白河駅 徒歩8分/ 森下駅 徒歩9分)
営)17:00〜01:30 L.O.(金)
15:00〜01:30 L.O.(土・祝前日)
15:00〜22:30 L.O.(日、祝)
休)月〜木、祝後日 ほか不定休あり
※年末年始、大型連休は営業時間変更となる場合がございます。
店舗公式Instagram(@winestandteo)をご確認ください。
※予約(貸切除く)・DM・現金支払いは受け付けておりません。
※貸切のお問い合わせはメールにて
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