70代ひとり暮らしの「無理しない片付け」マイルール。食卓はあえて小さく、ものを置かない

画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(75歳)は、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。ここでは小笠原さんの、ラクに片付けてキレイな部屋をキープするために実践していることについて語ります。

小笠原洋子さん(75歳)、片付けをラクにするために心がけていることは?

【実際の写真】ひとり暮らしの75歳が愛用するテーブル

片付いた状態を保つ心がけ

70代ひとり暮らしの「無理しない片付け」マイルール。食卓はあえて小さく、ものを置かない

家の中で片付ける場所は、押し入れなどの収納所からテーブルの上まで、あちこちにありますね。居室のほかに玄関やベランダ、寝室や洗面所や浴室にトイレ、そして台所。食器棚や調理具入れ箪笥や、今や欠かせなくなったストック食品置き場など。

とくにお買い物好きな方は、家財が満ち満ちていてお片付けも大変そう。「そろそろ片付けなくちゃ」と、毎日のように思っているかもしれませんが、たとえば引越しとか部屋替えなどでもあればチャンス到来となるものの、日常生活のなかでは、ねじり鉢巻きしてもなかなか片付きませんよね。

そこで私は、家全体とかひと部屋丸ごとではなく、もっと目の前に手身近にあるテーブルや机の上を丁寧に片付けるのも、初めの一歩だと思っています。

●「まずはテーブルの上だけ」でOK

たとえば私の食卓の上には、クロス以外なにものっていません。

ひとり暮らしで、ごく小さな食卓ですから当然ではありますが、メガネや鍵、雑誌や腕時計など、最も気軽にものを置きやすいのがテーブルなので、私は瞬時でも雑貨は置かないよう、意図的に小さい卓にしているのです。ひとつでも異物がのっていれば、食事ができないから都合がいいのです。

食卓だけでもきちんと片付いていると、その周辺たとえば床の食べこぼしなどに、自然と注意が向きます。そのとき、すかさずそこにふき取ることです。

ついでにもう少し広範囲を見まわして、一時的に置いた新聞や、買い物袋なども、迷わず片付けてみることです。「あとで読み直すから」とか「すぐに使うから」とは考えず、面倒でもいったん片付けることです。それが整頓する習性につながりやすいのです。

重要なのは「ものの置き方」と「少量でも減らすこと」

また小物や書類など、日常使いの品々を置く棚類で重要なのは置き方なのです。頻繁に出し入れするものが多いので、取りやすくするためについランダムな置き方になりがちです。そうであればこそ、まっすぐに置く癖をつけることです。

棚の縁に沿ってまっすぐにものを置き、重ねる場合はズレないようにします。立体物の場合なら、飾るように置くことです。そのひと手間が、整理整頓や片付けの原点になると感じています。

なお、押し入れなどがもしもあふれるような状況でしたら、左右どちらかの端から奥に向かって片付ける、そして処分してみてください。一度に全部片づけようとしないで、まず一部を整えながら、勇気をもって不用品を捨てていくのです。

奥地にはおそらく廃棄すべきものがあるでしょう。初回は1つでも2つでもいいから、ためらわずにゴミ袋に入れてしまいます。それが片付けの成功につながります。

自分の部屋を客観視できる帰宅時は、片付けのチャンス

最後にとっておきの片付け術は、外出から帰ったときにあります。疲れて帰宅したのだから「部屋の片付けなどとんでもない!」かもしれませんね。ささっと夕飯の支度をするか、最悪、持ち帰った荷物も放り投げてソファーにばったり。

でもここで大奮起。帰宅時というのは、意外と新鮮な目で室内を客観的に見ることができるものです。そこであまり印象がよくない部屋だと思ったり、片付けるべき場所を見つけたら、このときこそ実行してみることです。

つまりどこが片付いていないか、それが発見できれば、あとは意気込みだけです。疲れてはいても、まだ帰路の途中と思いながら動いてみましょう。少しでもキレイになったと思えるお部屋で、ゆっくりくつろげば快適です。