【プーチン直属の特殊任務部隊】に所属する日本人兵士に独占取材…!ウクライナ軍が使用する「最新殺戮兵器」の威力「戦死者の半分がドローン攻撃によるものです」

戦地で起きていることを正しく報じてほしい―日本人義勇兵の金子氏は、取材にそう語った。最新の殺戮兵器が飛び交う、現代戦の戦場とは。

戦死者の半数はドローンによるもの

「ロシア軍は現在、ウクライナ東部4州への進軍を行っており、新たな陣地を次々と獲得しています。対するウクライナもロシア軍の横をつくように越境攻撃を仕掛けてきていて、私はそれを防ぐためにロシア西部のベルゴロド州で国境防衛に当たっています。

現地では、連日24時間、激しい戦闘が続いていますよ。迫撃砲、戦車による砲撃、そしてドローン攻撃……。冗談ではなく、戦死者の半数はドローン攻撃によるものです。現代戦の現場がどういうもので、兵士がどう戦っているのか。アメリカもNATOも中国も、本当の実戦のことはわかってはいないでしょうね」

ロシア軍唯一の「日本人義勇兵」である金子大作氏(50歳)は、7月中旬、本誌のリモートインタビューに応じ、現地の様子をそう語った。

ロシアで闘う金子氏。後ろはドローン兵器によって破壊された建物

もともとは大阪で板金塗装会社を経営していた金子氏だが、「何のために生きているのか」と悩み、生の実感を得るために義勇兵になることを決意。「ロシア=悪」とする一方的な報道に疑問を持ち、'23年8月にロシアへ渡った。

国防省の過酷な試験をクリアし、外国人義勇兵で構成されるピャトナシュカ旅団に配属された。初の戦地となったのは、ウクライナ東部ドネツク州の都市・アウディーイウカだ。'23年11月末、金子氏は最激戦地となっていたこの街での突撃作戦に参加し、制圧に大きく貢献した。

勲章を授与された金子氏

その後、民間軍事会社「ワグネル」の兵士が多数在籍するプーチン直属の特殊任務部隊「アフマット・スペツナズ」へと転属。昨年8月、ウクライナ軍がロシア西部・クルスク州への越境攻撃を仕掛けると、金子氏は「クルスク奪還作戦」に参加し、部隊は領土を取り戻すことに成功する。その活躍がロシア国内で高く評価され、今年2月にはクルスク州から〈祖国防衛者に栄光を〉と刻まれた勲章も授与された。

イーロン・マスクの「スターリンク」を活用

ウクライナ戦争勃発からすでに3年半……。現在の戦況はどうなっているのか。そして、現場で戦う兵士たちは何を思うのか。ロシア西部地域では「英雄」として一般人から声をかけられることもあるという金子氏に、独占取材した(以下、鉤カッコ内はすべて金子氏の発言)。

「現代戦はドローンが主力といって間違いありません。ウクライナ軍は『スターリンク』を活用しているため、戦場でも「電波が入らない」ということがない。『スターリンク』によって、リアルタイムで映像を見ながらドローンを操縦できますし、兵士同士での情報通信もスムーズに行うことができるのです」

「スターリンク」とは、イーロン・マスク氏のスペースⅩ社が提供している衛星インターネットサービスのこと。多数の低軌道衛星により、地球上のほぼすべての地域で高速・低遅延のインターネット接続を可能にしており、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長も、「間違いなくすべての前線で使われている」と公表している。

戦場の金子氏

一方のロシア軍は、精度の低い中国製の無線を利用しているという。

「ドローン攻撃に対抗するため、『レップ』と呼ばれる妨害電波装置が進化してきました。少し前、SNSにドローンが戦車を破壊する様子が頻繁に投稿されていましたが、現在は戦車にも『レップ』が搭載されているため、ドローンが追突する直前に撃墜することができるようになりました。

『レップ』はロシア軍だけでなく、ウクライナ軍も使っている。そこで現在、ロシア軍では光ファイバーをつないだ『有線ドローン』が主力になってきています。有線なので、電波妨害を受けずにドローンを操作することができる」

部隊内で「伝説」と呼ばれるようになった

金子氏は現在、「ドローン部隊」に所属し、敵の攻撃を防ぎながら、自身も操縦を行っているという。

「ロシア軍の有線ドローンは、約23km飛行可能です。釣りのリールのような装置に20km以上の光ファイバーを巻き付け、ドローンを飛ばす。引っかかることもなくスムーズに飛んでいきますよ。もちろん、映像もリアルタイムに見ながら操作することが可能です。

光ファイバーは極めて細く、引っ張る力には強いのですが、横からの力には弱い。少し爪を立てただけでも切れてしまうので、障害物に絡まったりしないよう注意して操作する必要があります」

有線ドローンの光ファイバーは極めて細い

欧米諸国から支援を受けているウクライナ軍は、使用するドローンも最新鋭だ。

「カミカゼ」は直径30cmほどの自爆型ドローン。ロシア語で「目」を意味する「グラズ」という小型ドローンは、上空200mを飛行し、カメラでロシア軍の位置を正確に把握する。

「『カミカゼ』には、RPGというロケットランチャーの弾頭に加え、『ザジガルカ』という発火装置がつけられています。建物や車両に激突するとまず、RPG弾による爆発が起き、その後、ザジガルカで焼き尽くす。レンガ造りの建物でも、一瞬で業火に包まれる威力です。

『グラズ』は音もなければ見えもしない。上空から、デジタル5倍ズームで僕らの表情まで撮影し、正確な位置を捕捉。それをもとに、敵の迫撃砲弾が飛んできます」

「バーバ・ヤーガ」を撃ち落とした金子氏

ただ、それらよりも厄介なのが、スラブ民話の魔女「バーバ・ヤーガ」と呼ばれる大型ドローンだ。マルチローター、熱感知器、暗視カメラを搭載し、大型のロケット弾頭を運搬できるとあり、ロシア軍に甚大な被害を与えている。

非常に頑丈なため重機関銃などでないと撃ち落とせないが、金子氏はこれを狙撃銃で撃墜。さらに小型自動小銃で「カミカゼ」5機を撃ち落としたため、部隊内で「レジェンダー」(伝説)と呼ばれるようになった。

後編記事『【プーチン直属の特殊任務部隊】で戦う日本人義勇兵が明かした…!ロシアに派兵された「北朝鮮兵」が戦地で信用を得られていない理由』へ続く。

「週刊現代」2025年08月18日号より