自民が総裁選前倒しの可否を検討へ、「石破おろし」続く-両院総会
(ブルームバーグ): 自民党は8日、党本部で両院議員総会を開いた。出席者から総裁選の前倒し実施を求める意見が噴出。総裁選管理委員会で可否を検討することになった。石破茂首相は続投意向を維持するが、選管の判断次第で窮地に追い込まれる。
総裁選の前倒しは参院選大敗を受け、首相に批判的な勢力が求めていた。仮に実施が決まっても石破首相は再選を目指して立候補できる。ただ、首相を取り巻く党内情勢は厳しく、退陣を余儀なくされる可能性もある。総裁選管理委員会の動向が今後の政局の焦点となる。

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石破首相は総裁選前倒しに関し、「私からここで申し上げることはしない。党則にのっとってきちんと運営する」と述べるにとどめた。森山裕幹事長は総裁選前倒しは両院総会の議決ではないとの見解を示した。両氏は総会終了後、記者団に語った。
総会の冒頭、石破首相は日米関税合意の実行に当たってはさまざまな問題があり、国内の事業者に「少しでも不安がないよう、全力を尽くしたい」と述べた。「農業政策、防災をどのようにしていくか、私どもとして引き続きこの日本国に責任を持っていくためにいろんな意見を承りたい」とも語った。
参院選では目標としていた自民、公明両党の非改選を含めた過半数に達しなかった。森山裕幹事長は、参院選の総括について8月末をめどに報告書をまとめる方針を明らかにした。その上で、「わが党は特定の階級や利益を代表する政党ではなく、国民政党だ。その伝統と責任を胸に党一丸となって取り組んでいくことが重要だ」と述べ、結束を呼び掛けた。
総裁選前倒し
両院総会は重要事項を決める権限もあるが、党事務局は、総会の議決で総裁を解任することはできないと所属議員らに説明している。ただ、党則第6条4項では、党所属の国会議員と都道府県連代表各1名の総数の過半数の要求で総裁選を前倒しで行うことは可能としている。
総裁選開催の可否を検討することになったことで、首相に批判的な勢力は総裁選前倒しにより、事実上の首相退陣に追い込もうと圧力を強めることになりそうだ。
柴山昌彦元文部科学相は「石破首相を含めて党員の前で複数の方が正々堂々と論戦を戦わせるのが党の一体性、結束力を増すためには必要だ」と指摘。鈴木宗男参院議員は国政が大事な時期になり、「総裁選は必要ないと思っている」と述べた。

一方、 総裁選管理委の逢沢一郎委員長は、党則に定める両院議員と都道府県連代表の半数超の要求が確認されれば臨時の総裁選を行う手続きになるとの見方を示した。その上で、「まず意思を確認することだ。過半数を超えれば総裁選挙を行うことが明記されているが、いかなければこのタイミングではない」と強調した。
柴山、鈴木、逢沢の各氏は両院総会終了後、記者団に語った。
総裁選の前倒し実施は西村康稔元経済産業相や山田宏参院議員らがSNSなどで必要性に言及していた。青山繁晴参院議員らは7日、石破総裁の即時辞任と総裁選実施を求める要請文を林芳正官房長官を通じて提出した。
米関税措置
首相が続投理由に挙げる米国の関税措置を巡り、合意内容を米側が履行していない問題が表面化している。
訪米中の赤沢亮正経済再生担当相は現地時間7日、米側との協議で対日自動車関税を引き下げる大統領令を発出することを確認した。併せて分野別関税の対象外となっている日本製品に15%の関税を上乗せした措置も是正するという。ただ、現時点で米側は今回の協議内容を公表していない。
両院総会出席者の記者団への発言
島尻安伊子氏:党内の意見は、選挙の結果のけじめをつけろという方が多い鈴木貴子氏:石破総裁が自らの言葉でけじめをつけられようとしていないことは非常に残念だ西田昌司氏:総裁選前倒しを選管に申し送りできたことには意味があった
8月に想定される政治日程
赤沢再生相、米が自動車関税引き下げで大統領令へ-15%関税の修正も 石破首相続投に3つの関門、ヤマは8月下旬の選挙総括-あす両院総会 石破首相が続投に意欲も、参院選大敗に自民内でやまぬ退陣論-両院懇 |
--取材協力:横山恵利香、清原真里、村上さくら、野原良明.
(自民党議員の発言を追加し、更新しました)
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