「地獄の門」静まる トルクメニスタン、環境配慮で火勢縮小

「地獄の門」静まる トルクメニスタン、環境配慮で火勢縮小

【AFP=時事】中央アジア・トルクメニスタンにある「地獄の門」。ここを訪れる人々は、以前のような怒れる炎に期待を膨らませるが、今ではそのような光景はもう見られない。

かつては赤い炎と輝く赤い燃えさしで制御不能な様相を呈していた巨大な穴だったが、直径70メートルの穴は今、わずかに小さな火が残るだけの黒く焼け焦げた大釜となった。

環境への負の影響を背景に、50年間燃え続けた火を縮小すると国が決定したためだ。

「地獄の門」静まる トルクメニスタン、環境配慮で火勢縮小

火勢の縮小は、トルクメニスタンの気候目標にとって重要な一歩だ。国際エネルギー機関によると、トルクメニスタンはガス漏れに起因するメタン排出量が世界最大で、気候目標にこの温室効果ガスの排出削減を掲げている。

トルクメニスタンは世界第4位のガス埋蔵量を持つと推定されている。旧ソ連時代の1971年、カラクム砂漠で天然ガスがたまった地下の空洞を誤って掘削し、科学者たちはガスの拡散を防ぐために着火した結果、「地獄の門」が生まれた。それ以降、温室効果ガスであるメタンを大量に放出し続けている。

「地獄の門」静まる トルクメニスタン、環境配慮で火勢縮小

長年大統領を務めたグルバングル・ベルディムハメドフ氏の下、トルクメニスタンは火勢を制御するか、観光を促進するために利用するかの選択で迷っていた。

そして2022年、ついにベルディムハメドフ氏は環境と経済の両面から完全に消火するよう命じた。

ベルディムハメドフ氏は「環境と近隣住民の健康に悪影響を及ぼしている」とし、「貴重な天然資源が失われている。その輸出は大きな利益を生み出し、国民の福祉向上に使える」と決定について説明した。

首都アシガバートで6月に開催された環境会議に参加した国営ガス会社トルクメンガスの幹部イリーナ・ルリエワ氏は、「以前は数キロ離れた場所からでも巨大な炎の光が見えたことから『地獄の門』と呼ばれていたが、現在はわずかな燃焼源が残るのみだ」と語った。

「地獄の門」静まる トルクメニスタン、環境配慮で火勢縮小

周囲ではメタンを回収するために多数の井戸が掘削されているという。

しかし、火勢の縮小は、国の主要な観光名所を失うことを意味する。

アシガバートから5時間かけてカラクム砂漠の炎を見に来たというイリーナさんは「少しがっかりした」と語った。

「インターネットで見た燃え盛る炎の写真は印象的だった。今ではそれが以前の写真やビデオだとわかった。現実は違う」とAFPに語った。(c)AFP

【翻訳編集】AFPBB News

「地獄の門」静まる トルクメニスタン、環境配慮で火勢縮小

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