新型コロナワクチンの接種により人類全体の寿命がのべ1480万年も長くなったことが判明

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生した際、製薬企業や研究者らの努力で迅速にCOVID-19ワクチンが開発され、国を挙げたワクチン接種キャンペーンが展開されました。学術誌のJAMA Health Forumに掲載された新たな論文では、COVID-19ワクチンの接種によって人類全体の寿命がのべ1480万年も長くなったとの推定結果が報告されました。

Global Estimates of Lives and Life-Years Saved by COVID-19 Vaccination During 2020-2024 | Health Policy | JAMA Health Forum | JAMA Network

https://jamanetwork.com/journals/jama-health-forum/fullarticle/2836434

Global analysis finds 14.8 million life-years added by COVID-19 vaccinations

https://medicalxpress.com/news/2025-07-global-analysis-million-life-years.html

COVID-19ワクチンの接種については政府の対応についてさまざまな指摘が相次ぎ、接種による予防効果やリスクに関する正確な情報だけでなく、誤情報やフェイクニュースも飛び交う事態となりました。COVID-19の直接的な影響で2023年5月までに約700万人が死亡したともいわれている中、ワクチンによって予防された人的被害を推定することは、公衆衛生教育および将来的な公衆衛生計画の策定において重要です。

スタンフォード大学などの研究チームは、COVID-19ワクチンの接種が始まった2020年12月~2024年10月1日にかけて、救われた命の数や人々の残り寿命がどれほど延びたのかを定量化する研究を行いました。

研究では2021年の世界人口である約80億人が対象コホートとなり、「0~19歳」「20~29歳」「30~39歳」「40~49歳」「50~59歳」「60~69歳」「70歳以上」の7つの年齢層ごとに、人口・予測される感染割合・感染時の死亡率・ワクチンの有効性などを調査。これらのデータと、平均寿命や健康状態の調整係数を使用して、「ワクチンで回避された死亡者数」「生存年数の増加」などを推定しました。

分析の結果、COVID-19ワクチンによって合計で253万3000人の命が救われたことが判明しました。これは、ワクチン接種5400回につき1人の命が救われたことを意味しています。また、ワクチン接種による生存年数の増加は世界全体で1480万年に達し、ワクチン接種900回につき1年分の寿命が延びたとのことです。

COVID-19ワクチン接種によって回避された死亡の約82%は、初めて新型コロナウイルスに感染する前にワクチン接種を受けた人々で確認され、そのうち57%はオミクロン株の流行期に発生したと報告されています。

また、命が救われた人の89.6%を60歳以上の高齢者が占めていた一方、0~19歳の子どもや青年が占める割合はわずか0.01%でした。生存年数の増加にも同様の年齢勾配がみられ、COVID-19ワクチン接種によって増加した寿命の76%を60歳以上が占め、30歳未満の増加分は0.5%未満にとどまりました。

研究チームは、今回の研究ではかなり保守的な見積もりを採用したものの、それでもワクチン接種により大きな利益がもたらされたと指摘。また、世界人口の中でも特に高齢者がワクチン接種の恩恵を受けたと結論付けました。