『白い卵』と『茶色い卵』の違いとは?殻の色と栄養価の関係を解説
『白い卵』と『茶色い卵』の違いとは?殻の色と栄養価の関係を解説
「白い卵」と「茶色い卵」の違いはどこからくる?
スーパーなどで卵を買うとき、産地や値段、サイズと並んで気になるのが卵の殻の色ですよね。実は、卵の色は鶏の種類によってほぼ決まっています。ここでは、白い卵と茶色い卵の違いについて解説します。
白い卵を産む鶏の特徴
白い卵を産む鶏の多くは白色レグホンという種類です。日本の養鶏場の約80%がこの品種を飼育しています。白色レグホンは体が小さく、エサの量が比較的少なくてもたくさんの卵を産むため、飼育コストが安く済みます。そのため、スーパーでもよく見かけ、値段も手頃なことが多いです。
茶色い卵を産む鶏の特徴
茶色い卵(赤玉)を産む鶏は、ロードアイランドレッドやボリスブラウンなどが代表的です。体が大きく、エサをたくさん食べる傾向があるため、飼育にお金がかかります。その結果、スーパーでの値段も少し高めです。殻の色はプロトポルフィリンという色素によって茶色くなります。
殻の色と栄養価は関係ない
卵の殻が茶色だから栄養が高い、白いから低い、という誤解がよくありますが、実際には殻の色と卵の栄養価にはほぼ関係がありません。卵の栄養は、鶏が食べるエサの内容や飼育環境に左右されます。殻の色だけで栄養を判断するのは間違いなのです。
卵の殻の色が決まる仕組み
卵の殻の色が決まるメカニズムを詳しく見ていきましょう。実は、殻の色は卵が作られる鶏の体内で決まっています。以下の項目でそれを説明します。
鶏の品種による遺伝の影響
卵の殻の色は鶏の遺伝子でほぼ決まります。白色レグホンのような品種は色素が少なく白い卵を産み、ロードアイランドレッドなどの品種はプロトポルフィリンという色素が多く茶色い卵を産みます。ただし、親鳥の羽の色が必ずしも卵の色と一致するとは限りません。
光の影響はあるの?
殻の色が飼育環境の明るさで変わる、という話を聞くことがありますが、実際には光の影響で卵の色が変わることはほぼありません。卵が産まれた後に強い光を当てると、茶色い卵の色素が薄くなることはありますが、鶏が卵を産む前の環境の明るさで色が決まるわけではありません。
青や緑色の卵もあるって本当?
実は、珍しい色の卵もあります。アローカナという品種の鶏が産む卵は青や緑色をしています。この色はビリベルジンという色素が原因です。日本ではあまり一般的ではありませんが、海外では人気のある卵の一種です。
栄養・味・価格に差はある?
卵の殻の色が違うと、栄養や味、価格にも違いがあるのでしょうか。実際には殻の色だけで味や栄養は変わらないというのが結論です。詳しく見てみましょう。
栄養価は変わらない
卵の栄養価を比べる研究では、白い卵と茶色い卵の栄養成分(たんぱく質、脂質、ビタミンなど)にほとんど差がないことが明らかになっています。大切なのは鶏が食べるエサの内容です。例えば、ビタミンEやDを多く含むエサを与えられた鶏は、栄養価の高い卵を産む傾向があります。
味に差がない理由とは?
殻の色だけで卵の味が変わることはありません。卵の味に影響を与える主な要素は飼料の種類や鮮度です。つまり、同じエサを食べ、同じ環境で育った鶏が産む卵であれば、殻の色が白でも茶色でも味は同じです。
茶色い卵が高い理由
茶色い卵のほうが値段が高いことがありますが、これは栄養や味の違いではありません。茶色い卵を産む鶏は体が大きく、エサを多く食べるため、その分飼育コストがかかります。また、「茶色の卵は栄養が豊富」というイメージからブランド化され、価格が高く設定されていることもあります。
卵黄の色はどう決まる?
卵黄の色も気になる人は多いでしょう。卵黄の濃さや薄さは栄養価とはほとんど関係なく、鶏のエサに含まれる色素の種類と量で決まります。
鶏のエサにトウモロコシやパプリカなどカロテノイド色素を含む食材が多ければ、卵黄は濃いオレンジ色になります。逆に、米や麦が中心のエサだと、卵黄は薄い黄色になることがあります。
卵黄の色が濃いからといって栄養価が高いわけではないので、色だけで卵の質を判断しないよう注意しましょう。
ゆで卵を作ると卵黄が緑になる理由
卵の色に関連して、ゆで卵を作る時に卵黄が緑色に変わってしまった経験がある人もいるでしょう。これは硫化黒変(りゅうかこくへん)と呼ばれる現象です。
長くゆで過ぎたり、加熱後にすぐ冷やさなかったりすると、卵白から出る硫化水素という物質が卵黄の鉄分と反応し、硫化鉄という物質ができるためです。見た目は悪くなりますが、健康には害はありません。
ゆで卵を美味しくきれいに作るコツは以下の通りです。
・卵を沸騰したお湯で10分程度ゆでる
・ゆで終わったらすぐに冷たい水で冷やす
こうすると、緑色に変色しにくくなります。
卵を買うときにチェックしたい3つのポイント
卵を選ぶ際には、殻の色よりも重要なチェックポイントがあります。次に紹介する3つのポイントを覚えておくと、安全でおいしい卵を選ぶことができます。
①賞味期限と採卵日を確認する
卵のパックには賞味期限や採卵日が書かれていることがあります。賞味期限は採卵からおよそ2週間~3週間が一般的です。できるだけ新しいものを選びましょう。
②卵の殻にヒビや汚れがないか確認する
卵の表面にヒビや汚れがあると、雑菌が入りやすくなります。見た目をよく確認し、割れていたり汚れが目立ったりする卵は避けましょう。
③産地や飼育方法を確認する
産地が明記されている卵は、信頼性が高い傾向にあります。さらに「平飼い」や「放し飼い」と表示されている卵は、鶏がストレスの少ない環境で育っている可能性が高く、品質が良いことがあります。
まとめ
卵の色に注目してしまいがちですが、本当に注目すべきは飼育方法やエサの質です。近年、環境や動物福祉に配慮した飼育方法で作られる卵が注目を集めています。
「放し飼い」や「平飼い」など、鶏が自然に近い環境で育てられると、鶏の健康や卵の質にも良い影響があります。卵を選ぶ際には、価格や見た目だけでなく、卵がどのように作られているのかにも目を向けてみてはいかがでしょうか。