脇役イメージ“みょうが”の栄養は?食べすぎるとダメって噂は本当?栄養士ライターが解説
ちょっと脇役イメージな“みょうが”を解説
そうめんや冷奴の薬味として、さわやかな香りと彩り、食感のアクセントを与えてくれる「みょうが(茗荷)」。薬味仲間のショウガや青ネギに比べると存在感が弱く、「あってもなくても気にならない」という声も…。もっと多くの人に食べていただきたい!との思いを込めて、みょうが好きの筆者がスポットライトを当てたいと思います。
【画像】えっ……!みょうがってこんな風に生えてるんだ(驚)
よく食べている「みょうが」は花のつぼみ部分
▲収穫まで1年以上かかる高級食材「みょうがたけ」の旬は春。
現在は年間を通して手に入る「みょうが」ですが、本来の旬は初夏から秋。数少ない日本原産の野菜の一つで、東京に茗荷谷(みょうがだに)という地名がありますが、かつて「みょうが」の栽培が盛んに行われていたことが由来と言われています。
普段、私たちが食べているのは「花みょうが」と呼ばれる蕾(つぼみ)が集まった花穂(かすい)部分。地下茎から伸びて地上に顔を出します。また、土を盛るなどして若い茎の部分を軟白栽培したものを「みょうがたけ」と呼び、収穫まで手間と時間がかかることから高級食材として知られています。
栄養ポイントは特有の香りと紅色、食感にあり
▲みょうがの香りを楽しみたいなら、刻むのは「食べる直前」に!
「みょうが」の特徴は、さわやかな香りと美しい紅色、シャキシャキした食感です。香りの主成分はα-ピネンという精油成分で、血行を促進して体を温めたり、食欲を増進させる働きがあるとされています。エアコンによる冷え性や夏バテに有効と言えそうですね。α-ピネンは揮発性が高いため、香り成分を最大限に活かしたいなら“刻み置き”はNG。食べる直前に刻むようにしましょう。
また、「みょうが」の紅色にはポリフェノールの一種「アントシアニン」が含まれています。抗酸化作用のほか、血行の改善にも一役買ってくれます。酸と合わせると鮮やかに発色する性質があるので、サッと湯通ししてから甘酢漬けやピクルスにすると、写真映えを狙える常備菜になります。さらに、「みょうが」には食物繊維が豊富に含まれ、シャキシャキとした食感のもとにもなっています。
「みょうが」の言い伝えには根拠なし
▲「みょうが」をたくさん食べても物忘れはしません!
「みょうがを食べると物忘れしやすい」という言い伝えを耳にしたことはありませんか? これは、お釈迦さまの弟子の一人にちなんだエピソードから生まれたもので科学的な根拠はありません。むしろ、色素成分のアントシアニンには血行を改善して脳血管障害を予防する作用、香り成分のα-ピネンは脳を刺激して集中力を高める効果が期待されています。
まとめ
「みょうが」は、乾燥すると香りや食感が損なわれやすくなります。しめらせたキッチンペーパーで包んでから保存袋などに入れて冷蔵保存し、10日以内に食べ切るのがベストです。冷凍保存も可能ですが、香りや食感は弱くなります。「みょうが」は確かにメインディッシュ向きではありませんが、夏バテ予防の名脇役とも言える栄養成分があります。薬味や酢の物としてこまめに食べて、過酷な夏を乗り切りましょう。
※杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018
(野村ゆき)