【偏食克服レシピ:玉ねぎ】子どもの偏食の原因を知って克服! 思わずおかわりしたくなるとっておきレシピ
野菜の苦手克服をテーマに料理家・越野美樹が、「子どもの偏食が克服できるコツとレシピ」を提案する連載。今回のテーマは、玉ねぎ。甘くてなめらかな「オニオングラタンポタージュスープ」と、カリふわ食感の「豆腐入り玉ねぎナゲット」を紹介します。

子どもが玉ねぎを嫌いな理由を知って調理を工夫すれば、完食したくなる料理に仕上げられます。 左下:オニオングラタンポタージュスープ 右上:豆腐入り玉ねぎナゲット 写真:越野美樹
野菜の苦手克服をテーマに、料理家・越野美樹が「子どもの苦手な野菜を克服するコツとレシピ」を大公開!
第4回のテーマは、「玉ねぎ」。
子どもの玉ねぎ偏食ポイントは、主に次の2点です。
1 「辛み」
2 「食感」
今回は、ふたつの偏食ポイントを克服する、甘くてなめらかな「オニオングラタンポタージュスープ」と、カリふわ食感の「豆腐入り玉ねぎナゲット」の2種をご紹介します。
玉ねぎの辛みを甘みに変えて偏食を克服!
「玉ねぎだけを避けて食べる」など、玉ねぎ嫌いの子どもは、どんなに小さく切っても、めざとく見つけて避けることがあります。
子どもが玉ねぎを嫌いな理由のひとつには、辛みがあります。
子どもは味覚や嗅覚が敏感で、辛いものを食べると本能的に「食べてはいけない!」と感じます。したがって、子どもが辛みに苦手意識を持つのは仕方がないことといえるでしょう。

子どもが辛みを避けるのは本能的に備わっているもの。玉ねぎの辛みを抑えて食べやすくする工夫をしましょう。 写真:越野美樹
しかし実は玉ねぎには、辛み成分が含まれているわけではありません。
玉ねぎを切ると細胞が壊れ、その中にあった「イソアリイン」という成分が「アリイナーゼ」という酵素と反応し、これにより辛みや特有のにおいの元となる「アリシン」などの硫黄化合物が生成されるのです。
そのため、玉ねぎの辛みを抑えるには3つのコツがあります。
【子どもの偏食克服ポイント1 玉ねぎの辛みを抑えて偏食を克服】
●冷やしておく
→温度が低くなると酵素の働きが弱くなり、辛みの元となる成分が抑えられます。
●水にさらす
→切った玉ねぎを水にさらすと、辛み成分が水に溶け出します。
●加熱する
→辛み成分が揮発・分解し、甘みに変わります。
ひとつめのレシピは、玉ねぎを炒めてからじっくりと煮たごちそうスープです。見た目も楽しく、玉ねぎの辛みを感じにくく、自然な甘みを味わえます。
「オニオングラタンポタージュスープ」のレシピ

じっくり加熱して甘みを引き出した玉ねぎに、カリカリとろとろのパンとチーズ……。見た目も豪華なごちそうスープです。 写真:越野美樹
【材料】2人分
玉ねぎ 1個
オリーブオイル 大さじ1
牛乳 200ml
塩 小さじ1/3
フランスパン 2切れ
シュレッドチーズ 20g
【作り方】
1.玉ねぎは縦半分に切ってから繊維に沿って薄切りにする。
2.鍋を弱火で熱してオリーブオイルを入れ、温まったら1を入れて玉ねぎが透明になるまで炒める。

じっくり透明になるまで炒めることで、辛みが抑えられ、甘みが引き出されます。 写真:越野美樹
3.水200ml(分量外)を加えて中火にする。ふたをして、沸騰してから5分ほど煮る。
4.フランスパンにシュレッドチーズをのせて、トースターでチーズが溶けるまで2~3分焼く。
5.3に牛乳と塩を加えてブレンダーにかけ、温まるまで火にかける。
6.5を器に盛り、4をのせる。

写真:越野美樹
ブレンダーがない場合は、玉ねぎをみじん切りにすれば甘くてクリーミーなスープが作れます。暑い日には、スープを冷やしてからパンをのせてもおいしくいただけます。
玉ねぎの食感を穏やかにして偏食を克服!
子どもが玉ねぎが嫌いなもう一つの理由は、食感です。

玉ねぎの食感は加熱の加減によって異なり、どのような食感が苦手なのかはそれぞれ違います。 写真:越野美樹
生玉ねぎのシャキシャキ感、煮込んだクタクタ感、加熱途中の筋っぽさなど、玉ねぎの食感が苦手な理由はさまざまです。
玉ねぎは繊維が多いため、生で食べるとかみ切りにくく、また、加熱すると細胞の中から多糖類が溶け出し、ぬめりを感じることがあります。
玉ねぎの食感が苦手な子どもが食べやすくなるコツは、3つあります。
【子どもの偏食克服ポイント2 玉ねぎの食感を感じにくくして偏食を克服】
●細かく切る
→みじん切りやすりおろしなど、食感を感じにくい大きさにします。
●ほかの食材の食感でカモフラージュする
→ひき肉、豆腐、魚のすり身、いも、卵、チーズ、トマトソース、クリームソース、きのこ、パン粉などは、玉ねぎの食感を目立たなくします。
●揚げる
→玉ねぎを揚げると水分が飛んでサクサクした食感になり、また表面がカリッとするので食べやすくなります。
ふたつめのレシピは、玉ねぎを豆腐と鶏ひき肉と混ぜて揚げた一品です。玉ねぎがふわふわの生地に包まれ、外はカリッとして、楽しい食感が味わえます。
「豆腐入り玉ねぎナゲット」のレシピ

豆腐のまろやかさと、鶏ひき肉の弾力で玉ねぎの食感をやわらげたナゲット。外側のカリカリ感も、玉ねぎの食感が嫌いな子どもに好まれます。 写真:越野美樹
【材料】2人分
玉ねぎ 1/4個
鶏ひき肉 100g
木綿豆腐 1/2丁(約150g)
片栗粉 大さじ3
マヨネーズ 大さじ1
塩 ひとつまみ
揚げ油 適量
【作り方】
1.玉ねぎはみじん切りにする。
2.ボウルに鶏ひき肉を入れてよく混ぜる。粘りが出たら1、木綿豆腐、片栗粉、マヨネーズ、塩を加えてよく混ぜる。
3.揚げ鍋に揚げ油を入れて160℃に熱する。
4.スプーン2つを使って2を3に入れる。

スプーンで生地を山盛りにすくったら、もう一つのスプーンで揚げ油に落とします。 写真:越野美樹
5.ほんのり色づいたら、裏返して火が通るまで揚げる。

写真:越野美樹
片栗粉が豆腐の余分な水分を吸収してくれるので、わざわざ豆腐を水切りする必要はありません。中はふわとろ、外はカリカリに仕上がり、玉ねぎの食感を感じにくい一品です。
玉ねぎの偏食を克服するための工夫
玉ねぎの偏食を克服するためには、玉ねぎの辛みが苦手なのか、食感が苦手なのかを見極め、調理法を工夫することが大切です。

玉ねぎの辛みや食感を感じにくくする工夫をすると、子どもが喜ぶ玉ねぎ料理に仕上がります。 写真:越野美樹
玉ねぎを冷蔵庫で冷やしておき(酵素の力が弱まる)、切ったらしばらく置いておく(辛み成分を揮発させる)だけでも辛みは減少するので、試してみてください。
今回ご紹介した料理以外にも、玉ねぎが食べやすくなる料理はたくさんあります。
・すりおろし玉ねぎのハンバーグ
みじん切りでも気になる子どもには、すりおろした玉ねぎをひき肉に混ぜると食感を感じにくくなります。
・玉ねぎ餃子
にらやねぎの代わりにみじん切りの玉ねぎを使用。玉ねぎは、加熱すると辛み成分が揮発・分解されて甘くなります。
・あめ色玉ねぎのキーマカレー
玉ねぎをあめ色になるまで炒めると食感を感じにくくなり、辛みが甘みに変わります。

玉ねぎ餃子 写真:越野美樹
玉ねぎが苦手だとあきらめずに、子どもの偏食の理由に合わせて切り方や調理法を変えると、食べられるようになります。
苦手な理由を知って、玉ねぎの偏食を克服しましょう!