「この子はいつ亡くなってもおかしくないです」一筋の希望を胸に病院へ相談してみたけれど…【作者インタビュー】
イラストレーターや漫画家として活躍する桜木きぬ(@kinumanga)さん。自身の死産の体験を振り返り、その葛藤や命の輝きをリアルに描いた『わたしが選んだ死産の話』は、連載元の「ダ・ヴィンチWeb」で累計1000万PVを獲得するなど大きな話題となり、電子書籍として発売された。
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」より
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P1
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P2
「この子はいつ亡くなってもおかしくないです」
2人目を考え始めて数年が経ったある日、ようやく念願だった妊娠が発覚する。喜びもつかの間、病院の診察を受けているときに医師から「染色体異常」の可能性を指摘される。
後日、羊水検査を受け「18トリソミー」という結果が告げられる。自然流産となることが多く、無事に産まれても生後1週間以内に約60%が死亡し、生後1年まで生存する子は10%未満という。
そこから主人公は悩み、もがき、苦しんで、最終的には死産を選ぶこととなる。物語はその後も続き、最後には「あの子がいてくれてよかった」という思いにいたるまでを描き、完結する。
本記事では同作品の第3話「18トリソミーの赤ちゃん」を抜粋し、この漫画に込めた思いなどを桜木さんに聞いてみた。
※紹介している内容は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。同様のことでお悩みの場合は医師・看護師ほか専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P3
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P4
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P5
——中絶を決意したものの、絶望の淵にいるきぬの手を引いてくれたのは、息子のウタくんや夫のアキラさんでした。桜木さんにとって、ご家族の存在はどのようなものでしょうか。
「自分の命より大事だと思える貴重な存在です。なかなかそんなものもないと思うので。だけどお腹の子もそれくらい大事に思っていたので、自分のことはあてにならないなとも思います」
——ご家族がそばにいたとはいえ、前を向くことができたのは、桜木さんご本人の力だと思います。忘れるのではなく受け入れることで前を向く姿勢が感じられました。桜木さんは悲しい体験をどのようにとらえ、前への一歩を踏み出せたのでしょうか。
「実は今も立ち直ったり前を向いてる気はあまりしていません。ただ毎日は過ぎて、気づけば10年経ったなという感じです。思い出せばいつでもつらいです。とりあえず生きて、生活をしていたら、楽しいことやまた別のつらいこともあるのでだんだんその中のひとつになっていってる気がします」
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P6
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P7
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P8
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P9
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P10
第3話「18トリソミーの赤ちゃん」P11
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