次回、10月15日の年金支給日に【年金生活者支援給付金】も受けとるのはどんな人?《支給要件・給付額・申請方法》を解説!
- 「年金生活者支援給付金」とは?《老齢年金・障害年金・遺族年金》
- 年金生活者支援給付金は3種類
- 「年金生活者支援給付金」支給対象となる要件とは?
- 「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となる要件
- 「障害年金生活者支援給付金」の支給対象となる要件
- 「遺族年金生活者支援給付金」の対象者となる要件
- 【2025年度】年金生活者支援給付金「給付額」は前年度から2.7%増額
- 【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額はいくら?
- 70歳代の43.2%が「全面的に公的年金に頼る」
- 「年金生活者支援給付金」申請方法とは?《申請しないともらえない》
- パターン1:新規に老齢年金を受給する人
- パターン2:既に年金を受給中の人《新たに対象となる人には9月1日より順次「請求書」が送付されます》
- 【老齢年金】「国民年金・厚生年金」平均はいくら?
- 【一覧表】年齢階級別《国民年金・厚生年金》5歳刻みの平均はいくら?
- 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均はいくら?
- 年金生活者支援給付金の「請求書」が届いたら速やかに提出を!
【新たに給付金の対象となる人には9月1日~順次「請求書」が送付されます】
次回、10月15日の年金支給日に【年金生活者支援給付金】も受けとるのはどんな人?《支給要件・給付額・申請方法》を解説!
2025年10月15日(水)は公的年金の支給日です。この日、「年金生活者支援給付金」という給付金も受けとる人がいます。
年金生活者支援給付金は「老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金」の3種類。なお、2024年3月時点における平均支給額は以下のとおりです。
年金生活者支援給付金の平均支給額(2024年3月)
・老齢年金生活者支援給付金:月額4014円
・(補足的老齢年金生活者支援給付金:2116円)
・障害年金生活者支援給付金:月額5555円
・遺族年金生活者支援給付金:月額5057円
年額にすると平均約5万円~7万円弱ほど。年金生活者支援給付金は支給要件を満たす限り、継続して2カ月に1度受けとれるため、年金生活者にとって公的年金にプラスアルファの貴重な収入源のひとつとなり得るでしょう。
この記事では「年金生活者支援給付金」の支給要件や給付額、申請方法について解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「年金生活者支援給付金」とは?《老齢年金・障害年金・遺族年金》
「年金生活者支援給付金」ってどんな制度?
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めてもなお所得の低い世帯を対象とする給付金です。2カ月に一度の年金支給日に、公的年金に上乗せして支給されます。
近年しばしば実施されている「住民税非課税世帯への給付金」などの一時的な支援とは異なり、要件を満たす限り継続して受け取ることができる恒久的な支援制度です。
年金生活者支援給付金は、以下の3つの種類があります。
年金生活者支援給付金は3種類
・老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
・障害年金生活者支援給付金
・遺族年金生活者支援給付金
それぞれの支給対象者を確認しましょう。
「年金生活者支援給付金」支給対象となる要件とは?
3種類ある年金生活者支援給付金について、それぞれの支給要件を整理しましょう。
老齢・障害・遺族「年金生活者支援給付金」は3種類
「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となる要件
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。
※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?
老齢年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の人を対象とした制度ですが、基準額をわずかに超えると給付を受けられず、基準額ギリギリで支給対象となる人よりも総所得が低くなるという問題がありました。
この不公平を解決するために設けられているのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。この給付金は、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減ります。
「障害年金生活者支援給付金」の支給対象となる要件
・障害基礎年金の受給者である
・前年の所得が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
「遺族年金生活者支援給付金」の対象者となる要件
・遺族基礎年金の受給者である
・前年の所得が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に支給対象となります。次では給付額についても見ていきましょう。
【2025年度】年金生活者支援給付金「給付額」は前年度から2.7%増額
公的年金と同じく、年金生活者支援給付金制度の給付額は年度ごとに見直しがおこなわれます。2025年度は、前年の物価変動率にもとづき2.7%の増額となりました。
【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額はいくら?
年金生活者支援給付金の給付額
出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
・障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
・遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
なお、老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付状況に応じて計算されます。保険料納付済期間や免除期間によって、実際の給付額には個人差があります。
70歳代の43.2%が「全面的に公的年金に頼る」
老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ
厚生労働省の「生活設計と年金に関する世論調査」によると、老後の生活設計を「全面的に公的年金に頼る」と回答した人の割合は、60歳代で28.5%、70歳代で43.2%です。
一方、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」によると、70歳代の二人以上世帯ひと月当たりの最低生活費は35万円。また、30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えています。
年金生活者支援給付金の支給対象となった人には日本年金機構から通知が届きます。受け取った場合はしっかり受給して活用しましょう。
なお、年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく「申請しないと1円も受け取れない」お金です。次では、年金生活者支援給付金の手続き方法について整理します。
「年金生活者支援給付金」申請方法とは?《申請しないともらえない》
年金生活者支援給付金の受給には、申請手続きが必要です。対象となる人にはお知らせを兼ねた請求書が届きますが、これを提出しないと「1円ももらえない」ので気をつけましょう。
年金受給の状態によって、日本年金機構から届く書類は異なります。今回は「新規に年金を受給する人」と「既に年金を受給中の人」の2パターンを解説します。
※なお、繰上げ受給の人には下記とは異なる様式の書類が届きます。
パターン1:新規に老齢年金を受給する人
これから年金を受給開始する人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。
給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。
新規に老齢年金を受給する人の申請方法
パターン2:既に年金を受給中の人《新たに対象となる人には9月1日より順次「請求書」が送付されます》
既に年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。
請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。
既に年金を受給中の人の手続き方法
それぞれ、一度申請手続きをおこなえば、基本的に毎年の手続きは不要です。 また支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送され支給されなくなります。
「自分は支給対象か分からない」「支給対象のはずだが請求書が届かない」といった疑問点があれば、年金事務所などに相談しましょう。
次では、今のシニア世代がどの程度の年金を受け取れているかも見ていきます。
【老齢年金】「国民年金・厚生年金」平均はいくら?
ここからは厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金(※)の受給額を「60歳~90歳以上の5歳刻みの平均月額」と、「すべての年齢の平均月額」に分けて見ていきます。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
【一覧表】年齢階級別《国民年金・厚生年金》5歳刻みの平均はいくら?
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
国民年金
・60~64歳:4万4836円
・65~69歳:5万9331円
・70~74歳:5万8421円
・75~79歳:5万7580円
・80~84歳:5万7045円
・85~89歳:5万7336円
・90歳以上:5万3621円
厚生年金
※国民年金部分を含む
・60~64歳:7万5945円
・65~69歳:14万7428円
・70~74歳:14万4520円
・75~79歳:14万7936円
・80~84歳:15万5635円
・85~89歳:16万2348円
・90歳以上:16万721円
64歳までの年金額は、繰上げ受給中の人や、特別支給の老齢厚生年金を受給中の人の年金額となるため、65歳以上の年代と比べると低めです。
一般的な年金開始年齢である65歳以上の平均年金月額は、国民年金(老齢基礎年金)のみの受給権者は5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者は14万円台~16万円台となります。
上記はいずれも「各年齢層」での平均額です。実際の受給額は現役時代の年金加入状況により個人差が出るため、上記は参考程度に見ておくと良いでしょう。
次では、60歳~90歳以上の全ての年齢層の受給権者で、平均月額を見ていきます。特に厚生年金では男女差・個人差に着目してみてください。
【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均はいくら?
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
国民年金の平均月額
・全体 5万7584円
・男性 5万9965円
・女性 5万5777円
厚生年金の平均月額
・全体 14万6429円
・男性 16万6606円
・女性 10万7200円
国民年金のみの受給権者は、全体、男女別ともに平均月額は5万円台。満額受給の場合でも7万円弱(※)です。一定の要件を満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。
一方、厚生年金の受給権者の場合、平均月額は全体で14万円台でした。国民年金のみの受給権者と比較すると受給額は高めですが、男女別に見ると、男性は16万円台、女性は10万円台と大きな開きがあります。
厚生年金の個人差
【グラフ】厚生年金の年金月額《個人差・男女差に着目》
また、厚生年金の受給額は個人差が大きいです。月額3万円未満から、25万円超まで、幅広い受給額帯に分布しています。
受給額次第では、厚生年金を受け取る場合でも老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性はあるでしょう。
年金生活者支援給付金の「請求書」が届いたら速やかに提出を!
年金生活者支援給付金は、月額でみると金額にそれほどのインパクトはないかもしれません。しかし、支給要件を満たす限り2カ月に1度、継続して受けとれるため年額で見ると数万円の収入に。支給要件を満たす年金受給者にとって貴重な収入源の1つとなり得るでしょう。
この記事でご紹介したとおり、年金生活者支援給付金は日本年金機構へ請求書を提出する必要があります。
すでに年金受給中で、前年の所得に変動があるなど要件を満たすことになった人には、9月1日より順次、「年金生活者支援給付金の請求書」が送付されます。
期限を過ぎたり、申請が漏れたりすることがないよう、請求書は速やかに提出しましょう。
※LIMOでは個別の質問やご相談はお受けできません。
参考資料
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」
・金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024」
・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」