重要度がかなり高い…日本年金機構から届く「青いハガキ」をちゃんと確認しなかった50代サラリーマンを待つ、想定外の老後【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)
定年退職が見えてくると、多くの人が漠然とした不安を抱えはじめます。その不安の正体は、実は「知らないこと」にあります。定年後にいくら入り、いくら出ていくのか、収支の全体像が見えないからこそ、私たちは過剰に心配してしまうのです。本記事では、福地健氏が監修を務めた『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より、定年後のお金について解説します。
定年後、どのくらいお金が必要か?
「定年後、お金が足りるか心配……」。定年後のお金に不安を抱く人は多いのではないでしょうか。その不安の原因は、定年後のお金の動きが見えないから。そのため、漠然と不安を感じてしまうのです。
定年後のお金の不安を解消するには、定年後の収支(入るお金と出るお金)をあらかじめ把握しておくことがなによりも大切です。まずは定年後に「入るお金」と「出るお金」がどのくらいになるのか、大まかな全体像を掴みましょう。
[図表1]定年後に「入るお金」・「出るお金」一覧 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
定年後の収支は、大きく図表1のように分類できます。定年後の生活に向けて大切なのは、この先の収入と支出を客観的に把握し、「入」よりも「出」が多くなりすぎないように収支のバランスを保つこと。「入」が少なくても、「出」を抑え、収入の範囲で生活をやりくりすれば、さほど心配ありません。
定年後に「出る」お金
定年後に「出るお金」は、図表2のように(1)基本生活費・その他の支出、(2)ライフイベント費、(3)介護費の3つで考えます。
[図表2]定年後に「出るお金」は3つに分けて考える 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
(1)には、食費や住居費の他、日常の医療費や趣味に使うお金なども含まれます。(2)のライフイベント費は、60〜70代前半に多い大きなライフイベント(詳細は下コラム「定年後、どんなライフイベントがある?」参照)に備えるお金。つい日々の生活費に目がいきがちですが、この支出も少なくないので、予算化しておきます。(3)の介護費は個人差が大きい費目ではありますが、1人500万円ほど準備しておくと安心です。
定年後、どんなライフイベントがある?
定年後は、意外とライフイベントが集中する時期。特に、子どもがいる場合は結婚費用の援助や住宅資金援助なども考えられます。
[図表3]定年後に予定されるイベントと費用の目安例 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋*
定年後に「入る」お金
「出るお金」をイメージできたら、次は「入るお金」を知りたいですよね。入るお金のうち、自分の年金がいくらもらえるのかを知るためには、「ねんきん定期便」を確認しましょう。
公的年金の加入者には、毎年誕生月にハガキか封書で「ねんきん定期便」が送られてきます。50歳未満の人と50歳以上の人ではフォーマットが異なりますが、50歳以上の「ねんきん定期便」には、現時点での納付状況が60歳まで継続すると想定したうえでの見込額が試算されています。実際の受給額にかなり近い金額を知ることができるため、重要度が増します。
また、裏面にある「老齢年金の種類と見込額(年額)」の欄を見れば、現在の条件で60歳まで働き続けた場合「何歳から」「どの種類の年金が」「いくら」受け取れるのか、具体的に確認することができます。
「ねんきん定期便」に記載された見込額などを基に、定年後のライフプランを立てるようにしましょう。
[図表4]50歳以上の「ねんきん定期便」の場合 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
もっと詳しく知りたい人は「ねんきんネット」を利用
「もっと詳しく自分の年金について知りたい」「ねんきん定期便を紛失した」という人は、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用することもできます。ウェブ上で自身の年金情報をいつでも確認できるサービスです。
年金を受け取りながら働き続けた場合など、さまざまな暮らし方に応じた年金見込額を簡単に試算可能。将来のシミュレーションをするうえで便利なツールです。
「ねんきんネット」を利用してみよう
「ねんきんネット」への登録には、ねんきん定期便に記載のアクセスキーを登録するか、マイナンバーカード(スマートフォンまたはICカードリーダライタも必要)を利用することで登録可能。一度、登録すれば次回からログインのみでOK。まずは登録から始めましょう。
[図表5]ねんきんネットトップ画面 出所:https://www.nenkin.go.jp/n_net/