65歳以上の無職世帯は毎月いくらの赤字?豊かな老後生活を送るためのポイントとは

老後資産は使わないと意味がない。しかし無計画な支出に注意

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65歳以上の無職世帯は毎月いくらの赤字?豊かな老後生活を送るためのポイントとは

年金だけでは老後生活が厳しい現実が浮き彫りになっています。国民年金の平均受給額は月5万7584円、厚生年金でも14万6429円にとどまり、標準的な65歳以上夫婦世帯では月約3万4000円の赤字が発生しています。

しかし、この赤字は必ずしも問題ではありません。重要なのは、現役時代に蓄えた資産を適切に活用することです。健康で活動的な60~70代前半に旅行や趣味を楽しみ、人生の充実度を高めましょう。

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国民年金の平均受給額

国民年金の平均受給額は、男女別で以下のとおりです。

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国民年金の平均受給額

・全体の平均年金月額:5万7584円

・男性の平均年金月額:5万9965円

・女性の平均年金月額:5万5777円

2025年度における満額の国民年金は、月額6万9308円です。満額の年金を受給できたとしても、国民年金だけで老後生活を送るのは非常に厳しいでしょう。

厚生年金の受給額

会社員や公務員など、厚生年金に加入していた方は国民年金とあわせて厚生年金を受給できます。

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年金の実態

・全体の平均年金月額:14万6429円

・男性の平均年金月額:16万6606円

・女性の平均年金月額:10万7200円

平均値に基づく単純計算では、厚生年金を受給できる夫婦は月額で約27万円の年金を受け取れます。現役時代にできるだけ長く働き、夫婦それぞれで受け取れる年金を増やせば、老後の安心は大きくなるでしょう。

65歳以上の「無職世帯の生活費」

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、標準的な65歳以上無職夫婦世帯では、1カ月あたり約3万4000円の赤字が発生しています。

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65歳以上の「無職世帯の生活費」

あくまでも平均的なデータであり、どの高齢者世帯においても、毎月赤字が発生するわけではありません。逆に、毎月5万円以上の赤字が発生するようなケースもあるでしょう。

なお、高齢者世帯において必ずしも「赤字=悪」ではありません。年金で不足する分を貯蓄から取り崩せば、問題なく生活できるからです。

むしろ、現役のころ「老後生活を楽しむため」に貯金をしてきた方にとっては、老後資金を使わなければ「何のために働いてきたのか」という結論になってしまいます。

豊かな老後生活を送るためのポイント

老後生活を充実させるためには、蓄えた資産を計画的に活用することが大切です。せっかく築いた資産を過度に温存するのではなく、健康で活動的な時期に適切に使うことで、より豊かな老後生活を送ることができます。

旅行や趣味、家族や孫との時間など、「老後だからこそできる経験」にお金を使うことは、人生の充実度を高める重要な要素です。特に60代から70代前半の比較的健康な時期は、アクティブな活動を楽しむ絶好の機会といえるでしょう。

しかし、計画性を欠いた支出は禁物です。平均寿命の延伸により、老後期間は予想以上に長くなる可能性があります。また、将来の医療費や介護費用が増加する事態も考慮する必要があります。

自分の寿命よりも先に資産が枯渇してしまう事態を防ぐためにも、年間支出予算を設定し、その範囲内で計画的にお金を使うことを検討しましょう。たとえば、「定率取崩」「定額取崩」などのルールを採用すれば、無計画な支出を防げます。

大切なのは「使うべき時に適切に使い、守るべき資産はしっかり守る」というバランス感覚です。定期的に家計や資産状況を見直し、安心して老後を楽しめる資金計画を維持していきましょう。

まとめにかえて

年金収入だけでは老後生活費を賄うのは困難ですが、計画的な資産活用により豊かな老後は実現可能です。大切なのは「使うべき時に適切に使い、守るべき資産はしっかり守る」というバランス感覚です。

定率取崩や定額取崩などのルールを設けて無計画な支出を防ぎ、年間支出予算の範囲内で老後ならではの経験にお金を使うことが重要です。平均寿命の延伸や将来の医療・介護費用も考慮しながら、定期的に家計を見直し、安心して老後を楽しめる資金計画を維持しましょう。

参考資料

・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」