65歳以上の無職世帯「平均貯蓄額・生活費・年金月額」みんな貯蓄はいくらもってる?年金は平均で月いくらもらっているのか
- 65歳以上の無職世帯「平均貯蓄額」みんな貯蓄はいくらもってる?
- 世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)
- 65歳以上「平均貯蓄額・生活費・年金月額」みんな貯蓄はいくらもってる?
- 世帯主が65歳以上の世帯の現在貯蓄高階級別世帯分布(二人以上の世帯)ー2024年ー
- 65歳以上の無職世帯「月の生活費」みんな月いくら?
- 「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支
- 65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の収入
- 65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の支出
- 2025年度は年金額が1.9%増額へ
- 2025年度の年金額例
- 【平均年金月額】厚生年金と国民年金はいくら?
- 国民年金・厚生年金「平均月額や個人差を見る」
- 国民年金(老齢基礎年金):平均年金月額
- 厚生年金(国民年金部分を含む):平均年金月額
- 老後資金はどうするか、いつリタイアするか検討を
65歳以上の無職世帯「平均貯蓄額・生活費・年金月額」みんな貯蓄はいくらもってる?年金は平均で月いくらもらっているのか
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、二人以上世帯で60歳代の32.6%が、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成
年金にゆとりがないと感じる理由として、物価上昇や医療費・介護費負担の増加が上位に挙げられています。
農林水産省「スーパーでの販売数量・価格の推移」によれば、お米の価格は前週のから195円上昇し、3737円/5Kg。一時期よりは下がっているものの、依然としてお米の価格の水準が高い状況が続いています。
年金生活に入り、リタイアをすれば年金や貯蓄だけで生活していくわけですから、月の生活費や赤字にならないか、貯蓄だけで足りるだろうかと不安になることもあるでしょう。今回は65歳以上の世帯に視点をあて、平均的な「平均貯蓄額・生活費・年金月額」をみていきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
65歳以上の無職世帯「平均貯蓄額」みんな貯蓄はいくらもってる?
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の平均貯蓄額は2560万円でした。
世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)
出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
この貯蓄額は近年増加傾向にあり、2019年の2218万円から2024年には2560万円へと、直近5年間で右肩上がりの状態が続いています。
貯蓄の種類別に見ると、最も多いのは定期性預貯金で859万円です。次いで通貨性預貯金が801万円、有価証券(※1)が501万円、生命保険などが394万円、金融機関外(※2)の貯蓄が6万円となっています。
前年からの増加幅では、通貨性預貯金が+47万円(+6.2%)、有価証券が+21万円(+4.4%)と伸びています。
※1 有価証券:株式、債券、株式投資信託、公社債投資信託、貸付信託、金銭信託など(いずれも時価)
※2 金融機関外:金融機関以外への貯蓄のことで、社内預金、勤め先の共済組合への預金など
65歳以上「平均貯蓄額・生活費・年金月額」みんな貯蓄はいくらもってる?
同じく「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」から、有職世帯も含めた世帯主が65歳以上世帯全体の貯蓄額を見てみましょう。
世帯主が65歳以上の世帯の現在貯蓄高階級別世帯分布(二人以上の世帯)ー2024年ー
出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
・平均値:2509万円
・貯蓄保有世帯の中央値(※):1658万円
有職世帯を含めた65歳以上の二人以上世帯における平均貯蓄額は2509万円ですが、貯蓄が0円の世帯を除いた中央値を見ると1658万円と、平均値よりも約850万円低い結果となっています。
一部の貯蓄が多い世帯により、平均値が引き上げられていることが考えられます。
65歳以上の無職世帯「月の生活費」みんな月いくら?
老後のお金について具体的にイメージするため、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を見てみましょう。
「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支
出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の収入
・収入合計:25万2818円
・うち社会保障給付(主に年金):22万5182円
65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の支出
・消費支出:25万6521円
・非消費支出:3万356円
支出合計28万6877円
この世帯の場合、ひと月の収入は25万2818円、その約9割の22万5182円を公的年金などの社会保障給付が占めます。
一方で支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円でした。
この夫婦世帯の場合、毎月約3万円の赤字となり、貯蓄の取り崩しなどでカバーすることになるでしょう。
2025年度は年金額が1.9%増額へ
公的年金額は、物価や現役世代の賃金を考慮して年度ごとに改定されるルールです。2025年度分は前年度より1.9%増額され、3年度連続のプラス改定となりました。
2025年度の年金額例
出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
ただし上記はあくまでも「年金例」です。実際に支給される年金額は、現役時代の年金加入状況により個人差が出ます。
なお、年金額自体は1.9%増えていますが、「マクロ経済スライド」の発動により、実質的には目減りしている点には注意が必要です。
マクロ経済スライドとは、公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動と平均余命の伸びに基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除する仕組みです。
【平均年金月額】厚生年金と国民年金はいくら?
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度末現在の平均年金月額は以下の通りです。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。また、厚生年金の月額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
国民年金・厚生年金「平均月額や個人差を見る」
出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
国民年金(老齢基礎年金):平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む):平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金のみを受給する場合は男女ともに5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)では男性が16万円台、女性が10万円台が平均です。
しかし、グラフから分かるように、受給権者の間で年金額には大きな個人差があります。ご自身の年金見込み額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。
老後資金はどうするか、いつリタイアするか検討を
今回は平均を確認しましたが、実際は人それぞれ。自身の年金見込み額や老後の生活費、必要な貯蓄額を計算して、早くから備えていきましょう。
また、2025年6月13日には年金制度改革関連法が成立し、その中で「在職老齢年金制度の見直し」が決まりました。
出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
在職老齢年金とは、60歳以降で老齢厚生年金を受給しながら働いている場合、年金額(※)と報酬(給与・賞与)の合計が基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止となる制度のこと。
(※)老齢基礎年金は対象外となり、全額支給されます。
支給停止額が2025年度の月51万円から2026年4月には月62万円に変わる予定です。
この引き上げにより、シニア世代もより自由に働き方を選べるようになるでしょう。このように制度が一部改正される可能性もあるため、お金や老後にまつわる制度変更にはアンテナ高く情報収集をおこないましょう。
自身の状況を確認し、必要な対策をとり、情報収集もおこなうことで老後対策をしていきましょう。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・総務省統計局「第3 家計調査の貯蓄・負債編の見方」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
・農林水産省「スーパーでの販売数量・価格の推移」