【待ち遠しい】8月は年金支給月!《年金額の早見表つき》国民年金・厚生年金(60歳~90歳以上)5歳刻みの平均月額はいくら?

【特別徴収】年金から「税や社保」が天引きされるのはどんな人?

公的年金制度は2階建て, 1階部分:国民年金(基礎年金), 2階部分:厚生年金(被用者年金), 老後に受け取る年金タイプは2種類, 【一覧表】国民年金・厚生年金(60歳~90歳以上)「みんなの平均年金月額はいくら?」, 【一覧表】国民年金・厚生年金【60歳~90歳以上】5歳刻みの平均はいくら?, 【一覧表】国民年金・厚生年金の平均月額から見る「個人差・男女差」, 【1.9%増額も】年金額は「実質目減り」に, 【特別徴収】年金から「税や社保」が天引きされるのはどんな人?, 国民健康保険料(税), 後期高齢者医療保険料, 住民税および森林環境税, シニアの暮らしはどう変わる?「年金制度改正」の全体像, 公的年金だけでは足りない今、自助努力で備える

【待ち遠しい】8月は年金支給月!《年金額の早見表つき》国民年金・厚生年金(60歳~90歳以上)5歳刻みの平均月額はいくら?

8月は暑さが本格化し、夏の疲れも出やすい時期ですが、同時に年金受給者にとっては年金支給日がやってくるタイミングでもあります。

年金は年齢や加入歴等によって受給額に違いがありますが、60歳から90歳以上まで5歳刻みで見ると、どのような平均額の差があるのでしょうか。

この記事では、国民年金と厚生年金の平均受給額を年齢別にわかりやすくまとめました。

年齢とともに変わる年金の実態を知ることで、自分の今後の生活設計や家計管理に役立てていただければ幸いです。夏の暑さが続く中、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

公的年金制度は2階建て

「年金制度は2階建て」などと言われます。これはベース部分となる「国民年金」と、上乗せ部分となる厚生年金から構成されるためです。

それぞれの年金制度の基本を整理しましょう。

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1階部分:国民年金(基礎年金)

・加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人

・年金保険料:全員一律(※1)

・老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる

※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円

※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円

2階部分:厚生年金(被用者年金)

・加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入

・年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)

・老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。

※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。

老後に受け取る年金タイプは2種類

現役時代は働き方や立場に応じて「国民年金のみに加入する人」「国民年金と厚生年金の両方に加入する人」に分かれます。これに応じて、老後に受け取る年金も変わります。

【一覧表】国民年金・厚生年金(60歳~90歳以上)「みんなの平均年金月額はいくら?」

令和の老齢年金世代はどの程度の年金を受け取れているのでしょうか。

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金(※1)の「年齢階級別(5歳刻み)の平均額」と「全受給権者(60歳~90歳以上)の平均年金月額」を見ていきます。

※1 厚生年金の被保険者は厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

【一覧表】国民年金・厚生年金【60歳~90歳以上】5歳刻みの平均はいくら?

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金

・60~64歳:4万4836円

・65~69歳:5万9331円

・70~74歳:5万8421円

・75~79歳:5万7580円

・80~84歳:5万7045円

・85~89歳:5万7336円

・90歳以上:5万3621円

厚生年金

※国民年金部分を含む

・60~64歳:7万5945円

・65~69歳:14万7428円

・70~74歳:14万4520円

・75~79歳:14万7936円

・80~84歳:15万5635円

・85~89歳:16万2348円

・90歳以上:16万721円

老齢年金の受給開始年齢は、原則として65歳です。

64歳までは、繰上げ受給(※2)を選択した人や、特別支給の老齢厚生年金(※3)を受給中の人の年金額です。そのため、国民年金・厚生年金ともに65歳以降の各年齢よりも低めとなっています。

65歳以上の平均年金月額は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)であれば14万円台~16万円台です。

平均年金月額を単純に比較すると、「国民年金のみ」と「厚生年金(国民年金を含む)」とでは3倍程度の差があります。現役時代の「加入」が2階建てであれば、老後の「受給」も2階建てになるということです。

また、公的年金の支給日は「偶数月の15日」です。15日が土日・祝日の場合、支給日は直前の平日に前倒しされます。

※2 繰上げ受給:老齢年金を「60歳から64歳」の間に前倒しして受給を始めること。繰上げた月数に応じて減額率が適用されます。

※3 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。

【一覧表】国民年金・厚生年金の平均月額から見る「個人差・男女差」

「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、60歳~90歳以上のすべての受給権者について、年金額の平均や、個人差・男女差を見ていきます。

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【一覧表】60歳~90歳代以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均年金月額

国民年金

・全体 5万7584円

・男性 5万9965円

・女性 5万5777円

厚生年金

※国民年金部分を含む

・全体 14万6429円

・男性 16万6606円

・女性 10万7200円

国民年金のみを受給する場合、全体、男女別ともに平均月額は5万円台です。ボリュームゾーンも男女ともに6万~7万円台です。

一方、厚生年金の場合、国民年金部分を含めた平均月額は全体で14万円台ですが、男性16万円台、女性は10万円台と男女差が顕著です。ボリュームゾーンも男性は16万~19万円前後、女性は9万~11万円前後と差があります。

また、グラフにあるように男女ともに1万円未満の低年金となる人から、20万円を超える高額受給となる人まで、幅広い分布となっています。

こうした男女差・個人差ともに、現役時代の年収や厚生年金加入期間などが反映された結果と言えます。

【1.9%増額も】年金額は「実質目減り」に

公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。2025年度(令和7年度)の年金額は、前年度より1.9%引き上げとなっています。

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令和7年度の年金額例(厚労省発表)

3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。

※マクロ調整スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ

またシニアの多くは、下記の税や社会保険料を老齢年金からの天引きで納めています。

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年金から天引きされる税や社会保険料が記載される「年金振込通知書」

・介護保険料

・公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料

・個人住民税および森林環境税

・所得税および復興特別所得税

年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、年金は「額面通りにはもらえない」点は意外な盲点かもしれません。

【特別徴収】年金から「税や社保」が天引きされるのはどんな人?

社会保険料や税が、年金からの天引き(特別徴収)となる人には、市区町村から通知がおこなわれます。

これらのお金が天引きとなる条件を、日本年金機構の「年金Q&A」を参考に見ていきます。

介護保険料

65歳以上の、老齢もしくは退職(※)、障害または死亡を支給事由とする年金を受給中で、年間の受給額が18万円以上の人

※老齢もしくは退職を事由とする年金:老齢基礎年金もしくは旧法制度による老齢年金・退職年金のこと

国民健康保険料(税)

65歳以上75歳未満(後期高齢者医療制度の該当者を除く)の、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給中で、年間の受給額が18万円以上の人

※国民健康保険料(税)と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合、国民健康保険料(税)は特別徴収の対象とはならない

後期高齢者医療保険料

75歳以上の人もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する人のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の人

※後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合、後期高齢者医療保険料は特別徴収の対象とはならない

住民税および森林環境税

・65歳以上の、老齢もしくは退職を支給事由とする年金を受給中で、年間受給額が18万円以上となる人

なお、国民健康保険料(税)(または後期高齢者医療保険料)、住民税および森林環境税が特別徴収される前提条件として、「介護保険料が特別徴収されていること」が必要です。

また、老齢厚生年金は特別徴収の対象外です。また、年金を受ける権利に担保設定がされている場合には特別徴収はおこなれません。

なお「老齢年金と遺族年金」のように複数の年金を受給している場合、特別徴収が行われる年金の優先順位が定められており、どれか1つの年金からの特別徴収となります。

シニアの暮らしはどう変わる?「年金制度改正」の全体像

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。

この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。

今回の改正の全体像を見ておきましょう。

主な改正内容

公的年金制度は2階建て, 1階部分:国民年金(基礎年金), 2階部分:厚生年金(被用者年金), 老後に受け取る年金タイプは2種類, 【一覧表】国民年金・厚生年金(60歳~90歳以上)「みんなの平均年金月額はいくら?」, 【一覧表】国民年金・厚生年金【60歳~90歳以上】5歳刻みの平均はいくら?, 【一覧表】国民年金・厚生年金の平均月額から見る「個人差・男女差」, 【1.9%増額も】年金額は「実質目減り」に, 【特別徴収】年金から「税や社保」が天引きされるのはどんな人?, 国民健康保険料(税), 後期高齢者医療保険料, 住民税および森林環境税, シニアの暮らしはどう変わる?「年金制度改正」の全体像, 公的年金だけでは足りない今、自助努力で備える

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

社会保険の加入対象の拡大

・中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする

在職老齢年金の見直し

・年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする

遺族年金の見直し

・遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

・月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする

その他の見直し

・子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し

・私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど

上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。

公的年金だけでは足りない今、自助努力で備える

物価上昇の影響で、多くの世帯において公的年金だけでは「理想の老後生活」に必要な資金が不足する時代になっています。そのため、現役世代のうちから「自助努力」で準備を進めることが大切です。

しかし、現在は銀行預金の金利が非常に低いため、資産運用も選択肢の一つとなっています。資産運用にはリスクの高いものから低いものまでさまざまな種類がありますが、いずれの方法も基本的にリスクが伴います。

だからこそ、まずは自分でしっかりと調べ、自分に合った運用方法を選ぶことが重要です。

参考資料

・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

・日本年金機構「国民年金保険料」

・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」

・日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

・日本年金機構 年金用語集「さ行 受給資格期間」

・日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」

・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・日本年金機構「年金の繰上げ受給」

・日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」

・日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」

・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」