【シニアの年金】老齢年金「厚生年金&国民年金」、みんな月額いくら受給している?
- 【国民年金は1階・厚生年金は2階】公的年金は2階建て構造
- 1階部分:国民年金
- 2階部分:厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入
- 2025年度の年金額は前年度から1.9%増額
- 2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例
- 働き方で年金額にこんな違いが!?《5つのケースで比較》
- パターン①:男性・厚生年金期間中心
- パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
- パターン③:女性・厚生年金期間中心
- パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
- パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
- 【2025年】年金支給日カレンダー「公的年金は2カ月に1回支給」
- 支給日:支給対象月
- 【老齢年金の一覧表】60歳代「厚生年金&国民年金」の平均月額は?
- 【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額
- 【国民年金一覧表】60歳代の平均月額
- 【老齢年金の一覧表】70歳代「厚生年金&国民年金」の平均月額は?
- 【厚生年金一覧表】70歳代の平均月額
- 【国民年金一覧表】70歳代の平均月額
- 【老齢年金の一覧表】80歳代「厚生年金&国民年金」の平均月額は?
- 【厚生年金一覧表】80歳代の平均月額
- 【国民年金一覧表】80歳代の平均月額
- 老齢年金の受給開始は原則65歳!でも「繰上げ・繰下げ」で選択可能!
- Q 老齢年金は「繰上げ」「繰下げ」で受給可能って本当?
- 繰上げ受給について
- 繰下げ受給について
【シニアの年金】老齢年金「厚生年金&国民年金」、みんな月額いくら受給している?
お盆休みも終わりに近づき、故郷で家族や親戚と過ごした方も多いのではないでしょうか。久しぶりに会う家族との会話の中で、年金や老後の生活について話題が上がることもあったかもしれません。
日本の年金制度は複雑で分かりにくいと感じる方も多いでしょう。しかし、日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造を理解すれば、老後への備えを具体的に考えられます。
本記事では、2025年度の年金額増額の背景や、現役時代の働き方によって年金額がどう変わるのか、また、現在のシニア世代が受け取っている年金の平均額を年齢別に詳しく解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【国民年金は1階・厚生年金は2階】公的年金は2階建て構造
「日本の年金制度は2階建て」と言われます。1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」です。
まずは、それぞれの年金の基本を確認しましょう。
1階部分:国民年金
・加入対象者はどんな人?:原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
・年金保険料はいくら?:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
・老後の受給額はどう決まる?:保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給できる(※2)
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
2階部分:厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入
・加入対象者はどんな人?:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした方
・年金保険料はいくら?:収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
・老後の受給額はどう決まる?:加入期間や納めた保険料により個人差が大きく出やすい
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
国民年金と厚生年金は、加入対象者、保険料の仕組み、将来受け取れる年金額など、上記のような違いがあります。
これらの違いを理解して、自分の年金受給額を計算し、収入を予測しながら、将来の生活設計を考えていくとよいでしょう。
次章で、2025年度に1.9%増額した年金額について解説します。
2025年度の年金額は前年度から1.9%増額
2025年1月24日、厚生労働省は2025年度(令和7年度)の年金額を公表し、年金額は前年度より1.9%引き上げとなりました。
2025年度の年金額の例
2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例
・国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):6万9308円(+1308円)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
年金額が増えることは一見すると良いことのように思えます。
しかし、物価上昇率が年金額の増加率を上回る場合、受け取る年金の金額は増えても、実際に購入できる商品の量やサービスの質は低下してしまいます。
このような「実質的な目減り」は、年金生活者にとっては厳しい状況と言えるでしょう。
今回の「年金額改定」では、上記の年金額例と併せて、夫婦の働き方ごとにいくつかの年金額パターンも提示されました。次章で確認していきます。
働き方で年金額にこんな違いが!?《5つのケースで比較》
厚生年金は現役時代の働き方や収入によって、年金額が大きく異なります。
厚生労働省が公表した資料から、多様なライフコースに応じた年金額を紹介します。
多様なライフコースに応じた年金額
出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
パターン①:男性・厚生年金期間中心
年金月額:17万3457円
・平均厚生年金期間:39.8年
・平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
・基礎年金:6万8671円
・厚生年金:10万4786円
パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万2344円
・平均厚生年金期間:7.6年
・平均収入:36万4000円
・基礎年金:4万8008円
・厚生年金:1万4335円
パターン③:女性・厚生年金期間中心
年金月額:13万2117円
・平均厚生年金期間:33.4年
・平均収入:35万6000円
・基礎年金:7万566円
・厚生年金:6万1551円
パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万636円
・平均厚生年金期間:6.5年
・平均収入:25万1000円
・基礎年金:5万2151円
・厚生年金:8485円
パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
年金月額:7万6810円
・平均厚生年金期間:6.7年
・平均収入:26万3000円
・基礎年金:6万7754円
・厚生年金:9056円
この年金額例では、厚生年金加入期間が長く、収入が高いほど年金額が増加していることがわかります。
将来受け取る年金水準を大きく左右するのは、「国民年金と厚生年金のどちらが中心だったか」という点だということも見て取れます。
では、今回増額となった年金額が実際に受け取れるのはいつからなのか、年金支給日カレンダーを見ていきましょう。
【2025年】年金支給日カレンダー「公的年金は2カ月に1回支給」
公的年金は、支給月の前々月分と前月分の2カ月分が合算され、原則として偶数月の15日に支給されます。
【2025年】年金支給日カレンダー
支給日:支給対象月
・2025年2月14日(金):12月・1月分
・2025年4月15日(火) :2月・3月分
・2025年6月13日(金) :4月・5月分
・2025年8月15日(金) :6月・7月分
・2025年10月15日(水) :8月・9月分
・2025年12月15日(月) :10月・11月分
次章で、今のシニア世代がどの程度年金を受け取れているかを、厚生労働省の資料をもとに見てみましょう。
【老齢年金の一覧表】60歳代「厚生年金&国民年金」の平均月額は?
今のシニア世代はどの程度年金を受け取れているのでしょうか。厚生年金と国民年金の平均月額を確認していきます。
なお、記事内で紹介する厚生年金の月額には、国民年金の月額部分が含まれています。
【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額
【厚生年金一覧表】60歳代の平均年金月額
・60歳:厚生年金9万6492円
・61歳:厚生年金10万317円
・62歳:厚生年金6万3244円
・63歳:厚生年金6万5313円
・64歳:厚生年金8万1700円
・65歳:厚生年金14万5876円
・66歳:厚生年金14万8285円
・67歳:厚生年金14万9205円
・68歳:厚生年金14万7862円
・69歳:厚生年金14万5960円
【国民年金一覧表】60歳代の平均月額
【国民年金一覧表】60歳代の平均年金月額
・60歳:国民年金4万3638円
・61歳:国民年金4万4663円
・62歳:国民年金4万3477円
・63歳:国民年金4万5035円
・64歳:国民年金4万6053円
・65歳:国民年金5万9599円
・66歳:国民年金5万9510円
・67歳:国民年金5万9475円
・68歳:国民年金5万9194円
・69歳:国民年金5万8972円
現在、老齢年金の受給開始年齢は原則として65歳で、厚生年金の平均月額は約14万円、国民年金の平均月額は約5万円となっています。
繰上げ受給を選択して早めに年金を受け取り始めたり、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分のみを受給したりした場合、64歳までの年金額は65歳以降に受給する場合よりも低くなります。
【老齢年金の一覧表】70歳代「厚生年金&国民年金」の平均月額は?
続いて、70歳代の各年齢の平均年金月額を見ていきます。
【厚生年金一覧表】70歳代の平均月額
【厚生年金一覧表】70歳代の平均年金月額
・70歳:厚生年金14万4773円
・71歳:厚生年金14万3521円
・72歳:厚生年金14万2248円
・73歳:厚生年金14万4251円
・74歳:厚生年金14万7684円
・75歳:厚生年金14万7455円
・76歳:厚生年金14万7152円
・77歳:厚生年金14万7070円
・78歳:厚生年金14万9232円
・79歳:厚生年金14万9883円
【国民年金一覧表】70歳代の平均月額
【国民年金一覧表】70歳代の平均年金月額
・70歳:国民年金5万8956円
・71歳:国民年金5万8569円
・72歳:国民年金5万8429円
・73歳:国民年金5万8220円
・74歳:国民年金5万8070円
・75歳:国民年金5万7973円
・76歳:国民年金5万7774円
・77歳:国民年金5万7561円
・78歳:国民年金5万7119円
・79歳:国民年金5万7078円
70歳代の平均月額は、厚生年金で14万円台、国民年金で5万7000~8000円台でした。
【老齢年金の一覧表】80歳代「厚生年金&国民年金」の平均月額は?
次に、80歳代の各年齢の平均年金月額を見てみましょう。
【厚生年金一覧表】80歳代の平均月額
【厚生年金一覧表】80歳代の平均年金月額
・80歳:厚生年金15万1580円
・81歳:厚生年金15万3834円
・82歳:厚生年金15万6103円
・83歳:厚生年金15万8631円
・84歳:厚生年金16万59円
・85歳:厚生年金16万1684円
・86歳:厚生年金16万1870円
・87歳:厚生年金16万2514円
・88歳:厚生年金16万3198円
・89歳:厚生年金16万2841円
【国民年金一覧表】80歳代の平均月額
【国民年金一覧表】80歳代の平均年金月額
・80歳:国民年金5万6736円
・81歳:国民年金5万6487円
・82歳:国民年金5万6351円
・83歳:国民年金5万8112円
・84歳:国民年金5万7879円
・85歳:国民年金5万7693円
・86歳:国民年金5万7685円
・87歳:国民年金5万7244円
・88歳:国民年金5万7076円
・89歳:国民年金5万6796円
80歳代の平均月額は、厚生年金は15万円~16万円台、国民年金5万6000円~8000円台です。
いずれの年代においても、平均月額に大きな年齢差は見られません。
しかし、実際に受け取る年金額は、個々の年金加入状況によって大きく異なります。
現役時代にどれだけ長く年金保険料を納めたか、どのような職業に就いていたか、またはどのような収入があったかなどが影響するためです。これらの要素が組み合わさることで、個々の年金額に大きな差が生じます。
ご自身が老後にいくら年金がもらえるか、見込みの金額を知るには「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用するのもよいでしょう。
老齢年金の受給開始は原則65歳!でも「繰上げ・繰下げ」で選択可能!
老齢年金の受給は原則として65歳ですが、「繰上げ」「繰下げ」も可能なことをご存じでしょうか。
ここでは、若い世代が知っておきたい「年金」の基本について、説明します。
Q 老齢年金は「繰上げ」「繰下げ」で受給可能って本当?
→A はい、ご自身の状況に合わせて、繰上げまたは繰下げて受給開始時期を選べます!
老齢年金の受給は、原則として65歳からです。
しかし、受給開始時期は「繰上げ」または「繰下げ」を選ぶこともできるのです。
繰上げ受給とは?
65歳よりも早く年金を受け取り始める制度。年金額は繰上げ時期に応じて減額されます。
繰上げ受給
繰下げ受給とは?
66歳以降に受給を遅らせることで、年金額を増額させる制度です。
繰下げ受給
「繰上げ」「繰下げ」のどちらにもメリットとデメリットがあります。
繰上げ受給について
メリット
生活費の足しにしたい、早期リタイア後の収入源にしたいなど、早くから年金を受け取りたいというニーズに応えられます。
デメリット
繰り上げ請求をした時点に応じて、年金額が減額されます。この減額率は一生涯変わらないため、長期的に見ると受け取る年金の総額が少なくなる可能性があります。
繰下げ受給について
メリット
長生きする可能性が高い、老後の生活費をできるだけ増やしたい、などの理由で、将来の年金額を増やしたい方に向いています。
デメリット
受給開始年齢を遅らせる分、年金を受け取れない期間が発生します。その間の生活費をどのように確保するか、貯蓄や他の収入源など、しっかりとした計画を立てる必要があります。
年金受給開始時期の決定は、ご自身の健康状態や家計などを総合的に考えて、慎重に行うことが大切です。
まとめ
長い老後生活を送る中では、年金受給額とそれまでに貯めた資金の範囲内で計画的にお金を使っていくことが大切です。
年金生活がスタートすると現役時代とは違って収入を増やすことが難しいため、収支に関してはしっかりと管理しておかないと、枯渇していってしまいます。
現役のうちにしっかりと老後資金を貯めておくと、理想のゆとりを持った生活を実現できるかもしれません。
老後目前になって焦らないようにするために、早いタイミングから準備しておきたいですね。
参考資料
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金の繰上げ受給」
・日本年金機構「年金の繰下げ受給」