新生キャデラックF1、初年度ラインアップはペレスとボッタスのベテランコンビか? 最有力候補として名前挙がる

 F1ジャーナリストのローレンス・バレットと元インディカードライバーのジェームス・ヒンチクリフが、キャデラックF1の2026年ドライバーラインアップについて議論。ふたりは元レッドブルのセルジオ・ペレス、メルセデスのリザーブドライバーを務めるバルテリ・ボッタスの名前を挙げ、「経験が必要」なチームにおいて最良の選択肢だと指摘した。

 キャデラックは新レギュレーション導入のタイミングに合わせて、2026年から11番目のF1チームとしてグリッドに加わる。チームの準備は本格化しているものの、初年度のドライバーラインアップはまだ発表されていない。

 2026年に向けては、ペレスやボッタスだけでなく、元F1ドライバーではミック・シューマッハーや周冠宇が候補リストにいると言われている。キャデラック陣営が実力の伴うアメリカ人ドライバーを求めていることから、インディカー・シリーズを戦うコルトン・ハータらがF1転向する可能性を指摘する声もある。

 そんな中でF1プレゼンターを務めるバレットとヒンチクリフのふたりは、ベテランコンビを有力候補として挙げた。

セルジオ・ペレス

 メキシコ出身のペレスは2011年にザウバーでF1デビューを果たし、マクラーレン、フォースインディア(レーシングポイント含む)を経て加入したレッドブルで4シーズンを過ごした。14年間のF1キャリアの中で3回のポールポジション、6回のグランプリ優勝、39回の表彰台、12回のファステストラップを記録した。

 2024年限りでレッドブルのシートを失ったペレスは現在35歳。「適切なプロジェクト」であることが条件だが、F1に復帰することを熱望している。

Sergio Perez, Red Bull Racing

「ここ数ヵ月、チェコ(ペレスの愛称)とは何度か話をした」とバレットはF1公式サイトに語った。

「私が言えるのは、彼は適切なプロジェクトのためF1に戻って来るというのに非常に飢えているということだ。キャデラックが彼にとって魅力的なのは、彼らが全てを投じているからだと思う」

「そして彼は、1年目は世界を熱狂させるようなシーズンにならないことを理解していると思う。しかしチームをやる気にさせる方法、タイヤをマネジメントする方法、シーズンを通して、そしてオフシーズンを通してマシンを開発する方法など、実際に彼が高く評価されているスキルを活かすチャンスだと思う」

「こういったことは全て、F1では現在の市場にいるドライバーからはなかなか得られないモノだと思う。だからこそ、チェコの名前が早くから候補に挙がっていたんだと思うし、私が彼がマシンに乗ることになるだろうと確信している。キャデラックにはその経験値が必要だ」

バルテリ・ボッタス

 フィンランド出身のボッタスは2010年からウイリアムズのテスト兼リザーブドライバーを務めた後、2013年にウイリアムズでF1デビュー。2017年からメルセデスに昇格し、7度のチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンと共に5年間を過ごした。2021年からはアルファロメオ/ザウバーに移籍して3シーズンを過ごした。

 F1キャリアで20回のポールポジション、10回のグランプリ勝利、67回の表彰台、19回のファステストラップを獲得したボッタスもまた、キャデラックに豊富な経験をもたらす可能性のあるドライバーだ。

 ボッタスは現在、メルセデスのリザーブドライバーを務めており、チーム代表のトト・ウルフもフルタイム復帰を支持している。

「キャデラックが何を達成しようとしているのか、全体的に見る必要があると思う」とバレットは言う。

Valtteri Bottas, Mercedes

「そして彼らはできるだけ早くスタートを切り、チームがかなり早く成長できる方法を見つけたいんだと思う。バルテリとチェコのコンビは、それを提供できる可能性があると思う」

「バルテリはここ(F1)にいる。彼はパドックにいてハングリー精神を養っている。彼はメルセデスのリザーブの役割を務め、ソーシャルメディアの仕事に全力を投じている。彼は何でもできるが、重要なことをやっている」

「彼はシミュレータにいるし、全てのエンジニアリングミーティングに参加して、メルセデスの2026年マシンの開発を理解している」

「彼はメルセデスのパワーユニットについて計り知れない経験を持っている。彼はザウバー時代にフェラーリのパワーユニットを経験している。私はバルテリ・ボッタスにノーと言うのは不可能だとチェックリストを作っているし、そういう経験が必要だと思うからこそ、ふたりがチームに加わることが有力だと思う」

ミック・シューマッハー

 シューマッハーもまた、キャデラック入りが噂されるひとり。2021年から2022年にハースでF1ドライブした後、2023年から2年間、リザーブとしてメルセデスに所属した。現在はアルピーヌでの世界耐久選手権(WEC)ハイパーカーの戦いに専念している。

 ヒンチクリフ曰く、シューマッハーはF1時代と比べてドライバーとして成長しており、WEC参戦によって「レースの切れ味」を維持している点を挙げた。ただキャデラックのドライバー候補リストでは”3番目”だとも考えている。

「彼は2シーズンを戦った。ベストではなかった。あれから彼はドライバーとして成長したと思う。彼はメルセデスのリザーブに就いて、そのポジションで非常に多くのことを学んだと思う」とヒンチクリフは言う。

Mick Schumacher, Reserve Driver, Mercedes-AMG F1 Team

「つまり、バルテリが今やっていることそのモノだ。あのポジションには何かがある。それから彼はフルタイムのレースに戻った。レースの切れ味を保つことは重要だと思う。だから魅力のない選択肢ではないよ」

「私がこのプログラムの責任者であれば、最も経験豊富なふたりを起用するだろう。しかし、もし何らかの理由でふたりのうちひとりが上手くいかなければ、(シューマッハーの起用を)真剣に検討することになるはずだ。スピードはあるからね」

「彼のジュニア時代のキャリアを振り返ってみると、マシンを乗りこなせるようになるまで常に1年半ほどかかっていた。ハースでも少しそれが見え、マシンに乗り続けるには十分ではなかった」

「しかし仮に長期的なプロジェクトを持っていて、新たなスタートを切ることができ、本当に学ぶための滑走路があると理解していて、チームも初出場でおそらくポイント争いができないなら……プレッシャーも少しは減るだろう。彼が秀でることができる環境かもしれない」

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