<たんぱく質>不足の日本人、その割合はなんと…不足すれば老化や肥満はもちろん体にさまざまな影響が。4つのリスクを消化器専門医が解説
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【グラフ】たんぱく質の平均摂取量・推奨量・目標量を比較!最も重要なのは?
老化・万病・肥満のもと!? たんぱく質不足のリスク
老化・不調・冷えを改善! たんぱく質が体を変える!
「三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質で最も重要なものは?」
と聞かれたら、私たち消化器専門医は口をそろえて「たんぱく質」と答えます。たんぱく質は全身の細胞の材料になる、体にとても影響がある栄養素なのです。このたんぱく質が不足すると、体にどのような影響を与えるか、4つの例を挙げて説明していきます。
<『胃と腸のプロが図解で徹底解説 腸漏れ解決とたんぱく質で最新腸活!』より>
1つ目のリスクとして挙げられるのは、細胞の老化です。体の細胞は、つねにターンオーバー、すなわち生まれ変わっています。たんぱく質が不足すると新しい細胞がつくれないのでターンオーバーがうまくいかず、細胞がどんどん老化してしまいます。
2つ目は、さまざまな体の機能の低下が挙げられます。たんぱく質は、ホルモンや酵素、抗体の材料になります。そのため不足すると、消化吸収力、神経伝達機能、免疫力などが低下してしまうのです。
心の健康、代謝にも影響
3つ目は、心の健康が保てなくなる可能性があります。いわゆる幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは神経伝達物質のひとつであり、たんぱく質からつくられます。たんぱく質が不足するとセロトニンも減少し、イライラや意欲の低下などをまねきます。
最後に、たんぱく質は分解されて、消化吸収されるときに熱エネルギーを生み出します。つまり、たんぱく質をきちんと摂っていれば熱を発生するので体温が上がり、代謝も良くなります。
『胃と腸のプロが図解で徹底解説 腸漏れ解決とたんぱく質で最新腸活!』(著:平島徹朗、秋山祖久/扶桑社)
反対に不足すると熱が生まれず体が冷えて、代謝が悪くなり、冷えやすく太りやすい体になってしまうのです。
<『胃と腸のプロが図解で徹底解説 腸漏れ解決とたんぱく質で最新腸活!』より>
あなたは大丈夫? 日本人にたんぱく質が足りない現実!
日本人の8割が不足 摂取量の認識を正す!
私たちのクリニックで血液検査による栄養解析を行うと、ほとんどの人がたんぱく質不足です。その割合、なんと8割以上!
クリニックで血液検査を受けるくらい健康に気を使っている人でも8割なので、日本人全体で考えるともっと多いのかもしれません。つまり、日本人の大多数は「たんぱく質を摂取しているつもりだけど、十分な量は摂取できていない」のです。
実は、驚くべきデータがあります。厚生労働省が行っている「国民健康・栄養調査」によると「1日あたりのたんぱく質摂取量・平均推移」は1995年をピークに減少傾向にあるのです(図1参照)。2019年には摂取量の平均値が約70gとなり、これは戦後間もない1950~60年代と同水準です。
<『胃と腸のプロが図解で徹底解説 腸漏れ解決とたんぱく質で最新腸活!』より>
また、厚生労働省が発表している「食事の摂取量」、「健康・栄養調査」のデータをもとにつくったたんぱく質の「平均摂取量」と「目標量」と「推奨量」を表した図(図2参照)の数値だけを見ると、男女ともに推奨量はクリアしていますが、「目標量」は男女ともにほぼすべての年代で、まったく足りていないのがわかるかと思います。この目標量に達することが重要です。
さらにいえば、今までお話しした数字はすべて「体内に摂り入れる量」の話です。「摂取したたんぱく質がちゃんと吸収され、栄養として働いているか」は、また別の話になります。その辺も含め、「たんぱく質を摂っているつもりでも摂れていない」ことに多くの人が気づいていないのが現実です。
推奨量と目標量の違い
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準2020 年版」の中で以下のように定義付けています。
推奨量:母集団に属するほとんどの者(97~98%)が充足している量
目標量:生活習慣病の発症予防を目的として(中略)現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量
推奨量を満たしているのは当たり前で、本来は目標量を目指して摂取するのが好ましいのです。
※本稿は、『胃と腸のプロが図解で徹底解説 腸漏れ解決とたんぱく質で最新腸活!』(扶桑社)の一部を再編集したものです。